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高齢になっても働き続けることが大切 フレイルがあっても働いている人は身体機能を維持し要介護リスクが低下

 フレイルのある人は、フルタイムで働くことで、身体機能の維持を介して、要介護認定となるリスクを抑制できることが、65~84歳の男女6,386人を追跡した研究で明らかになった。

 「フレイルになっても、フルタイムで働ける仕事や作業とは何かを精査し、適材適所にマッチングすることが求められます」と、研究者は述べている。

働いている高齢者は身体機能を維持でき要介護リスクが低下

 フレイルのある人は、フルタイムで働いていることが、身体機能の維持と、要介護となるリスクの抑制にもつながることが、東京都健康長寿医療センター研究所の調査で明らかになった。

 「フレイル」は、加齢により体と心の働きが弱くなってきた状態(虚弱)のこと。健康な状態と要介護状態の中間に位置する、身体的機能や認知機能の低下が起こりやすい状態だ。

 これまでも高齢期の就業が、心身の健康に好ましい影響をおよぼすことは多数報告されている。

 研究グループは今回、高齢者の就業状況とフレイルの有無が、要介護認定の主因別にみたリスクにおよぼす累積的な影響を調べるため、東京都内の65~84歳の男女6,386人を対象に、3.6年間の追跡研究を実施した。

 その結果、フレイルのある人は、フルタイムで働くことで、身体機能の維持を介して、要介護認定となるリスクを抑制できている可能性が示された。

 フレイルでない高齢者でも、フルタイムであれ、パートタイムであれ、働くことが要介護認定となるリスクを全体に抑制していた。

 なお、不定期に働くだけでは、介護予防の効果を期待できないことも分かった。

 研究は、東京都健康長寿医療センター研究所の藤原副所長らの研究プロジェクトによるもの。研究成果は、国際雑誌「Geriatrics & Gerontology International」オンライン掲載された。

新規要介護認定発生のリスク[フレイルのある高齢者の場合]
フレイルのある高齢者も、フルタイムで働くことにより、身体機能の維持を介して要介護認定を抑制できる可能性が示された

出典:東京都健康長寿医療センター研究所、2023年

関連情報

フレイルのある人もフルタイムで働くと認知症と要介護のリスクが低下

 研究グループは、質問紙により2016年時点の就業状況[非就業3,704人、フルタイム(週35時間以上)就業1,134人、パートタイム(週35時間未満)就業1,001人、不定期就業547人]とフレイル有無を調べた。

 フレイルに該当する人は、フルタイムで働く人の17.5%、パートタイムで働く人の15.3%に上った。

 これらを類型化し、3.6年間の主因別[認知症型 対 非認知症型(主に身体機能障害による)]にみた、新規要介護認定の発生との関係を分析した。

 その結果、3.6年間で新規に要介護認定になった人は12.6%(806人)であり、そのうち非就業が16.8%、フルタイムが5.6%、パートタイムが5.8%、不定期が11.2%だった。

 具体的には、フレイルのない群(つまり頑健な群)では、非就業群と比較して、フルタイム、パートタイムいずれも、認知症と認知症以外を合わせた新規の認定が全体で31~34%抑制されていた。

 一方、フレイル群では、フルタイムのみ新規認定の全体のリスクが57%抑制されていた。

 主因別にみると、認知症型の新規認定はフルタイムの場合では、フレイルでない群は50%抑制され、フレイル群では60%抑制された。

フルタイムで働ける仕事をみつけて適材適所にマッチング

 「今回の調査でえられた知見は、国や自治体が進める多様な通いの場でも、有償の活動である"就労的活動"を取り入れることに意義があることを示す、エビデンスにもなりえます」と、研究者は述べている。

 「今後は、フレイルになっても、フルタイムで働ける仕事や作業とは何かを精査し、適材適所にマッチングすることが求められます」としている。

東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加とヘルシーエイジング研究チーム
The relationship between working status in old age and cause-specific disability in Japanese community-dwelling older adults with or without frailty: A 3.6-year prospective study (Geriatrics & Gerontology International 2023年9月28日)

[Terahata]