令和4年度 健保組合医療費、対前年比6.5%増
―1人当たりの医療費の伸び率、「新型コロナ関連等」が110%
新型コロナ関連等の医療費が大きく増加
疾病19分類別医科医療費の構成割合をみると、①新生物:11.7% ②呼吸器系疾患:10.8% ③内分泌・栄養・代謝疾患:9.2% ④循環器系疾患:8.9% ⑤新型コロナ関連等:7.6%となっている。上位5疾患で全体の48.3%と約半数を占めた。
前年度の第5位は消化器系疾患で、新型コロナ関連等の医療費は3.9%と下位に位置していた。
「令和4年度 健保組合医療費の動向に関する調査」P.11 より
加入者1人当たり医療費は、新生物:1万6,970円、呼吸器系疾患:1万5,692円、内分泌・栄養・代謝疾患:1万3,393円。伸び率をみると、新型コロナ関連等が110.9%と大きく増加。次いで腎尿路生殖器系疾患:22.8%、呼吸器系疾患:15.3%、神経系疾患:7.8%だった。
また、推計新規入院件数(1,000人当たりレセプト件数)は、新型コロナ関連等が16.8件と最も多く、次いで消化器系疾患:16.3件、新生物:10.9件、内分泌・栄養・代謝疾患及び循環器系疾患:8.5件となった。
このように令和4年度健保組合医療費は、新型コロナ関連等が影響を及ぼしていることが大きな特徴となっている。
新型コロナウイルス感染症は、令和5年5月に「5類感染症」になった。医療費は「5類」への移行を受け、外来での窓口負担分は自己負担に見直された。一方、高額なコロナ治療薬については、一部公費負担が続けられてきたが、支援策の見直しが行われた昨年10月から医療費の負担割合に応じて、薬の種類にかかわらず最大で9,000円の自己負担が求められるようになった。
しかし、これについても今年4月からは公費負担が終了し、自己負担額が上がる。今後もしばらくは、新型コロナ関連等の医療費が、健保組合はもちろん日本の医療費に影響を及ぼすことになる可能性は高い。
「令和4年度 健保組合医療費の動向に関する調査」P.20 より
なお、今回の健保連調査において、「新型コロナウイルス(COVID-19)」は、疾病 19分類(社会保険表章用疾病分類表)では「XXⅡ:特殊目的用コード(U00-99)」に分類されているが、調査では便宜上、名称を「新型コロナ関連等」と置き換えている。
また令和4年4月から新たに不妊治療が保険適用となり、疾病分類上、不妊治療に係る医療費の多くが「腎尿路生殖器系疾患」に計上されるため、同分類の伸び率にその影響がみられる。
参考資料
統計データ(健診・医療費統計)(健康保険組合連合会)
令和4年度 健保組合医療費の動向に関する調査(健康保険組合連合会)
令和4年度 医療費の動向-MEDIAS-(厚生労働省)
「おすすめニュース」に関するニュース
- 2025年08月21日
- 歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
- 2025年08月13日
-
小規模事業場と地域を支える保健師の役割―地域と職域のはざまをつなぐ支援活動の最前線―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈後編〉 - 2025年08月06日
-
産業保健師の実態と課題が明らかに―メンタルヘルス対応の最前線で奮闘も、非正規・単独配置など構造的課題も―
【日本看護協会「産業保健に関わる保健師等の活動実態調査」】〈前編〉 - 2025年08月05日
-
【インタビュー】2週間のデトックスで生産性が変わる?
大塚製薬の『アルコールチャレンジ』に学ぶ健康経営 - 2025年07月18日
- 改正労働施策総合推進法が成立 ハラスメント・女性活躍・両立支援を強化
- 2025年07月07日
-
ノンアルコール飲料の活用が ''減酒支援ツール'' に?
特定保健指導・健康経営での活用法とは【産衛学会レポート公開中】 - 2025年06月27日
-
2023年度 特定健診の実施率は59.9%、保健指導は27.6%
過去最高を更新するが、目標値と依然大きく乖離【厚労省調査】 - 2025年06月17日
-
【厚労省】職域がん検診も市町村が一体管理へ
対策型検診の新項目はモデル事業で導入判断 - 2025年06月05日
- 【専門職向けアンケート】飲酒量低減・減酒に向けた酒類メーカーの取り組みについての意識調査(第2回)<受付終了>
- 2025年06月02日
- 肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】














