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妊娠中のうつリスク 大豆やイソフラボンを摂取すると低下 愛媛大
2016年11月02日

愛媛大学の共同研究チーム(国立保健医療科学院、東京大学、琉球大学)が、妊娠中に大豆製品やイソフラボンを摂取すると、妊娠中のうつリスクが減ることを、世界ではじめて突き止めた。研究は科学誌「ヨーロピアン ジャーナル オブ ニュートリション」オンライン版に発表された。
女性は出産前後や閉経期にうつ症状を発症しやすい
大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと構造が似ており、女性の健康や美容などを支える効果があるという研究が発表されている。
更年期障害に対するイソフラボンの介入効果を調べたランダム化比較試験では、イソフラボンを摂取するとホットフラッシュの症状が改善することが明らかになった。女性の骨粗しょう症の予防にも有用という報告もある。
女性は出産前後や閉経期の卵巣ホルモンが大きく変動する時期にうつ症状を発症しやすくなることが知られている。
研究チームは、妊娠中から母親と生まれた子を追跡調査した「九州・沖縄母子保健研究」のデータを活用し、妊娠中の大豆とイソフラボン摂取と妊娠中うつ症状との関連を調べた。
研究チームは、調査に参加した1,745人の妊婦を対象に、うつ病の簡易評価尺度である「CES-D」でうつ症状を判定した。妊娠中うつ症状を示した妊婦は19.3%だった。
大豆やイソフラボンの摂取量が多いとうつリスクが37%低下
その結果、妊娠中の大豆製品、豆腐、豆腐製品、納豆、大豆煮物、みそ汁、イソフラボンの摂取量が多いと、妊娠中うつ症状の有症率が低下することが明らかになった。
総大豆製品をもっとも多く摂取していた妊婦は、もっとも少なかった妊婦に比べ、うつ有症率が37%低下した。また、イソフラボンでも、もっとも多く摂取していた妊婦は、もっとも少なかった妊婦に比べ、うつ有症率が37%低下した。
一方、同じ大豆製品でも豆乳の場合、摂取量が増えても、うつ病の有症率にほとんど差がなかったことや、みその摂取量が多いほど有症率が高まることも判明した。
「卵巣ホルモンが大きく変動する妊娠前後のうつとイソフラボンとの関連を調べた研究は今回がはじめて。大豆製品をたくさん摂取すると、妊娠中のうつ症状を予防できる可能性がある。今後はさらなる研究データの蓄積が必要だ」と、愛媛大学大学院医学系研究科疫学・予防医学講座の三宅吉博教授は述べている。
愛媛大学大学院医学系研究科疫学・予防医学講座Soy isoflavone intake and prevalence of depressive symptoms during pregnancy in Japan: baseline data from the Kyushu Okinawa Maternal and Child Health Study(ヨーロピアン ジャーナル オブ ニュートリション 2016年10月15日)
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