フリーランス等も、労働安全衛生法の一部規定の適用対象に
「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」
発注者に「休業4日以上の死傷災害」報告義務
仕事を発注したり現場を管理したりする企業などに対して、これまで労働者以外については「労働災害の発生情報」の報告を義務付ける制度はなく、労働者以外の個人事業者などの業務上災害を網羅的に把握する仕組みはなかった。
そのため、検討会では災害報告の仕組みを構築し、導入する方向性を示した。
業務上の災害の報告対象については、当初「休業1ヶ月以上の死傷災害」なども検討されたが、今回の検討会では労働者死傷病報告の報告対象と同様に「休業4日以上の死傷災害」を対象とし、災害発生の把握後、遅滞なく報告を求めるとした。
そして仕事を発注した企業に対し、労働基準監督署への報告を義務付ける。ただし、罰則なしの義務規定とする方向で、引き続き詳細について検討を進めるとしている。
長時間労働の個人事業者から求めで、医師による面接指導の機会提供を
健康診断に関しては、国が個人事業者などに対して、保険者が実施する特定健康診査などを活用し、年に1回、一般健康診断と同様の健康診断受診を促すこととした。
また、長時間の就業については、個人事業者等に仕事を注文する者または当該仕事を管理する者(プラットフォーマーも含む。以下「注文者等」)が個人事業者等に業務を委託するときは、注文者等に対して、安全衛生を損なうような長時間就業とならない期日を設定するといった配慮を求めるとしている。
さらに注文者等から依頼される業務の性質上、就業時間が特定される場合は、「就業時間が長時間になってしまった個人事業者等から求めがあった場合に、医師による面接指導を受ける機会を注文者等が提供するものとする」ということも、素案には盛り込まれた。
厚労省では、今回の素案をもとにさらに議論を進め、安衛法改正の手続きを進めていく模様だ。個人事業者やフリーランスと契約している企業や事業所などは、今後の動向を注視していきたいところだ。
参考資料
「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」第13回資料(厚生労働省)
リーフレット「2023年4月1日から 危険有害な作業を行う事業者は以下の1、2に対して一定の保護措置が義務付けられます」(厚生労働省)
フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ(厚生労働省)


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