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女性の健康の支援が置き去りに 働く女性の病気で年間6兆円の損失
2016年03月09日

女性の活躍推進が活発になっている一方で、女性特有の健康リスクへの対策が手薄になっている現状が、日本医療政策機構などの調査で浮き彫りになった。「女性の身体の特徴や、女性特有の病気の予防・治療法について、女性も男性も学べる機会を増やすことが大切」と同機構は指摘している。
女性の健康面に対する配慮が置き去りにされている
政府は女性の活躍推進を成長戦略のひとつとして掲げており、産業界も女性役員・管理職への登用に関する行動計画を策定し、数値目標を設定するなど動きを活発化させている。社会全体で働く女性の活躍を推進する機運が高まっている一方、女性が働き続けるための健康面への配慮は十分に行われていない現状がある。
女性が担う役割や責任が大きくなり、ストレスなどの精神的負担や、慢性的な疲労感といった身体的負担を抱えている女性は増えている。専門家は「女性が働き続ける環境の整備にばかり注目されており、健康面に対する配慮が置き去りにされているのではないか」と指摘している。
日本の将来を考える上で、女性の健康への配慮が不可欠であり、女性の活躍推進の取り組みには健康増進に関連した施策も含めることが求められている。そこで、女性の健康増進が社会にもたらす社会経済的な効果をとらえるという観点から、日本医療政策機構は、東京大学大学院薬学系研究科・五十嵐中特任准教授らと「働く女性の健康増進に関する調査」を実施した。
調査は昨年11月に、20~60歳代の正規雇用の女性2,091人(平均年齢42.1歳)を対象に行われた。このうち1,495人は健康な女性、残る596人は乳がん、子宮頸がん、子宮内膜症のある女性だった。病気による休業や仕事の効率低下に伴う損失がどれだけあるかを分析した。
婦人科系疾患の経済的損失は年間6.37兆円
その結果、子宮頸がんや乳がん、子宮内膜症など、婦人科系疾患を抱えて働く女性の年間の医療費支出と生産性損失を合計すると、年間6.37兆円にのぼることが判明した。
婦人科系疾患を抱える働く女性の年間の医療費支出と生産性損失

婦人科疾患によって女性の生活の質は低下

定期的に婦人科を受診している女性は2割


対策が必要 女性の健康面に対する配慮を向上
日本医療政策機構では、女性の健康面に対する配慮を向上させるために、国や自治体は次のことに取り組む必要があると提言している。

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