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テレワークは運動不足になりやすい テレワーク労働者の⾝体活動を促進するプログラムを実施 運動量が増加

 テレワーク労働者はオフィス労働者に⽐べて、⾝体活動が少なく、座位時間が⻑く、健康リスクが高い傾向があることが課題になっている。

 筑波大学などはこのほど、テレワーク労働者を対象に、⾝体活動を促進する多要素プログラムを提供し、その効果を調べるランダム化⽐較試験を実施。

 その結果、テレワーク労働者の⾝体活動量が有意に増加し、プログラムの実⾏可能性が⽰された。

テレワーク労働者は運動不足になりやすい 健康リスクが上昇

 テレワークは厚生労働省によると、情報通信技術(ICT)を活用した、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方や、本拠地のオフィスから離れた場所でICTを使って仕事をすることを示す。

 テレワークは、新型コロナなどの感染症の拡大を防止する手段として注目されるようになった。現在は、育児・介護などに取り組む従業員に対する福利厚生策など、会社全体の働き方改革の施策のひとつとして期待されている。

 新型コロナが5類感染症に移⾏した後の2024年3⽉の東京都の報告では、都内企業の44%がテレワーク勤務を実施しており、勤務形態のひとつとして定着している。

 一方、テレワーク労働者はオフィス労働者に⽐べて、⾝体活動が少なく、座位時間が⻑く、健康リスクが高い傾向があり、テレワーク労働者に対する⾝体活動促進対策が⼗分ではないことが課題になっている。

 そこで筑波大学などはこのほど、テレワーク労働者を対象に、⾝体活動を促進する多要素プログラムを提供し、その効果を調べるランダム化⽐較試験を実施した。

 その結果、テレワーク労働者の⾝体活動量が有意に増加し、プログラムの実⾏可能性が⽰された。

関連情報

テレワーク労働者を対象に多要素運動プログラムを実施 ⾝体活動量が増加

 研究グループは今回、テレワーク労働者52人(平均年齢 38.1歳、⼥性 37%)を対象に、介⼊群には、8週間の多要素⾝体活動促進プログラムに取り組んでもらい、⾝体活動を促進するための個⼈戦略(講義、印刷物、⽬標設定、フィードバック、ポスター)、社会⽂化的環境戦略(チーム構築、雰囲気づくり)、組織的戦略(役員によるメッセージ)を提供した。⼀⽅、対照群には最⼩限の介⼊として、ポスターを提供した。

 なお、対象者に対する説明会、アンケート調査、介⼊プログラム提供は、参加企業の担当者と協議したうえで、すべてテレワークで実施した。

 その結果、8週間を通して、介⼊群と対照群の⾝体活動量の変化に有意差はみられなかったが、介⼊群では1日の低強度⾝体活動が14分、勤務⽇の中⾼強度⾝体活動時間が9.4分、歩数が984歩、それぞれ増加した。

 中⾼強度⾝体活動は、速めのウォーキング、階段の昇降、⾃重トレーニングなど、3メッツ以上の⾝体活動を示す。

 研究は、筑波⼤学体育系の中⽥由夫教授、MS&ADインターリスク総研によるもの。研究成果は、「Journal of Occupational Health」に掲載された。

多要素運動プログラムはテレワーク労働者でも実⾏可能

 「今回の介入試験の結果から、テレワーク労働者を対象とした多要素⾝体活動促進プログラムの実⾏可能性が⽰唆されました。研究成果は、⽇本でのテレワーク労働者の⾝体活動を促進するための対策づくりに役⽴ちます」と、研究者は述べている。

 研究グループはこれまで、多要素⾝体活動促進プログラムを開発し、テレワーク勤務と出社勤務の両⽅を実施しているオフィス労働者に対して、単群介⼊試験として提供したところ、対象者の中⾼強度の⾝体活動の時間(MVPA)が1日に7.3分増え、テレワーク勤務⽇に限っても、7.1分増えたことを確認している。

 なお今回の研究では、ポスターのみを提供した対照群でも、勤務⽇の歩数が1日895歩増えていた。介⼊内容が対照群にも知られてしまったことが疑われるが、提供した多要素⾝体活動促進プログラムは、テレワーク労働者でも実⾏可能であることが示された。

 研究は、JST SPRING、厚⽣労働科学研究費補助⾦、⽇本学術振興会科学研究費補助⾦、筑波⼤学ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センターの⽀援を受け実施された。

筑波⼤学体育系 スポーツトランスレーショナル研究分野
Effectiveness of a multicomponent intervention to promote physical activity among Japanese remote workers: a pilot open-label randomized controlled trial (Journal of Occupational Health 2024年9月5日)

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