ニュース

「次世代につながる住民主体の地域づくりに向けた保健師活動」保健師長会

 全国保健師長会の指定都市・政令市・中核市・特別区部会はこのほど、平成27年度の活動報告として、「次世代につながる住民主体の地域づくりに向けた保健師活動」をまとめ、ホームページで公開した。先駆的に次世代へつながる地域づくりを行っている地域で保健師の関わりを調査し、今後の保健師活動に生かしていくことが目的。

 地域における保健師の活動は地域包括ケアシステムの推進やがん対策、子育て支援施策の充実など、近年、多様化している。そのため保健師は個々の住民の健康問題を把握するだけでなく、地域特性を見極めて集団に共通する地域の健康課題や、地域保健関連施策についても意識しながら活動する必要がある。また、自助および共助など住民の主体的な行動を促進し、持続できる地域づくりの推進も重要である。

 そこで今回「次世代につながる住民主体の地域づくりに向けた保健師活動」をテーマに、住民と協働した事業を継続的に幅広く先駆的に推進している三重県名張市と、大阪市東住吉区の事例について現地で聞き取り調査を行った。調査の内容は、活動が発展していった要因や、次世代につながる地域づくりやその地域への保健師の関わりの方法など。

 名張市は子育て支援、成人保健、高齢者支援などさまざまな分野でボランティア育成などを行い、安定した人的確保を行っている。新しい住民の流入により、地縁団体の機能が低下するといった問題が見られたため、全市に自発的なまちづくりに対応する住民組織を立ち上げ、地域力を向上させてきた。新しい地区組織として立ち上げた「地域づくり委員会」の活動を通して、住民間のソーシャルキャピタル(社会や地域における人々の信頼関係や結びつき)が醸成され、子育て支援においては「名張版ネウボラ」(妊娠、出産、育児の切れ目ない相談と支援の場)も生まれている。

 報告書では「名張版ネウボラ」が発足した経緯や、活動の経過、成果について調査した内容を掲載。人材育成の方法についても言及しており、活動に対するモチベーションの維持やスキルアップ支援の状況についても報告している。

 一方、大阪市東住吉区は高齢者および高齢世帯の割合が高く、生活習慣病や認知症予防に力が入れられている。このうち報告書では、認知症予防のための「はつらつ脳活性化アップ事業」について紹介し、名張の事例と同様に地域の人材育成や、自主活動への取り組みやすさの工夫などについて述べている。

 これら2つの事例の考察から、報告書では「次世代につながる住民主体の地域づくりに向けた保健師の地域への関わり」のポイントを以下のようにまとめた。

1 子育て世代から高齢者まで全世代へのひろがりを持つ地域づくりを目指し、次世代へつなげる意識を醸成していく。
2 できるしくみを整備して活動の裏づけとなる事業化・予算化が有効である。
3 地域全体を巻き込むには、地域のまちづくりリーダー等核になる人や既存の組織と一緒につながりをもつよう意識して支援していく。
4 行政首長や統括的保健師の活動方針を明確に策定していることが重要で、それに沿って住民の参画を推進しながら活動していく。
5 異世代間の交流を通してつながり、winwinの関係をもつ。

 報告書には詳細な調査資料も添付されており、次世代につながる地域づくりを進めるうえで参考になる内容となっている。

「次世代につながる住民主体の地域づくりに向けた保健師活動」(全国保健師長会)
[yoshioka]
side_メルマガバナー

「地域保健」に関するニュース

2024年04月30日
タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
2024年04月25日
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
2024年04月23日
生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
2024年04月22日
運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
2024年04月22日
職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
2024年04月22日
【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
2024年04月22日
【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
2024年04月18日
人口10万人あたりの「常勤保健師の配置状況」最多は島根県 「令和4年度地域保健・健康増進事業の報告」より
2024年04月18日
健康診査の受診者数が回復 前年比で約4,200人増加 「地域保健・健康増進事業の報告」より
2024年04月16日
塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶