初めて「こころの健康」がテーマに ストレスが最大の健康リスクと感じる人は20年で3倍-『令和6年版 厚生労働白書』
30から40歳代の若い世代で「こころの健康」あまりよくないと感じている
それでは人々は自身の健康状態に対してどのように認識しているのだろうか。厚労省の調査によると、自身のこころの健康状態について、30-40歳代は「よくない」・「あまりよくない」と答えている人が約27%にも上り、他の世代と比べて特に割合が多いことがわかった。
出典:令和6年版 厚生労働白書 全体版(2024.8)P.84 より
30-40歳代は社会的には仕事や子育てなどに活動的となる時期となる。その一方で転職、結婚、妊娠・出産といったライフイベントのほか、仕事や家庭での責任・負担が増え、長時間労働やハラスメント、仕事と子育ての両立の問題などが増え、こころの不調につながりやすくなる。
さらに現代は核家族化やデジタル化の進展、コロナ禍での行動制限の増加など、仕事や家庭について悩みがあっても周囲のサポートが得にくく、悩みを抱え込みやすい環境に陥りやすい。
しかし「こころの不調」は「身体の不調」と比べて家族や学校、職場などへ相談する割合が低く、相談をためらう傾向にあることもわかった。
出典:令和6年版 厚生労働白書(2024.8)P.13 より
10年間で100万人のサポーター養成へ
これらを踏まえ、白書では「こころの不調を抱える当事者を含め、一人ひとりが生きがいや役割を持ち、相互に助け合う一員として地域に参加することの実現を目指す」としている。また当事者の参加が、ピアサポートや地域の理解促進、スティグマ(差別や偏見)の解消に向けた取り組みにおいて重要な役割を果たす可能性があると言及している。
そのためにも「こころの不調」を改善していくためにはライフステージごとに早期から学校や職場・自治体等でのメンタルヘルスに関する相談窓口を設置するなど気軽に相談できる支援体制を構築していくことが重要だ。
そこで厚労省は令和6年度からの10年間で地域や職場で、こころの問題を抱える人を支援する「こころのサポーター」を100万人養成する目標を掲げている。
なお、白書の第2部では、「現下の政策課題への対応」と題し、従来取り上げてきた子育て、雇用、年金、医療・介護など、厚生労働行政の各分野について、最近の施策の動きをまとめている。詳細は、参考資料の厚労省のホームページを参照していただきたい。
参考資料
令和6年版厚生労働白書-こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に(厚生労働省)
白書、年次報告書(厚生労働省)
「世界メンタルヘルスデーJAPAN2024」特設サイト(厚生労働省)


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