ニュース

妊娠中のうつリスク 大豆やイソフラボンを摂取すると低下 愛媛大

 愛媛大学の共同研究チーム(国立保健医療科学院、東京大学、琉球大学)が、妊娠中に大豆製品やイソフラボンを摂取すると、妊娠中のうつリスクが減ることを、世界ではじめて突き止めた。研究は科学誌「ヨーロピアン ジャーナル オブ ニュートリション」オンライン版に発表された。
女性は出産前後や閉経期にうつ症状を発症しやすい
 大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと構造が似ており、女性の健康や美容などを支える効果があるという研究が発表されている。

 更年期障害に対するイソフラボンの介入効果を調べたランダム化比較試験では、イソフラボンを摂取するとホットフラッシュの症状が改善することが明らかになった。女性の骨粗しょう症の予防にも有用という報告もある。

 女性は出産前後や閉経期の卵巣ホルモンが大きく変動する時期にうつ症状を発症しやすくなることが知られている。

 研究チームは、妊娠中から母親と生まれた子を追跡調査した「九州・沖縄母子保健研究」のデータを活用し、妊娠中の大豆とイソフラボン摂取と妊娠中うつ症状との関連を調べた。

 研究チームは、調査に参加した1,745人の妊婦を対象に、うつ病の簡易評価尺度である「CES-D」でうつ症状を判定した。妊娠中うつ症状を示した妊婦は19.3%だった。
大豆やイソフラボンの摂取量が多いとうつリスクが37%低下
 その結果、妊娠中の大豆製品、豆腐、豆腐製品、納豆、大豆煮物、みそ汁、イソフラボンの摂取量が多いと、妊娠中うつ症状の有症率が低下することが明らかになった。

 総大豆製品をもっとも多く摂取していた妊婦は、もっとも少なかった妊婦に比べ、うつ有症率が37%低下した。また、イソフラボンでも、もっとも多く摂取していた妊婦は、もっとも少なかった妊婦に比べ、うつ有症率が37%低下した。

 一方、同じ大豆製品でも豆乳の場合、摂取量が増えても、うつ病の有症率にほとんど差がなかったことや、みその摂取量が多いほど有症率が高まることも判明した。

 「卵巣ホルモンが大きく変動する妊娠前後のうつとイソフラボンとの関連を調べた研究は今回がはじめて。大豆製品をたくさん摂取すると、妊娠中のうつ症状を予防できる可能性がある。今後はさらなる研究データの蓄積が必要だ」と、愛媛大学大学院医学系研究科疫学・予防医学講座の三宅吉博教授は述べている。

愛媛大学大学院医学系研究科疫学・予防医学講座
Soy isoflavone intake and prevalence of depressive symptoms during pregnancy in Japan: baseline data from the Kyushu Okinawa Maternal and Child Health Study(ヨーロピアン ジャーナル オブ ニュートリション 2016年10月15日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2023年02月24日
がん検診発見例が減り早期がんも減少傾向だが、現時点での評価は困難
国立がん研究センター「院内がん登録全国集計」速報値より
2023年01月20日
保健師など保健衛生に関わる方必携の手帳「2023年版保健指導ノート」
2023年01月17日
【特定健診】40歳以上の半数は生活習慣病かその予備群 健診受診率の引き上げと、働く人のヘルスリテラシーを向上することが課題に
2023年01月16日
わずか「1分間の運動」でも健康効果が 忙しい人も仕事や家事の合間に簡単な運動を行うと寿命を延ばせる
2023年01月05日
特定保健指導は効果があった! 肥満指標はわずかに改善 血糖や中性脂肪も 582万人のデータを解析
2023年01月04日
【もっとも読まれたニュース トップ10】変化の年だった2022年 保健指導リソースガイド
2022年12月20日
健診で「腎臓病」を指摘されても、医療機関で診断を受けたのは5年以上も後 理解促進と対話の場が必要
2022年12月15日
日本産業保健師会が「新任期産業保健師養成研修」「産業保健師リーダー養成研修」を開催 
参加型研修を重視し、キャリアラダーに基づいた産業保健師のための研修会
2022年12月12日
13種類のがんを1回の血液検査で発見できる次世代診断システム 「がんの種類」を高精度で区別 がん研究センターなど
2022年12月06日
40歳未満の健診情報もマイナポータルで確認・閲覧可能へ
若年世代からの生活習慣病予防・健康づくりを
アルコールと保健指導

トピックス・レポート

無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(毎週木曜日・約11,000通)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶