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加熱調理の「アクリルアミド」にがんリスク 食品安全委員会が報告書

 ジャガイモや野菜などの食材を高温で熱したときに生じる化学物質「アクリルアミド」について、内閣府食品安全委員会の作業部会は「がん発症を増やす懸念がないとは言えない。できる限り量を減らすべきだ」とする評価書案を公表した。
アクリルアミドがんを引き起こす 本格調査を実施
 食品は加熱調理する過程でさまざまな化学物質が生成される。その中には、食品を食べやすくする、好ましい風味を醸し出す、保存性を高めるなど有用な効果をもたらすものがある一方で、健康に悪影響をもたらす副産物ができることがある。

 炭水化物を含む食品を120度以上の高温で調理した食品に含まれる有害化学物質のひとつが「アクリルアミド」だ。

 アクリルアミドは、フライドポテト、ポテトチップス、カリカリに焼いたトースト、ビスケット、クラッカーなど穀類を原材料とする焼き菓子など、多くの食品に含まれている。市販の加工食品だけでなく、家庭で加熱調理する際にも生成される。

 アクリルアミドは、食品に含まれるアミノ酸の一種アスパラギンと果糖などの糖分が、揚げる、焼く、焙るなどの120度以上の高温で調理する際に起きる「メイラード反応」と呼ぶ化学反応によって発生する。魚の焼け焦げなどに含まれる物質とは別のものだ。

 欧州食品安全機関(EFSA)は2015年に「専門調査委員会があらためてアクリルアミドのリスクを評価したところ、DNAを損傷しがんを引き起こすとの結論に至った」と発表した。

 欧米諸国が中心となり食品中のアクリルアミドに関する調査研究や、食品中のアクリルアミドを低減するための取組みが進められており、日本の農林水産省も2003年から本格的に調査研究を開始した。食品安全委員会の作業部会も2011年リスクを検討してきた。
できるだけアクリルアミドの摂取量を減らす必要がある
 内閣府食品安全委員会の作業部会は今回、日本人の食生活におけるアクリルアミドのリスクを5年にわたって検討し、報告書案をまとめた。

 それによると、日本人の1日当たりの平均の摂取量は、体重1キログラム当たりおよそ0.2μgで、これは動物実験で発がん性が確認されている量と比べておよそ1000分の1だった。日本は欧州連合(EU)加盟国(0.4~1.9μg)より低く、香港(0.21μg)とほぼ同じだった。

 しかし海外のリスク評価機関の中には、1万分の1より多い場合は低減対策が必要だと指摘しているものもあり、動物実験でがんが認められた最少量と日本人の平均推定摂取量が比較的近かった。報告書案では「できるだけアクリルアミドの摂取量を減らす必要がある」と結論している。

 委員会は一般からの意見を募った上で最終的な評価書をまとめる。
アクリルアミドを減らすために家庭でできること
 食品安全委員会によると、日本人では油で揚げたジャガイモや炒めたモヤシなど野菜からの摂取が多かった。長時間、高温で揚げるなどしないことや、野菜を調理前に水にさらすなどすることで、量を減らすことができる。

 農林水産省は、家庭で調理するときにアクリルアミドができにくくする方法をまとめた冊子「安全で健やかな食生活を送るために アクリルアミドを減らすために家庭でできること」を作成し、ホームページで公開している。

 それによると、アクリルアミドを減らすために家庭でできる方法として、次のことが効果的だ。

・ 炭水化物の多い食品を、必要以上に長時間、高温で加熱調理しない
 フライドポテトなどの揚げ物は、油の温度や揚げ時間に注意。じゃがいもや野菜などの炒め物も同様に、あまり焦がさないようにする。過度の加熱は食材の風味や栄養も損なう。

・ 食品の加熱方法を見直し 煮る、蒸す、ゆでる調理法がお勧め
 煮る、蒸す、ゆでるなどの調理法は、揚げ物や炒め物に比べてアクリルアミドが生成しにくい。
 また、食品を下ゆでしたり加熱前に水にさらすと、アクリルアミドの原因となるアスパラギン、還元糖(ブドウ糖、果糖など)の量を減らす効果を得られる。
 低温で長期保存したジャガイモは糖分が増えているため、加熱時にアクリルアミドができやすくなる。揚げ物や炒め物よりも、煮たり蒸したりする料理がお勧めだ。

・ 低温で長期貯蔵したジャガイモを高温調理しない
 ジャガイモは、低温で保存するとアクリルアミドができる原因となる成分であるブドウ糖と果糖が増える。そのため、低温で長期貯蔵されたジャガイモを、フライドポテトのような高温調理に使用することは避けるべきだ。
第1回 加熱時に生じるアクリルアミドワーキンググループ(食品安全委員会 2016年2月1日)
食品中のアクリルアミドに関する情報(農林水産省 2015年10月30日)
[Terahata]

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