約4割が「健康診断結果の措置に関する説明力が向上」 令和3年度産業保健活動総合支援事業の報告書を公表

約4割がセンターの利用によって「健康診断結果の措置に関する説明力が向上」と答えるなどしている。
産業保健総合支援センターは各都道府県に設置され、事業場で産業保健活動に携わる産業医や保健師などのほか、事業主や人事労務担当者などに研修や相談の対応にあたっている。
また同センターの地域窓口である地域産業保健センターは、労働者数50人未満で産業医の選任義務のない小規模事業場の事業者やそこで働く人を対象に産業保健サービスを提供。主に労働基準監督署管轄区域ごとに設置されている。
アウトカム調査報告書は、両センターで実施する産業保健活動総合支援の利用状況や効果についてまとめたもの。センター利用者を対象にした調査と、無作為に抽出した企業の担当者が対象のセンター外利用者調査で構成され、2021年10月1日から12月15日まで実施した。
センター利用者の調査対象は約1万8000人で、回収数は約8000人。センター利用者以外の調査対象は2万人で、回収は約6000人だった。
回答者の職種は「人事労務担当者」が最も多く全体の約3割を占める。次いで多いのは「労働者」で15%、「人事労務担当者以外の管理職」が約14%。専属産業医は約2%、嘱託産業医は約8%だった。
センター利用者調査で「事業場の産業保健活動の取り組み状況」について聞いたところ、令和2年度には約80%が「職場の感染症対策」に取り組んだと回答。次いで「健診後の事後措置」が約77%、「労働者への衛生教育・健康教育の実施」と「職場巡視の実施」が約62%と多かった。
また令和3年度上期について「以前より取り組みを充実させた」ものとして、「職場の感染症対策」は約33%と他の項目に比べて特に多かった。
また、産業保健総合支援センターで役に立ったサービスについて聞いた設問で、「大変役に立った」サービスのうち、最も多かったのは「メンタルヘルス対策促進員による支援」で約55%。次いで多いのは「図書、測定機器等の閲覧・貸出」が約48%だった。
一方、地域産業保健センターで「大変役に立った」サービスで最も多かったのは、「健診結果の医師の意見聴取」で約51%。次いで「健康相談」(43%)、「長時間労働者に対する面接指導」(約42%)となっている。

センターを利用したことによる自身への効果については、約43%が「健康診断結果の措置に関する説明力が向上」と答えた。ほかに「労働者への健康教育での指導力が向上」も約32%と高くなっている。
業種別では、情報通信業や医療・福祉、複合サービス事業、公務では「メンタルヘルスに関する助言・指導能力」でも3割を超え、他業種に比べて高い傾向が見られた。
同様に、センターを利用したことによる事業場への効果を尋ねた質問では「健康に対する意識が向上」が約54%と特に高かった。次いで「メンタルヘルス対策が充実」、「健康診断受診率が向上」と続く。「健康に対する意識が向上」と「年次有給休暇取得立が向上」は令和元年度から微増している。
治療と仕事の両立支援の取り組み状況については、時間単位機の年次有給休眠の取得、傷病休暇・病気休暇など「休眠制度の導入または工夫」とする回答が4割を超えた。
次いで、時差出勤制度や短時間勤務制度、在宅勤務、試し出勤務制度など「制度の導入や工夫が必要」とする回答が約24%となっている。令和元年度から比べると、「事業場による基本方針等の表明と労働者への周知」が増加傾向だった。


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