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ますます重要度が増す、災害時保健活動の取り組み
東京都で「一斉帰宅抑制推進企業」取組事例集を公表

令和 3年12月には産業医科大学に「災害産業保健センター」新設

 『取組事例集』をみると、企業の災害時の取り組みの一環として「一斉帰宅抑制」があることわかる。災害が起きた場合、総務や人事部門が中心的な役割を果たしていくが、専門職として従業員の健康や公衆衛生的側面から支援を担うのが産業保健スタッフだ。
 災害というと大地震や津波などの「自然災害」が思い浮かぶが、事業所が直面する危機には、火災や爆発などの大規模事故なども含まれてくる。

 時間経過とともに従業員はさまざまな健康リスクに直面してくる。産業保健スタッフには被災直後の緊急対応だけでなく、それら健康リスクへの対応も求められる。時には自社の従業員ばかりでなく、地域住民へ及ぼす健康影響に対しても、中長期的に判断して対応する必要も出てくるだろう。
 一方で、事業所全体の被害を最小限にして事業を存続させていくために、専門職として何ができるのかということも考えていかなければならない。さらに、被災者を支援している関係者や保健スタッフ自身の健康状態にも目を向けることも必要だ。

 産業保健分野での中心的な研究・実践を行い、人材を育成している産業医科大学では、今後発生し得る災害時の企業等における産業保健ニーズ支援や労働者の健康確保支援を目的に、令和 3年12月、産業生態科学研究所に「災害産業保健センター」を新設した。同センターではウェブサイトなどを通し、災害産業保健に関する多くの有益な情報を発信している。

3月には市町村向けガイド公開


『市町村における災害時保健活動マニュアルの策定
及び活用のためのガイド』

 災害時の保健活動は、地域防災計画を実質化させ、災害時の緊急対応から住民にアプローチし、中長期に計画を立てて地域を復興させていく重要な活動となる。自治体においても、地域保健分野の専門職として求められる役割は大きい。
 近年、毎年のように全国各地で自然災害が甚大な被害をもたらしている。地域の実情によって、どのような災害が起こり、地域住民の生活へどのような影響を及ぼすかは、さまざまだ。

 地域防災計画は、国の防災対策基本法に基づき作成されている。だが、実際に災害に遭遇した場合の「災害時保健活動」についてのマニュアルなどは、なかなか作成されてこなかった。そこで、令和4~5年度厚生労働科学研究費補助金による「自治体における災害時保健活動マニュアルの策定及び活動推進のための研究」が進められ、手引きや事例集などの検討が行われた。
 その成果として研究班は、今年3月に『市町村における災害時保健活動マニュアルの策定及び活用のためのガイド(初版)』本編・別冊を公開している。

 東日本大震災をはじめ、今年元日に起きた令和6年能登半島地震などの例をみるまでもなく、自然災害が多い日本において、今後は地域や産業などの分野を跨いで実施される「災害時保健活動」の重要度がますます増してきている。
 日ごろの保健活動とともに、これらの情報にも目を配り、いざというときのためにマニュアルなども策定・更新し、備えておくことも「大切な業務」だろう。

参考資料

令和5年度一斉帰宅抑制推進企業取組事例集の公表について(東京都防災ホームページ)
産業医科大学 産業生態科学研究所 災害産業保健センター
自治体における災害時保健活動マニュアルの策定及び活動推進のための研究
危機事象発生時の産業保健ニーズ~産業保健スタッフ向け危機対応マニュアル~(産業医実務研修センター)

保健指導リソースガイドでは「災害/感染症/BCP対策」の特集ページを公開しています。災害保健活動の参考資料として、業務にお役立てください。

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[保健指導リソースガイド編集部]
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