子ども家庭庁「令和4年度母子保健事業の実施状況等」公表
進む産後うつ対策、「成育医療等方針に基づく計画」策定は5割未満
子ども家庭庁は1月15日、自治体を対象に実施した調査「令和4年度母子保健事業の実施状況」の結果を公表した。
それによると産後うつ病をスクリーニングするEPDSを実施している自治体は前年に比べて増加し、産後うつ対策は多くの自治体で進んでいることがわかった。一方、「成育医療等基本方針」に基づく計画を策定している自治体は約46.0%と、従来の「母子保健計画策定指針(2014年)」に基づく計画からの移行期でもあり、半数以下にとどまっていた。
こども家庭庁発足後、初の母子保健事業実施状況報告
こども家庭庁は「こどもまんなか社会」の実現を目的として、2023年4月に発足した。子育てや少子化、児童虐待、いじめなど子どもを取り巻く社会問題に対して、本質的な対策を進め、解決するために、内閣府に設置されている。
子どもへの取り組みは、厚生労働省、文部科学省、内閣府などさまざまな省庁に分散されていたが、それらを一本化し、縦割り行政を解消することが期待されている。
母子保健事業もこれまで厚生労働省管轄だったが、こども家庭庁に移管され、今回公表された「母子保健事業の実施状況」は、移管後初の報告となる。
自治体での「産後うつ」への対策は進む
今回の報告は、地方自治体における母子保健事業の実施状況等の把握や、成育医療等基本方針に基づく計画策定や実施、地域の母子保健事業の推進に活用することを目的としている。調査対象は1,741の市区町村。
各市区町村の乳幼児健康診査の実施状況や、産後・育児期の支援状況なども調査。産後のメンタルヘルス対策についても聞いている。
産後の母親は「産後うつ」に代表されるように、メンタルヘルス不調を生じやすい。放置すれば幼児虐待やネグレクトなどにつながる可能性もあり、早期介入・早期支援が重要だ。
産後うつ病のスクリーニングで、国際的評価を得ている「エジンバラ産後うつ病自己評価票(Edinburgh Postnatal Depression Scale:EPDS)」を実施しているかどうか聞いた設問では、「全ての褥婦を原則対象として実施」と答えた自治体が1,502と全体の86.3%を占め、前年の81.1%より増加していた。
「一部の褥婦を対象」も含めると9割を超え、「EPDS以外の連絡票や他の調査方法等を実施して把握」を加えると97.1%の自治体で何らかのスクリーニングを実施していた。
また産後1か月で、EPDSの点数が30満点中9点以上を示し、産後うつ病になる可能性が高い母親へのフォロー体制は「母子保健担当署内で対象者の情報を共有し、今後の対応を検討している」が93.7%で、「2週間以内に電話にて状況を確認」が69.3%、「1か月以内に家庭訪問」が74.1%といずれも前年より増加。産後うつに対する体制の整備は進んできているといえる。


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