2021年死亡率、10年ぶりに2.2%増へ、がんの死亡率は0.6%減
「国立がん研究センター」が分析結果を報告
治療の先延ばしやがん検診の受診控えなどでタイムラグも
しかしながら、国立がん研究センターでは「医療・保健サービスの変化の影響(治療の先延ばしやがん検診の受診控えなど)が顕在化するまでにはタイムラグがある可能性があり、引き続き注視する必要がある」とコメントしている。
厚生労働省の調査(人口動態統計月報など)によると、2022年の年齢調整死亡率も男女ともに増加傾向が続いており、さらにがんに起因する年齢調整死亡率は、男性は減少しているが、女性は増加の見込みであるという。特に、女性は乳房と大腸のがんの増加が見込まれているという。
2022年の死亡率動向の見込み(参考)
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出典:「2021年の日本人の全死因死亡率は前年比で2.2%増加がん(悪性新生物)の死亡率は0.6%減少(スライド資料)」
P.22(2023.8)より
今回の結果を受け、国立がん研究センターは「全国がん登録(2020年以降)に基づくがんのステージや生存率、がん検診などさまざまなデータを組み合わせて、COVID-19のパンデミックによるがんへの影響を検討していきたい」と今後の研究展望について語っている。
COVID-19のパンデミックによって、大きく環境が変化した。それに伴い、産業保健における保健指導、健康教育といったサービスも様変わりしてきた。
国立がん研究センターの報告のように、コロナ禍の健康状況のエビデンスもさまざまな角度から蓄積されつつある。これらの成果は、産業保健に携わる専門職が事業所や従業員の健康特性を把握し、健診や保健指導のあり方といった今後の保健活動を検討する際、大いに参考となるだろう。
参考資料
2021年の日本人の全死因死亡率は前年比で2.2%増加がん(悪性新生物)の死亡率は0.6%減少(国立がん研究センター)
令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)


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