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「食品の糖分を知ろう」と専門家 スムージーやグラノーラにも注意

 「この食品には糖分が多く含まれ、あなたの健康を害するおそれがあります」――こんな食品表示が普及するかもしれない。糖分がたっぷり含まれる高カロリーのジュースや炭酸飲料の缶、ペットボトル、紙パックなどのパッケージに、含まれる糖分についての警告ラベルを表示するべきだと、英国の研究者は主張している。
過剰な糖分が健康にもたらすダメージは大きい
 警告ラベルの必要性を訴えているのは、リバプール大学のサイモン ケープウェル教授(公衆衛生学)ら。「糖分の多い食品は、たばこと同様に依存性があります。2型糖尿病や肥満の原因となり、健康へのダメージも大きい」と指摘している。

 糖分が多く含まれる高カロリーの食品の消費量を減らそうと、英国で「アクション オン シュガー」というキャンペーンが展開されている。

 「糖分の多い食品は口当たりが良いので、多くの食品に糖分が多く含まれます。しかし、そうした食品は高カロリーで、肥満の原因になります。スーパーや食料品店では、そうした食品を手に取るときは、パッケージに表示された栄養成分表示を良く見るべきです」と、リバプール大学のサイモン ケープウェル教授(公衆衛生学)は言う。

 英国政府が支援し、英ロンドン大学が中心となり25人の健康医療の研究者が参加し、「塩分制限と健康のための一致行動(Consensus Action on Salt and Health)」というキャンペーンが展開されている。塩分摂取を減らすよう、消費者や食品メーカーに働きかけている。

 こうした啓発キャンペーンが功を奏し、英国人の1日の塩分摂取量は、9.5g(2003年)から8.1g(2011年)へと、15%も減少した。それに合わせて血圧も低下してきた。平均血圧は、最高(収縮期)血圧が3mmHg、最低(拡張期)血圧が1.4mmHg低下した。

食品の含まれる糖分を5年間で20~30%減少
 「塩分制限のキャンペーンは成功をおさめました。同様のことが、糖分に対してもできるはずです。お菓子やジュースに含まれる砂糖やブドウ糖、果糖などは、吸収の早い単純糖分です。その量を減らしたり、より吸収の遅い糖分に置き換えれば、全体のカロリー摂取量を減らすことができます」と、ケープウェル教授は説明する。

 食品メーカーや小売店業界の協力を得ながら、食品の含まれる糖分を5年間で20~30%減らすのが目標だという。これは1日の摂取カロリーでは平均で100kcalに相当する。

 英国では2型糖尿病や肥満の医療費が年間8,600億円(50億ポンド)に上る。肥満を予防できれば、医療費も削減できるようになる。

 同様の試みは先進国を中心に広がっている。英国と同様に、肥満が社会問題となっている米国では、カルフォルニア州が高カロリーの清涼飲料への警告ラベル表示の義務化を検討中だという。背景にあるのは、過剰な糖分摂取が起こす健康への悪影響だ。

 「たばこの警告ラベルも、現在では世界中で一般的に普及しています。高塩分や高糖分の食品は、たばこと同様に健康にもたらす害は大きいのです。高カロリーの清涼飲料やジャンクフードを減らして、より健康的な食品を増やす対策を、世界規模で行う必要があります」と、強調している。

ヘルシーと思われている「要注意の食品」 スムージーやグラノーラも
 「脂質ゼロ」、「フルーツたっぷり」、「食物繊維たっぷり」、「雑穀入り」などとパッケージにうたわれていると、「健康食」と思い込みがちだ。しかし、中には宣伝文句とは逆に糖分が多く、健康にマイナスの影響をもたらすものもある。

 専門家は「健康に良いと思われている不健康なスナックに注意が必要」と指摘している。

・ スムージー
 健康的な食品の代表として人気の高いスムージーは、材料に何が使われているのかが分かりにくいのが欠点。スムージーには糖分を加えたものが多いので、何が材料に使われているか確認しよう。
 例えば、ごぼうやれんこんなどといった根菜類や、ジャガイモやサツマイモなどのいも類は、野菜の中でも糖分が多いので注意が必要。
 ほかに糖分が意外に多い食品といえば果物。特にバナナは炭水化物が多く、血糖値を上げるので、避けた方が無難。とるとしたら運動の前後に少量で十分だ。

・ グラノーラ
 スムージーと同様に、材料に何が使われているかが分かりにくい。特にフルーツグラノーラは高カロリーのものが多く、おいしいのでついつい食べすぎてしまう。市販されているグラノーラは、糖分を加えてあるものも多いので、栄養表示を必ず見よう。

・ パンケーキ
 近年人気のパンケーキは、卵の多いレシピが人気で、口当たりが軽やか。しかしバターやシロップをたっぷり含ませて食べるので、当然のことながら食べ応えのわりには高カロリーのメニューとなる。

・ スポーツ飲料
 熱中症予防には、こまめな水分補給が欠かせない。しかし、スポーツ飲料には糖分が多く含まれており、特に糖尿病のある方には勧められない。多量に摂取すると高血糖を引き起こし、それにより尿量が増えて体内の水分が奪われ脱水が進行する、という悪循環を招く。水分補給には、水(ミネラルウォーター)やお茶、必要に応じて塩分を摂取するのが最適。

・ 「糖質ゼロ」のアルコール類
 「糖質ゼロ」「糖質オフ」「カロリーオフ」といった表示をしたビールや発泡酒などの酒類が店頭をにぎわしている。酒類のカロリーは、糖分の量よりもアルコール度数の方が影響は大きい。アルコールは栄養表示基準で1g当たり7kcalで計算される。アルコール分5%であれば350mL(レギュラーサイズ)では123kcalが目安になる。

・ 茄子を使ったパスタ
 ナスを食材に使っているとヘルシーな感じがするが、ナスは素材自体は1本20kcal以下で低カロリーだか、油を吸いやすいので注意が必要。ナス1本をカットして素揚げにすると、油のカロリーだけで100kcalを超える量になる。トッピングされているだけで思いのほかカロリーが増えていることを知っておきたい。

・ 揚げ出し豆腐
 豆腐なのでカロリーは低そうだが、揚げ出し豆腐は、片栗粉を使った衣がついていて、しっかり油を吸っているため高カロリー。豆腐自体は低カロリーで良質な食材だが、外食での揚げ物は避けたい。他の食品とのバランスも考えて注文すると良い

・ サンドイッチ
 コンビニなどで売られているラップ入りサンドイッチは、具材にマヨネーズやタルタルソースを使っている卵サンドやツナサンドは、カロリーは500kcal近くある。野菜のサンドイッチであれば、カロリーはおよそ半分になる。

・ そば
 冷たいざるそばは、口あたりがよく、夏にもってこいのメニューだ。しかし、その分ついつい食べ過ぎてしまう人も多いので注意が必要。麺類は多くの炭水化物が含まれ高カロリーだ。
 素麺1束(50g)で172kcalのカロリーがあり、ご飯100g分(茶碗に軽く1杯)に相当する。ふだんはご飯150gしか食べないけれど、そばになると3束を食べてしまうという人は、ご飯300g相当、いつもの2倍も食べていることになる。

・ 冷やし中華
 ラーメンと違ってスープがないのでカロリーが低いと思われがちだが、麺類なのでやはりカロリーは高い。特にゴマダレの冷やし中華はカロリーが高くなる。ゴマやゴマ油自体は良い食品だが、食べ過ぎには気をつけよう。

・ 総菜パン
 甘い菓子パンよりは良いと思い、総菜パンを選ぶ人は少なくないが、パン自体のカロリーが高いうえに、マヨネーズやチーズなどの高カロリー食材がプラスされていることが多い。揚げていない総菜パンでも500kcal近いものが多いので要注意。

"Sugar is the new tobacco" says expert(リバプール大学 2014年1月9日)
Diabetes and Food - What Should I Eat?(オーストラリア糖尿病協会 2014年6月1日)

[Terahata]
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