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テレビの見すぎと運動不足で精子数が減少
2013年02月19日
1日3時間以上テレビを見る男性の精子数は、ほとんどテレビを見ない男性の半分しかない。一方、週に活発な運動を15時間以上行っている男性で精子数が多い――こんな研究が米国で発表された。
米ハーバード公衆衛生大学院のオードリー ガスキンズ博士らの研究チームは、ニューヨーク州ロチェスターに在住している18~22歳の男性189人を対象に調査を行った。 研究チームは、参加者に精液サンプルを提供してもらった。精子の大きさや形、運動性、濃度、総数を分析した。 同時に生活習慣について質問した。質問には、ストレスや喫煙習慣などの精子の質に影響する項目のほかに、過去3ヵ月間の運動や食事の内容、テレビの視聴時間などが含まれていた。 その結果、もっともテレビやDVDなどの視聴時間が長いグループ(週20時間以上)は、もっともテレビ視聴時間の少ないグループ(ほとんど見ないか全く見ない)と比べて精子が44%少ないことが分かった。 また、テレビ視聴時間のほかに、運動習慣も精子の数に大きく影響していることが分かった。軽度から活発なものまで、運動を週15時間以上行っている男性は、運動時間が週5時間未満の男性よりも精子数が73%多かった。 「いくつかの国で行われた研究で、この数十年間で男性の精子の質は低下傾向にあることが示されています。生活スタイルが影響しているとみられますが、どんな生活をすれば精子の数が増減するのか、よく分かっていませんでした」と、ガスキンズ博士は話す。 運動と精子の質に関するこれまでの研究は、マラソンや自転車のプロ選手などスポーツのトップ選手を対象としたものだったが、今回の研究は一般男性にも当てはまるように対象を広げたことが特徴となる。 結果として、運動を習慣として行っている男性では、テレビの視聴時間が長い男性に比べ、精子数が増えることが示された。 原因ははっきりと分かっていないが、座りがちの生活によって陰嚢が締め付けられ温められ、これが精液濃度に影響しているのではないかと研究者はみている。 一方で、運動不足は酸化ストレスを増やし、有害な活性酸素による細胞の劣化を招く。そのほかに精子数の減少との因果関係が指摘されているのは、肥満、オメガ3脂肪酸の摂取不足、炭水化物の過剰摂取などの食習慣だ。 必ずしも男性の精子数が少ないと、女性が妊娠できなくなるわけではないが、先進国を中心に蔓延している「座りがち」な生活習慣は、不妊カップルの増加と無関係ではないだろうと研究者は指摘している。 TV viewing, exercise habits may significantly affect sperm count(米ハーバード公衆衛生大学院 2013年2月5日)
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