職場における化学物質管理の大転換―「法令準拠型」から「自律管理型」へ
「自律管理型」への大転換
このような状況を踏まえ、厚生労働省は今後の化学物質管理のあり方について検討会を設置し、2年間議論を重ね、昨年7月に報告書をまとめた。
検討会は、特定の物質や作業に対して規制し、それを遵守する「法令準拠型」から、欧米のように「自律管理型」の化学物質管理へと大きく方向転換することを提言。厚労省は、報告書を受け、化学物質規制体系の見直しを開始した。
図2 見直し後の化学物質規制の仕組み
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職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書のポイント(2021年7月19日)P.6より
「自律管理型」とは、国が基本的な枠組みと達成すべき指標だけを示し、具体的な管理手法は事業者が選択・決定するということを意味する。
自律管理型では、化学物質の危険性・有害性の情報が確実に伝達される必要がある。そこで国がGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)※分類を行い、危険性・有害性が確認されたすべての物質について譲渡・提供時にラベル表示やSDS交付によって伝達することになった。
事業者は、対象となる化学物質のリスクアセスメントを実施し、労働者が吸入する濃度を国が定める管理基準以下にすること、薬傷や皮膚吸収による健康障害を防ぐための保護具等の使用が課せられる。
※GHS:The Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicalsの略で、化学品の危険有害性を世界的に統一された一定の基準に従って分類し、絵表示等を用いて分かりやすく表示し、その結果をラベルやSDSに反映させ、災害防止及び人の健康や環境の保護に役立てようとするもの(2003年7月に国連勧告として採択)
また、厚労省は、自律的な管理を5年後までに定着させることを目標としており、移行した段階で、現行の特化則や有機則などを廃止することも想定している。
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