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「腸内細菌」が肥満や認知症のリスクを低下 食物繊維から短鎖脂肪酸が 腸内の善玉菌を増やす方法
2023年06月06日

「腸内細菌」が、肥満やうつ病、認知症などにも影響していることが分かってきた。
腸内環境と脳機能は相互に作用しあっており、この関係は「脳腸相関」と呼ばれ、心身の健康維持で重要な役割をになっていると注目を集めている。
野菜などから食物繊維を多く摂取している人は、摂取が少ない人に比べて、うつ病が少ないことが明らかになった。
食物繊維を多く食べている人は、認知症リスクが低いという研究も発表されている。
腸内の善玉菌を増やす方法として、大きく2つが知られている。
「腸内細菌」は健康に大きく影響
ヒトの腸内には、「腸内細菌」が棲んでいて、その腸内細菌は1人あたり1,000種類以上、数にして100兆個にも達するとみられている。 顕微鏡で腸内細菌をみると、それらはまるで植物が群生している「お花畑(フローラ)」のようにみえることから、腸内フローラと呼ばれている。 近年の研究で、腸内フローラはさまざまな全身的な疾患に関連しており、健康に密接に関わり、肥満やメタボ、糖尿病などにも影響していることが分かってきた。 食事の選び方やタイミングは、腸内に棲んでいる細菌のバランスなどを変化させ、腸内環境に大きな影響をもたらす。食物繊維が善玉菌のエサに 「脳腸相関」に注目
腸内環境と脳機能は相互に作用しあっており、この関係は「脳腸相関」と呼ばれ、心身の健康維持で重要な役割をになっていると注目を集めている。 腸は「第2の脳」とも呼ばれる、独自の神経ネットワークをもっており、生物にとって重要な器官である脳と腸が、互いに密接に影響を及ぼしあっていることが分かってきた。 腸内細菌が人の心の健康に及ぼす影響については、腸内細菌の代謝や情報伝達など、新たな研究成果が発表されている。 脳腸相関を改善することで、メンタルヘルスも改善できる可能性がある。そのカギとなるのは、「食物繊維」を十分に摂ることだ。食物繊維が腸内の善玉菌を増やし、体に良い代謝物質が増えると考えられている。食物繊維を多く食べている人はうつ病が少ない

食物繊維を多く食べている人は認知症リスクも低い
食物繊維を多く食べている人は、認知症リスクが低いという研究も発表されている。筑波大学の研究で、⾷物繊維を多く摂っている⼈は、認知症になる確率が0.74倍に減少することが示された。 食物繊維は、水に溶ける「水溶性」と水に溶けにくい「不溶性」がある。このうち水溶性食物繊維は、ネバネバした形状をもち、胃腸内をゆっくり移動していくため、糖質の吸収をゆるやかにして、食後血糖値の急な上昇を抑える。 研究では、とくに水溶性食物繊維を多く摂っている人で、要介護認知症の発症リスクがより低下する傾向がみられた。 ⾷物繊維の摂取が、腸内細菌の構成に影響をもたらし、神経炎症を改善したり、認知症の危険因⼦を減らすことで、認知症の発症リスクを低下させている可能性がある。 研究グループは、日本人の健康に関するコホート研究「CIRCS研究」に参加した40~64歳の3,739人を対象に、最大21年間にわたって追跡して調査した。 水溶性食物繊維は、コンブやワカメなどの海藻類、大豆、大麦、野菜や果物、イモ類、コンニャクなどに含まれている。腸内の善玉菌を増やす2つの方法

■ 善玉菌のエサとなる食品を積極的に食べる[プレバイオティクス]
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野菜・穀類・玄米・大麦・大豆・海藻・イモ類・キノコ類・果物などに含まれる食物繊維は、消化されずに腸まで届き、善玉菌の栄養になる。
また、オリゴ糖も、ビフィズス菌などの善玉菌の栄養となり、それらを増やす効果がある。
食物繊維を含む食品を積極的に取り入れることで、腸内の善玉菌を増やし、その働きを活発にし、腸内環境を改善することを期待できる。
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■ ヨーグルトや漬物などの発酵食品を食べる[プロバイオティクス]
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ヨーグルトや漬物などの発酵食品には、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が多く含まれている。これらの食品を摂取することで、腸内の善玉菌を増やせる。
日本食は、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品に加えて、納豆・味噌・醤油・お酢・ぬか漬けなど、発酵食品が豊富にあるのが特長のひとつだ。
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Dietary fiber intake and risk of incident disabling dementia: the Circulatory Risk in Communities Study (Nutritional Neuroscience 2022年2⽉6⽇)
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