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スマホや携帯のメールで生活習慣改善をアドバイス 自動メールで効果
2015年11月04日

冠動脈疾患の患者のスマートフォンなどに生活習慣の改善をアドバイスするショートメールを送信するという、簡単で低コストの自動化されたプログラムによって、患者のLDLコレステロール値、血圧値、BMIを低下させ、喫煙率を低下できるという研究結果が発表された。
患者のスマートフォンや携帯電話にショートメールを送信
冠動脈疾患の患者のスマートフォンや携帯電話に、生活習慣の改善に関するアドバイスを含むテキストメールを自動的に送信することで、患者の冠動脈疾患の患者のLDLコレステロール値、血圧値、BMIを低下させ、喫煙率を低下できるという研究結果が発表された。
この研究はオーストラリアのシドニー大学のクララ チャウ氏らによるもので、「米国医師会雑誌」(JAMA)に発表された。
研究の対象となったのは、心筋梗塞、冠動脈バイパス術、冠動脈インターベンションを受けているか、冠動脈1ヵ所以上での50%以上の狭窄があることが確認された患者710人。
研究チームは、患者を従来療法に加えテキストのショートメールによるアドバイスを受ける介入群(352人)と、従来療法のみの対照群(358人)に無作為に分けた。参加者の平均年齢は58歳で、53%は喫煙者だった。
介入群は、生活習慣の改善をアドバイスする一方向性のショートメールを1週間に4通、6か月にわたり受け取った。
ショートメールは、動機付け、行動変容のためのサポートを重視した内容で、具体的には――・ 塩分の摂取量を減らすために、料理にスパイスやハーブを使うと効果的です、
・ ウォーキングはいつでもどこでも行え、特別な費用は必要ありません。必要となるのはウォーキングに適したシューズとウェアだけです、
・ あなたがたばこを吸い始めたきっかけを思い出し、どうすれば禁煙できるかを考えてみましょう、
・ 精神的なストレスや悩み、孤立した生活は心臓病のリスクになることが過去の研究で確かめられています。悩みがあり助けを必要としているのなら医師に相談してみましょう、
といった内容だった。 メッセージはデータベースに登録され、参加者の特徴に合わせて自動的に選択されて送信された。例えば参加者が喫煙している場合は、禁煙を勧める内容などが含まれていた。 ショートメールの頻度は週に4通で計100通ほどで、費用は患者1人当たり1,200円(10ドル)程度だったという。
一方向のメッセージでも効果がある
その結果、6ヵ月後に介入群は対照群に比べて、LDLコレステロールが低下し(79mg/dL 対 84mg/dL)、収縮期血圧が低下し(128mmHg 対 136mmHg)、喫煙者の割合も低下しした(26% 対 43%)。
また、平均してBMIは1.3低下し、身体活動量は週に293メッツ増えた。冠動脈疾患のガイドラインで改善を求められる5項目のリスク因子のうち3つを達成できた患者の割合も高まった(63% 対 34%)。
ショートメールを受け取った参加者からは、「メッセージは有用」(91%)、「理解が容易」(97%)、「頻度が適当」(86%)という高い評価を得られた。
「心血管疾患は世界的に主要な死亡原因になっています。生活習慣の改善による心血管疾患の予防は極めて重要ですが、実際には十分な対応はとられていません。携帯電話のショートメールのような一方向性のコミュニケーションを活用すれば、生活習慣の改善を促し、動機付けや行動変容を高められることが確かめられたのは重要です」と、チャウ氏は述べている。
Lifestyle Focused Text Messaging Results in Improvement in LDL Cholesterol and Other Cardiovascular Risk Factors(米国医師会雑誌 2015年9月22日)Effect of Lifestyle-Focused Text Messaging on Risk Factor Modification in Patients With Coronary Heart Disease(米国医師会雑誌 2015年9月22日)
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