ニュース

日本人の最大規模の「バイオバンク」を構築 長寿医療研究センターなど

 東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と国立長寿医療研究センター(NCGG)は、超高齢化社会を迎えている日本人の健康寿命の延伸に向けた共同研究を開始したと発表した。この共同研究により超高齢社会における健康寿命の延伸を目指すという。
バイオバンクを構築し超高齢社会に対応
 ToMMoは、東日本大震災後の復興事業として2011年度から始められた東北メディカル・メガバンク計画(TMM)計画を推進するために設立され、岩手医科大学とともに宮城県・岩手県で総計15万人以上の参加者のコホート調査を実施し、バイオバンクを構築している。一方、NCGGは、高齢者の体と心の自立を促進し健康長寿社会を実現する目的で2010年に設立された。

 血液や遺伝子などの生体試料と情報を収集して管理する「バイオバンク」事業が全国で進められている。NCGGが運用する「NCGGメディカルゲノムセンター・バイオバンク」(NCGGバイオバンク)は、日本で最大規模の「ナショナルセンターバイオバンクネットワーク」(NCBN)の一翼を担っており、ToMMoが運用するバイオバンクとともに、日本の3大バイオバンクに数えられている。

 今回の共同研究は、それぞれのバイオバンクの特徴を活かして協力することで、日本の最重要課題とされる超高齢社会への対応において、健康寿命の延伸に資する研究を行っていく。両機関の連携により、オールジャパンの体制でゲノム医療などを支援する体制構築につなげていく。

 また、共同研究を通じて、大規模なバイオバンクの運用に必要な専門的な知識や技術をもつ高度な人材の育成にも取り組み、交流も行うという。

日本人の大規模なゲノム疫学研究のリソースが誕生
 ToMMoの運用するバイオバンクには、コホート調査の追跡により、加齢などによる状況変化の情報を加えていく。これにより、一般成人を対象としたコホート研究による検体・データと、NCGGバイオバンクの高齢期に発症する認知症や運動器疾患などの疾患をもつ人を対象とした疾患コホート研究による検体・データを統合解析できるようになる。

 ToMMoの運用するバイオバンクには、宮城県および岩手県で実施した大規模ゲノムコホート調査による15万人分の試料・情報が登録されている。NCGGバイオバンクには、高齢期に発症する認知症や運動器疾患など疾患コホートおよび住民コホートの2万人分の試料・情報が登録されている。

 2つのバイオバンクの連携により、これまでにない日本人の大規模なゲノム疫学研究のリソースが誕生する。今後の研究によって、関連遺伝子群の同定やそれらを用いた発症リスクの推定、保因者に関する研究などでの成果が期待される。
 具体例としては、ToMMoの全ゲノムリファレンスデータとNCGGのジャポニカ全ゲノムジェノタイピングデータ統合による、日本人に特化した大規模ゲノムワイド関連解析を用いた老年病感受性遺伝子の同定、解析および疾患発症予測モデルの構築がある。

 さらには、NCGGの全エクソーム、全ゲノムシークエンスデータとToMMoの全ゲノムシークエンスデータの比較解析による老年病原因、関連遺伝子の同定、地域特性(東北vs中部)の検証や健常高齢者とその加齢特性の解析など、多岐にわたる。

東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)
国立長寿医療研究センター(NCGG)
ナショナルセンターバイオバンクネットワーク
[Terahata]
side_メルマガバナー

「地域保健」に関するニュース

2024年04月30日
タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
2024年04月25日
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
2024年04月23日
生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
2024年04月22日
運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
2024年04月22日
職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
2024年04月22日
【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
2024年04月22日
【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
2024年04月18日
人口10万人あたりの「常勤保健師の配置状況」最多は島根県 「令和4年度地域保健・健康増進事業の報告」より
2024年04月18日
健康診査の受診者数が回復 前年比で約4,200人増加 「地域保健・健康増進事業の報告」より
2024年04月16日
塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶