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令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」より
相談内容はパワハラが最多、パワハラ経験率が高いのは管理職

パワハラの具体的な内容は

 受けたパワハラの内容は、「脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)(48.5%)」が最も多く、次いで「業務上明らかに不要なこと、遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)(38.8%)」と続く。
 前回調査と比較すると、おおむね同様の傾向であるが、「脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)」の割合は前回より減少したが、他の項目については前回と同じ、または増加していた。

受けたパワハラの内容(令和2年度調査結果との比較)

出展:令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書
P.124(2024.5)より

 多くの企業では、パワハラも含めた「ハラスメント防止」に向けて、さまざまな取り組みをしている。調査よると「相談窓口の設置と周知」が最も高く約7割が実施。次いで「ハラスメント防止の方針の明確化と周知・啓発」で約6割の企業が取り組んでいた。
 そして、ハラスメント防止の取り組みが進んでいる企業ほど、ハラスメントの発生率が低くなる傾向がみられている。

ハラスメント防止の課題

 ハラスメント防止には多くの課題が残っている。特に「ハラスメントかどうかの判断が難しい」との回答は6割近くあり、管理職や一般社員の意識不足も2割以上だった。また、ハラスメントを受けた従業員の精神的なケアも重要となるが、「どのように対応をしてよいか難しい」といった声も多く聞かれる。

 従業員がパワハラ、セクハラを受けた後の行動として、「何もしなかった」がそれぞれ36.9%、51.7%と最も多く、自ら適切な対応をとることが難しい状況を示している。何もしなかった理由としては「何をしても解決にならないと思ったから」が最も多く、それぞれ65.6%、52.7%にも上っていた。
 勤務先のハラスメント認識をみてみると、「認識していた」の割合はパワハラで37.1%、セクハラで23.9%と半数を下回っていた。ハラスメントを知った後の勤務先の対応は、パワハラとセクハラでは「特に何もしなかった」が最も高く、それぞれ53.2%と42.5%という結果だった。

パワハラ/セクハラを受けていることを認識した後の勤務先の対応

出展:令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)
P.25(2024.5)より

 職場で適切な対策が取られていないケースでは、いうまでもなく精神的な負荷がかかり、従業員のメンタルヘルス不調に陥る場合が多い。また周囲にいる従業員のメンタルヘルスや職場環境にも影響を及ぼすことがわかっている。
 一方、ハラスメントの予防・解決の取り組みを進めた企業では、副次的効果として「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しがよくなる(39.1%)」「会社への信頼感が高まる(34.7%)」といった結果が出ている。

 依然として深刻化している教育現場でのいじめ問題と同様、当事者間の問題ばかりでなく、それを見つめる周囲の人たちの目が重要だといわれている。
 今回の実態調査と自分の職場を照らし合わせ、ハラスメントを受けた従業員が「何をしても解決にならないと思ったから」という理由で何も行動を起こさず、7割もの企業が設置している相談窓口にも相談がない職場環境から少しでも風通しのよい環境へと変えていくことが求められるだろう。

参考資料

【報道発表資料】「 職場のハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表します(厚生労働省)
職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)(厚生労働省)
あかるい職場応援団:職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト(厚生労働省)

[保健指導リソースガイド編集部]