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父親になった男性は肥満になりやすい 子育てと健康増進の両立が課題
2015年07月29日

子供ができた若い父親は肥満になりやすいことが、米国のノースウェスタン大学の研究で明らかになった。「男性にとって家庭をもつ時期は、健康上の問題をかかえやすい時期である。適切なヘルスケアを提供できる体制が望まれる」と研究者は指摘している。
男性は家庭をもち子供ができると体重が増えやすい
男性は家庭をもち子供ができると、体重が増え、BMI(体格数)が上昇しやすいことが、米国の1万人以上を対象とした大規模調査で明らかになった。
「もしもあなたが若い父親であれば、子供たちが残したピザを食べて片付けるべきではない。父親になることは、体重とBMIの増加という代価をもたらすおそれがあることを知っておくべきだ」と、研究者は指摘している。
研究チームは、年齢が25~34歳の父親である男性3,425人と父親でない(子供がいない)男性6,828人を対象に調査した。
1994年に開始された「全米若年者健康調査」は、米国の若者を12歳から30歳超まで追跡して、健康状態の変化などを調べている大規模研究で、20年間続けられ1万253人が参加している。
今回の研究は、父親になることと体重やBMIといったバイオマーカーの変化の間に関連があることを明らかにしたはじめての研究だ。
子供の誕生により父親のBMIは2.6%増加
「過去の調査では、結婚によって男性の体重が増えることが示されています。結婚して父親になることは、男性の健康に大きな影響をもたらすことは明らかです」と、ノースウエスタン大学フェインバーグ医学部のクレイグ ガーフィールド氏は言う。
男性が体重を増やし、BMIが上昇することは、2型糖尿病、がん、心臓病などの発症リスクが高まることを意味する。
調査の結果、子供が生まれた後に子供と一緒に住んでいる男性ではBMIが平均で2.6%増加していた。これは、身長が180cmの男性では2kg程度の体重増加に相当する。
一方で、子供がいない男性では、体重減少幅は身長が180cmの男性で600g超に相当する程度だった。
なお、子供が生まれた後に子供と一緒に住んでいない男性でも、BMIは平均で2%増加していた。
子供ができると父親の生活スタイルは大きく変化する

子育てで忙しい男性は医療機関の受診頻度が低い
自分の健康管理が不十分な男性でも、子供の医療のために小児科医とは近しい関わりをもつことが多い。子供に保険診療を受けさせるために、子供に付き添って小児科医を訪れる頻度が高くなる。
「このことには、子供と父親の健康を管理する上で重要な意味があります。小児科で家族ぐるみで栄養カウンセリングやメンタルヘルス教育を提供できれば、父親の健康状態を改善できる可能性があります」と、ガーフィールド氏は指摘する。
父親になることは、男性の人生の発達段階において重要な意味がある。男性にとって多くのことが変化する神秘的な瞬間となるが、健康上の問題をかかえやすい時期でもあることを社会に認知させる必要もあるという。
「子育てで忙しい世代の男性は一般的に医療機関を受診する頻度が低いので、どうすれば適切なヘルスケアを提供できるかを考えることが課題となっています」と、ガーフィールド氏は述べている。
Fatherhood Makes Men Fat(ノースウェスタン大学 2015年7月21日)Longitudinal Study of Body Mass Index in Young Males and the Transition to Fatherhood(American Journal of Men's Health 2015年7月21日)
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