ニュース
コーヒーを飲むと認知症のリスクが減少 心臓病や脳卒中のリスクも低下 飲みすぎにはご注意
2023年12月12日

コーヒーを飲む習慣は、認知症の発症リスクの減少と関連しているという調査結果が発表された。
コーヒーを1日に2~4杯飲んでいる人は、アルツハイマー病の発症リスクが21%低いことが分かった。
コーヒーを飲んでいる人は、心臓病や脳卒中のリスクが低く、寿命が長い傾向があることも示されている。
コーヒーを飲んでいる人はアルツハイマー病のリスクが低い
コーヒーをよく飲んでいる人は、アルツハイマー病の発症リスクが低いという調査結果を、韓国の仁済大学などが発表した。 研究グループは、コーヒーを飲む習慣とアルツハイマー病などの発症との関連を調べた11件の研究を解析。それらは米国・ハワイ・カナダ・イタリア・ポルトガル・日本・スウェーデン・フィンランドの6,121人を対象に調査したもの。 その結果、コーヒーを1日に1~2杯飲むのを習慣としている人が多かった。さらにコーヒーを1日に2~4杯飲んでいる人は、アルツハイマー病の発症リスクが21%低いことが明らかになった。 ただし、コーヒーを1日に4杯以上飲んでいる人では、アルツハイマー病の発症リスクは1.04倍とむしろ上昇した。コーヒーを飲みすぎるのも良くないようだ。 研究は、韓国の仁済大学のデジタルアンチエイジングヘルスケア研究所などのイリン スルタナ ニラ氏らによるもの。研究成果は、「Journal of Lifestyle Medicine」に掲載された。 研究グループは、コーヒーの摂取によるアルツハイマー病に対する保護効果について、コーヒーに含まれるカフェインやポリフェノールなどの生理活性化合物の影響を指摘している。カフェインが認知症などに対して予防的に働いている可能性

コーヒーを飲んでいる人は心臓病や脳卒中のリスクが低下
欧州心臓病学会(ESC)が発表した別の研究では、コーヒーを1日に2~3杯飲んでいる人は、心血管疾患のリスクが低く、寿命が長い傾向があることが示されている。
「今回の大規模な観察研究で、コーヒーを飲む習慣は、心臓病や脳卒中の心血管疾患の発生リスクや、疾患などの原因による死亡のリスクを減少させることに関連していることが示されました」と、オーストラリアのベーカー心臓病・糖尿病研究所のピーター キスラー教授は言う。
「UKバイオバンク」は、遺伝的素質や環境因子が健康にもたらす影響を調査している、英国の大規模な前向きコホート研究。
研究グループは、「UKバイオバンク」に参加した44万9,563人の40歳~69歳の成人を対象に、コーヒーの摂取状況と、不整脈や、冠状動脈性心疾患・うっ血性心不全・虚血性脳卒中などを含む心血管疾患などの発症との関連を調査した。追跡期間の中央値は12.5年だった。
その結果、コーヒーの摂取は、あらゆる原因による死亡リスクの減少と関連していることが示された。
期間中に6.2%(2万7,809人)の人が死亡したが、1日にコーヒーを2~3杯飲んでいる人は、コーヒーを飲まない人に比べ、挽いた豆で淹れたコーヒーを飲んでいる人で27%、インスタントコーヒーを飲んでいる人で11%、カフェイン抜きのコーヒーを飲んでいる人で14%、それぞれ死亡リスクが低かった。
さらに、コーヒーの摂取は、心血管疾患の発症リスクの減少とも関連していることが分かった。
1日コーヒーを2~3杯飲んでいる人は、心血管疾患のリスクがもっとも低く、挽いた豆のコーヒーで20%、インスタントコーヒーで9%、カフェイン抜きのコーヒーで6%、それぞれ死亡リスクが低かった。
ただし、カフェインを過剰に摂取すると、中枢神経系が刺激され、めまい・心拍数の増加・興奮・震え・不眠症・吐き気などの健康障害が起こることもあるとしている。コーヒーの飲みすぎにも注意が必要だ。
欧州食品安全機関(EFSA)は、コーヒーを1日に3~4杯飲む習慣は、ほとんどの成人にとって安全としている。3~4杯のコーヒーに、カフェインはおよそ400mg含まれる。
Effect of Daily Coffee Consumption on the Risk of Alzheimer's Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis (Journal of Lifestyle Medicine 2023年8月31日)
Caffeine and dementia (アルツハイマー協会 2023年3月8日)
High blood caffeine levels in older adults linked to avoidance of Alzheimer's disease, USF-UM study reports (サウスフロリダ大学 2012年6月4日)
High Blood Caffeine Levels in MCI Linked to Lack of Progression to Dementia (Journal of Alzheimer's Disease 2012年6月4日)
Does coffee help or harm your heart? (ハーバード大学医学部 2023年8月1日)
Coffee drinking is associated with increased longevity (欧州心臓病学会 2022年9月27日)
The impact of coffee subtypes on incident cardiovascular disease, arrhythmias, and mortality: long-term outcomes from the UK Biobank (European Journal of Preventive Cardiology 2022年9月27日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「特定保健指導」に関するニュース
- 2025年07月28日
- 日本の「インターバル速歩」が世界で話題に 早歩きとゆっくり歩きを交互に メンタルヘルスも改善
- 2025年07月28日
- 肥満と糖尿病への積極的な対策を呼びかけ 中国の成人男性の半数が肥満・過体重 体重を減らしてリスク軽減
- 2025年07月28日
- 1日7000歩のウォーキングが肥満・がん・認知症・うつ病のリスクを大幅減少 完璧じゃなくて良い理由
- 2025年07月28日
- 【妊産婦を支援】妊娠時に頼れる人の数が産後うつを軽減 妊婦を支える社会環境とメンタルヘルスを調査
- 2025年07月22日
- 【大人の食育】企業や食品事業者などの取り組み事例を紹介 官民の連携・協働も必要 大人の食育プラットフォームを立ち上げ
- 2025年07月22日
- 高齢者の社会参加を促すには「得より損」 ナッジを活用し関心を2倍に引き上げ 低コストで広く展開でき効果も高い 健康長寿医療センター
- 2025年07月18日
- 日本人労働者の3人に1人が仕事に影響する健康問題を経験 腰痛やメンタルヘルスなどが要因 働きながら生産性低下を防ぐ対策が必要
- 2025年07月18日
- 「サルコペニア」のリスクは40代から上昇 4つの方法で予防・改善 筋肉の減少を簡単に知る方法も
- 2025年07月14日
- 適度なアルコール摂取は健康的? 大量飲酒の習慣は悪影響をもたらす お酒との良い関係
- 2025年07月14日
- 暑い夏の運動は涼しい夕方や夜に ウォーキングなどの運動を夜に行うと睡眠の質は低下?