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「うま味」には食欲を抑える作用がある 海外で和食が注目される理由
2014年08月01日

「うま味」は、日本料理の中心となる要素だ。数百年もの長い間、日本人に好まれ続けてきた。料理の風味を改善する役割以外にも、何か特別な理由が隠されている可能性がある。
「和食」の人気が上昇 「うま味」にも注目
世界の無形文化遺産に登録されている「和食」の食文化。「和食」に欠かせない味の要素のひとつに「うま味」がある。
和食のうま味は、豊富な食材を使って、短時間で作られる。そして、食材のもつ上品なうま味で、食材のもつおいしさを引き立てる点が特徴的だ。
うま味は日本で発見されたものだが、世界各地でさまざまなかたちで使われている。アジアでは、豆や穀類、魚介類を原料にした発酵食品やしいたけ、昆布、魚介類の乾物などのうま味が主流。一方、ヨーロッパでは、生乳や肉を原料としたチーズや生ハム、そしてトマトのうま味が料理に使われている。
世界中で研究され、さまざまな料理に活用されている「Umami(うま味)」は、「和食」とともに世界に誇れる日本の文化だ。
うま味成分が食事の満足感を高める
日本料理の味の基本をなす「うま味」が、満腹感を引き出し、食欲を抑えるのに効果的とする研究が発表された。うま味は、「酸味」「甘味」「苦味」「塩味」とは違う、日本人でも説明は難しい味だ。それが第5の味として認知されている。
英国のサセックス大学のマーティン ユーマンズ教授(実験心理学)らは、うま味の主成分であるグルタミン酸とイノシン酸には、食品をおいしく感じさせ、食事の満足感を高める効果があることを発見した。
グルタミン酸は昆布やパルメザンチーズ、トマトなどのうま味の、イノシン酸はかつお節のうま味の主成分であり、うま味調味料として使われている。研究チームは、食事にうま味を加えることで、食欲に変化があらわれることを実験で確かめた。
27人の被験者を2つのグループに分け、同じ朝食をとってもらった。昼食の45分前に、一方にはグルタミン酸とイノシン酸が入っているスープを、もう片方には両方とも入っていないスープを飲んでもらった。
その結果、うま味の入ったスープを飲んだ被験者は、満腹感を感じやすくなり、昼食の摂取量が減った。
「当初は、うま味成分の入ったスープを飲むと、食欲が増して食べ過ぎてしまうのではないかと予測していましたが、結果は逆に満腹感を得やすくなり、食欲が抑えられることが分かりました」と、ユーマンズ教授は言う。

グルタミン酸やイノシン酸を組み合わせると効果的
肥満者率が高い欧米では、脂肪や糖分の少ない日本食が注目されている。その健康効果の鍵が、生の肉や魚を煮込むのとは異なる、乾物を用いて引き出す日本特有のうま味である可能性がある。
かつお節に含まれるイノシン酸に満足感を高める作用があることは、近藤高史・京都大学准教授(当時)が2011年が発表した研究でも確かめられている。
うま味を効かせた食事を習慣的にとることで、高カロリーの食事を避けて健康的な食生活を維持できる可能性があることが判明した。
和食は食塩量が多くなりがちな料理だが、基本となるだしのうま味を効かせることで減塩も可能だ。時間のあるときに多めに手作りして冷蔵保存したり、冷蔵庫に昆布を水に浸しただけの「昆布水」を常備するのも手軽で便利な方法だ。
うま味の成分は単独で使うよりも、グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸などを組み合わせることで飛躍的に強くなる。このような「うま味の相乗効果」は、コンブでだしをとった後、さらにカツオ節でだしをとるなど、料理に応用されてきた。
例えば日本料理のだしはグルタミン酸を多く含む昆布と、イノシン酸が多いかつお節を組み合わせると、うま味が強まる。西洋料理ではイノシン酸に富む肉や魚などと、グルタミン酸を含む玉ねぎなどの野菜を合わせて料理する。うま味の相乗効果は、世界中の調理で古来より経験的に利用されている。
Sussex scientists identify the flavour that helps us eat less(サセックス大学 2014年7月23日)
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