肥満・メタボの該当者割合が高いのは「建設業」 業態によって健康状態に大きな差が 健保連調査
最も低い「繊維製品製造業」とは大きな開きがあり、業態によって健康状態に差があることが浮き彫りになった。
同調査は令和2年度の特定健診・特定保健指導データとレセプトデータから、業態別に被保険者の健康状態や服薬状況、メンタル系疾患の有病者割合を読み取ったもの。健康状態と服薬状況は特定健診の問診回答と検診での検査値をもとにしているため、40-74歳の被保険者が対象になっている。
特定健診データは、486組合の被保険者3,471,017人(男性2,472,537人、女性998,480人)分を用いた。メンタル系疾患の有病者割合は全年齢の被保険者を対象としている。
第一部「生活習慣」では食生活や飲酒、喫煙のほか、運動習慣や睡眠の状況を聞いた結果をまとめている。このうち飲酒日の1日あたりの飲酒量が3合以上と答えた人の割合は全体で5.1%。業態別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が8.8%と最も高く、「印刷・同関連業」と「不動産業・物品賃貸業」がいずれも6.6%で続く。

一方、「医療・福祉」(3.0%)、「繊維製品製造業」(3.2%)、「教育・学習支援業」及び「複合サービス業」(いずれも3.4%)が低かった。男女別では、男性全体が6.2%、女性全体が1.9%だった。
また「現在、たばこを習慣的に吸っている」人の割合は、全体で27.5%。業態別では「木製品・家具等製造業」が35.7%で最も高く、「紙製品製造業」及び「運輸業」がいずれも34.6%、「印刷・同関連業」が34.3%と続く。一方、最も低いのは「教育・学習支援業」の17.5%で、「金融業・保険業」(17.7%)、「医療・福祉」(18.8%)も低い。
第二部「健康状態」では血圧や脂質、血糖などの検査項目で受診勧奨や保健指導判定の該当者などの割合などを調査。このうち「肥満」に該当する人の割合は全体の44.2%。業態別では「建設業」が52.5%と最多だった。 次いで「木製品・家具等製造業」が49.2%、「運輸業」が48.4%。一方、「繊維製品製造業」(27.7%)、「医療・福祉」(31.8%)、「教育・学習支援業」(35.6%)が低かった。

男女別に見ると女性全体の肥満者の割合は23.7%で、最多は飲食料品小売業の34.2%だった。
「メタボリックシンドローム」該当者は全体の17.3%。「建設業」(23.5%)、「運輸業」(21.0%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(19.5%)の順に高い。低いのは肥満の該当者と同様、「繊維製品製造業」(8.0%)、「医療・福祉」(10.5%)、「教育・学習支援業」(11.7%)だった。一方、「予備軍」の割合は全体の14.7%だった。

調査結果には、第三部で医療受診状況を掲載。第四部で業態・男女別に検査値と問診回答などをレーダーチャートで示し、それぞれの特徴を明らかにしている。
「令和2年度 業態別にみた被保険者の健康状態に関する調査」(健康保険組合連合会/令和4年11月)


「産業保健」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 令和7年(1月~7月)の自殺者は11,143人 前年同期比で約10%減少(厚生労働省)
- 2025年08月21日
- 歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
- 2025年08月20日
- 育休を「取りたい」若者は7割超 仕事と育児との両立で不安も 共に育てる社会の実現を目指す(厚生労働省)
- 2025年08月13日
-
小規模事業場と地域を支える保健師の役割―地域と職域のはざまをつなぐ支援活動の最前線―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈後編〉 - 2025年08月07日
- 世代別・性別ごとの「総患者数」を比較-「令和5年(2023)の患者調査」の結果より(日本生活習慣病予防協会)
- 2025年08月06日
-
産業保健師の実態と課題が明らかに―メンタルヘルス対応の最前線で奮闘も、非正規・単独配置など構造的課題も―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈前編〉 - 2025年08月05日
-
【インタビュー】2週間のデトックスで生産性が変わる?
大塚製薬の『アルコールチャレンジ』に学ぶ健康経営 - 2025年07月28日
- 日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
- 2025年07月28日
- 肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
- 2025年07月28日
- 1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由