ニュース
SNSの「自殺防止相談」に月に1万件以上 「対策強化月間」に実施
2018年05月16日

厚生労働省は、3月の「自殺対策強化月間」で、LINEなどのSNSで行われた「自殺防止相談」に、1万件を超える相談があったと発表した。SNSの相談事業には、一定のニーズがあることが示された。
SNSを活用した自治体の相談事業は活発化
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用した、自治体の各種相談事業は活発化している。読売新聞の調査によると、SNSにより自殺に関する相談に対応を今年度以降に計画している自治体は、全国の3割に上るという。
厚生労働省は、3月の「自殺対策強化月間」に、地方公共団体、関係団体などと連携して「いのち支える自殺対策」という理念のもと、啓発活動を行った。3月1日から31日までの間、自殺リスクを抱えた人の相談機会の確保をはかる目的で、13団体の協力を得てSNSによる相談事業を実施した。
その結果、LINEでの相談件数は1万129件に上った。友だち登録数は6万9,549人だった。
13団体のうち相談延べ件数が1,000件を超えた7団体4アカウントについて集計したところ、年齢別では「19歳以下」が39.2%、「20歳代」が42.0%で、合わせて8割を超えた。男女別では女性からの相談が約9割(89.8%)を占めた。
厚労省は「SNSの相談事業には、若者を中心に一定のニーズがあることがあらためて確認できた」としている。厚労省は、全国に「こころの健康相談ダイヤル」を設けているほか、4月以降もLINE相談に応じている団体を紹介している。また、SNSによる相談事業に関するガイドラインの作成も進めているという。
関連情報
自殺の背景には複合的な原因がある
警察庁の発表によると、2017年の日本の自殺者数は前年より576人少ない2万1,321人で、8年連続で減少している。このうち女性は6,495人で、6年連続で減少している。男性も8年連続で減少しているが、実数は女性の2.3倍にあたる1万4,826人だった。
自殺の多くには、多様かつ複合的な原因が背景にあり、さまざまな要因が連鎖している。原因・動機別にみると、「健康問題」(うつ病・身体の病気など)がもっとも多く1万778人、「経済・生活問題」(生活苦・多重債務など)が3,464人、「家庭問題」(夫婦関係の不和家族の将来悲観など)が3,179人、「勤務問題」(仕事疲れ職場の人間関係など)が1,991人だった。

一般社団法人 社会的包摂サポートセンター |
---|
LINE・チャットによる相談を行い、必要に応じ電話や対面相談へのつなぎ、居場所の提供を行う。 様々な分野の専門家とのネットワークと、全国的な地域拠点のネットワークを連携させる。 SNSをパトロールし、危険性の高いアカウントへのDM送付などを行う。 |
特定非営利活動法人 BONDプロジェクト |
若年女性を対象にネットパトロールを実施し、ハイリスク者の早期発見、LINEによる相談を実施。 必要に応じ、出張面談、同行支援、保護を実施し、弁護士やその他の専門家、全国の支援者とも提携。 |
特定非営利活動法人 地域生活支援ネットワークサロン |
Twitterで見回り活動を行い、リスクの高い者に対して、支援へ導く働きかけを実施。 |
特定非営利活動法人 OVA |
インターネットゲートキーパー活動(自殺関連語を検索した人に対し、検索連動広告を表示し、相談サイトに誘導)を実施。 メールやチャットなどを中心とした相談事業。 |
特定非営利活動法人 チャイルドライン支援センター |
18歳以下の子どもを対象に、電話による相談に加え、チャットによるオンライン相談を実施。 |
一般社団法人 日本いのちの電話連盟 |
電話による相談に加え、メール・チャットによるインターネット相談を実施。 |
自殺対策(厚生労働省)
自殺者数(警視庁)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「メンタルヘルス」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 令和7年(1月~7月)の自殺者は11,143人 前年同期比で約10%減少(厚生労働省)
- 2025年07月28日
- 日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
- 2025年07月28日
- 1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
- 2025年07月28日
- 【妊産婦を支援】妊娠時に頼れる人の数が産後うつを軽減 妊婦を支える社会環境とメンタルヘルスを調査
- 2025年07月22日
- 高齢者の社会参加を促すには「得より損」 ナッジを活用し関心を2倍に引き上げ 低コストで広く展開でき効果も高い 健康長寿医療センター
- 2025年07月18日
- 日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
- 2025年07月18日
- 「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
- 2025年07月14日
- 適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
- 2025年07月14日
- 暑い夏の運動は涼しい夕方や夜に ウォーキングなどの運動を夜に行うと睡眠の質は低下?
- 2025年07月07日
- 日本の働く人のメンタルヘルス不調による経済的な損失は年間7.6兆円に 企業や行政による働く人への健康支援が必要