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「低GIの食事」で⼼筋梗塞や脳梗塞のリスクを減少 食物繊維が豊富な「全粒穀物」でメタボのリスクを低下
2021年11月22日
「グリセミック・インデックス(GI)」は、食後血糖値の上昇度を示す指数のこと。GIの高い食事をしていると、血糖値が短時間で上昇しやすくなる。
GIが低い食事をしていると、とくに⼼筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患のリスクが低下するという研究が発表された。
食事のGIを低くし、血糖値が上がりにくくするために、食物繊維が豊富に含まれる「全粒穀物」を利用する方法がある。
全粒穀物を食べると、ウエスト周囲径や血圧も低下し、メタボリックシンドロームのリスクが大幅に減少するという研究も発表された。
糖質や食物繊維により血糖値の上がりやすさに違いが
グリセミック・インデックス
数値が低いほど食後の血糖値が上がりにくい
数値が低いほど食後の血糖値が上がりにくい
炭水化物は大切な栄養素 でも急な血糖上昇には注意が必要
グリセミック・インデックス(GI)が低いと死亡リスクは低下
研究グループは、調査の参加者にアンケートに答えてもらい、食事のGIとGLを算出した。 GIと死亡リスクの関係を解析した結果、GIが高いほど全死亡リスクは高く、GIがもっとも低いグループに比べ、GIがもっとも高いグループの全死亡リスクは14%高いことが分かった。 さらに、死因別では、GIがもっとも低いグループに比べ、GIがもっとも高いグループの死亡リスクは、循環器疾患で28%、心疾患で33%、脳血管疾患で32%、呼吸器疾患で45%、それぞれ上昇した。これらの死因についても、GIが高いほど死亡リスクが高いことが明らかになった。 一方、GLについては、全死亡リスクとの関連はみられなかったが、死因別の死亡リスクでは、循環器疾患と脳血管疾患で、GLが高いほど死亡リスクが高くなった。 GLがもっとも低いグループに比べ、GLがもっとも高いグループの死因別死亡リスクは、循環器疾患で24%、脳血管疾患で34%、呼吸器疾患で35%、それぞれ上昇した。 男女別に行った解析でも、同様の結果になった。
グリセミック・インデックス(GI)と死亡原因別の死亡リスク
GIが高くなると死亡リスクが上昇した グリセミック・ロード(GL)と死亡原因別の死亡リスク
GLが高くなると死因別の死亡リスクが上昇した
GIが高くなると死亡リスクが上昇した グリセミック・ロード(GL)と死亡原因別の死亡リスク
GLが高くなると死因別の死亡リスクが上昇した
出典:国立がん研究センター、2021年
高インスリン血症が循環器疾患の発症に大きく影響
GIやGLについての研究は、ほとんどが欧米人を対象としており、食習慣や死因となる疾病が異なる日本人で、GIやGLと死亡リスクとの関連について調べた研究はこれまでなかった。 これまでの研究でも、GIとGLの値が高いと、ともに全死亡のリスクが高いという結果が報告されている。今回の研究では、GIの値が高いと全死亡のリスクが高く、GLの値とは関係がみられなかった。 これについては、GIとGLを割り当てた成分表の違いや、食品ごとに割り当てられている値が国ごとに異なることが、結果の違いにつながった可能性があるという。 また、今回の研究では、GIとGLの値が高いと、とくに循環器疾患死亡リスクが高いという結果になった。これまでの14件の研究をまとめたメタ解析でも、GIとGLが高いと循環器疾患のリスクが高いことが報告されている。 このことは、食後の血糖値の上昇と、血糖値を下げる働きをもつホルモンであるインスリンが多く分泌された状態である高インスリン血症が、循環器疾患の発症に重要な役割を果たしていることを示している。GI値が高い食事は、血管内の血栓の形成や血管内皮の炎症につながることも報告されている。 高血糖と高インスリン血症があると、中性脂肪や悪玉のLDLコレステロールの値が高くなり、また、収縮期血圧(最高血圧)が上昇するという報告もある。 「これらのメカニズムにより、循環器疾患や心疾患、脳血管疾患のリスクが高まると考えられます。また、高血糖が身体内の炎症や酸化ストレスを誘発し、呼吸器の機能低下につながる可能性も考えられます」と、研究グループでは述べている。全粒穀物がメタボリックシンドロームの危険を減少
ウエスト周囲径や血圧も低下
ウエスト周囲径や血圧も低下
全粒穀物を利用しグリセミック・インデックスを下げる
全粒穀物を食べるとウエスト周囲径・血圧・血糖値が低下
米タフツ大学の研究によると、全粒穀物を食べると、ウエスト周囲径・血圧・血糖値を下げられ、心臓病の予防につながる可能性がある。 全粒穀物を毎日3サービング以上食べている中高年者は、半分未満しか食べていない人に比べ、年齢を重ねるにつれ、ウエスト周囲径・血圧・血糖値の上昇を抑えられていることが分かった。 研究グループは、1970年代に開始されたコホート研究であるフラミンガム心臓研究のデータを利用し、3,100人の中高年を18年間にわたり追跡して調査した。対象者の開始時の年齢は50代半ばが多かった。 その結果、ウエスト周囲径は、全粒穀物の摂取量の少ない人では平均して2.5cm以上増えたが、摂取量の多い人では1.3cmの増加に抑えられていた。血糖値と収縮期血圧の増加も、全粒穀物の摂取量の多い人では増加は少なかった。加齢にともない全粒穀物を増やすと大きな違いが
「健康的な食事の一部として全粒穀物を取り入れることは、加齢とともに体重の増加を抑えたり、維持するのに役立つ可能性があります。全粒穀物をより多く食べている人は、加齢とともに増える健康リスクを抑えられ、心臓病の予防につながると考えられます」と、タフツ大学加齢・栄養研究センター栄養疫学チームのニコラ マッキーン氏は言う。 参加者が全粒穀物をもっとも多く摂っているのは、全粒小麦パンと朝食用シリアルだった。米国の食事ガイドラインでは、全粒穀物を毎日3サービング以上食べることが推奨されている。全粒穀物1サービングは、全粒粉パンは1枚、全粒粉のシリアルは半カップ、玄米は半カップに相当する。 「朝食に精製された白パンを食べる代わりに、全粒穀物を使ったパン・シリアル・スナック・サイドディッシュなどを選び、全粒穀物の摂取量を少しずつ増やしていくと、時間の経過とともに違いが出てきます」とマッキーン氏は述べている。Dietary glycemic index, glycemic load and mortality: Japan Public Health Center-based prospective study(European Journal of Nutrition 2021年6月22日)
Eating whole grains linked to smaller increases in waist size, blood pressure, blood sugar(タフツ大学 2021年7月13日)
Whole- and Refined-Grain Consumption and Longitudinal Changes in Cardiometabolic Risk Factors in the Framingham Offspring Cohort(Journal of Nutrition 2021年7月13日)
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