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20年後の日本を予測 高齢化と人口減少で医療・保健はこう変わる 働き方が多様化しデジタル化も 健保連

 健康保険組合連合会(健保連)は、「医療保険制度の将来構想の検討のための調査研究」を実施した。

 働き方が多様化し、就労者像が変化していること、医療・健康情報の活用と個人を取り巻くデジタル環境に進展がみられることなどを明らかにした。

少子高齢化が進展し医療費の増大が深刻化 働き方も多様化

 健康保険組合連合会(健保連)は、「医療保険制度の将来構想の検討のための調査研究」を実施し、報告書をまとめた。

 健康保険法が制定から100年を迎えたのを契機に、2021~2022年度にかけて検討を行い、将来(2040年を想定)に向けて、医療保険制度や健康保険組合のあり方などを探ったもの。検討委員会の座長は、東京大学の森田朗名誉教授が務めた。

 2040年、総人口が減少するなか、団塊ジュニア世代が高齢化し、65歳以上人口はピークに到達すると予測されている。高齢者のみ(単身を含む)世帯が増加することに加えて、死亡数もピークに到来する、いわゆる「多死社会」を迎えることとなる。

 より医療・介護ニーズの高い85歳以上人口の急増(約4割増)が見込まれており、医療ニーズも大きく変化することが予想される。少子高齢化・人口減少が進むと、医療保険や経済の支え手である生産年齢人口が大幅に減少し、労働力不足が深刻になる。

 それゆえ、それらの支え手として、外国人労働者を含め、わが国の医療・介護分野では、よりいっそう多くの人材を確保する必要性があるとしている。

出典:健康保険組合連合会「医療保険制度の将来構想の検討のための調査研究Ⅰ 検討委員会報告書」、2023年

関連情報

「元気な高齢者」が増加 女性の社会進出も

 日本は、急速に進展する高齢化と医療の高度化によって、医療費は今後ますます増大することが予想され、減少する現役世代では医療保険制度を支え切れず、深刻な財政危機におちいる可能性が高い。

 一方で、2040年には現在と比べ健康寿命が延伸し、「元気な高齢者」が増加する。それにともない高齢者の社会参加や就業意欲が向上し、就業率も上昇することが予想される。

 また、女性の就業率も上昇し、すでに標準的になっている共働き世帯がさらに増加すると見込まれる。さらに、これからはますます、正規労働者ではなく、非正規労働者が増加すると予想される。

 労働の形態も多様化し、副業、兼業、複数就労者、雇用類似の働き方、職場にとらわれない働き方などが増加し、こうした働き方の変化とともに、就労者の収入形態も多様化すると予測している。

出典:健康保険組合連合会「医療保険制度の将来構想の検討のための調査研究Ⅰ 検討委員会報告書」、2023年

医療・健康情報のデジタル活用にも進展が

 医療・医療保険制度を取り巻く社会情勢は急速に変化し、2040年には、▼総人口減少のなか、団塊ジュニア世代が高齢化し、65歳以上人口がピークに到達する、▼より医療・介護ニーズの高い85歳以上人口が急増(約4割増)、▼高齢者のみ(単身を含む)世帯が増加し、死亡数のピークが到来する(多死社会)、▼医療・介護人材(外国人労働者を含む)の確保の必要性が高まる、といった変化が想定される。

 さらに、働き方が多様化し、就労者像の変化もみられる。▼健康寿命が延伸し、元気な高齢者が増加する、社会参加や就業意欲も向上し、高齢者の就業率が上昇する、▼女性の就業率が上昇し、すでに標準的になっている共働き世帯がさらに増加し、被扶養者は減少する、▼非正規労働者が増加するなど、職場にとらわれない働き方が増加するといった変化が予測されている。

 医療・健康情報の活用と個人を取り巻くデジタル環境にも進展がみられる。オンラインによる遠隔地間での予防・診断・治療など、診療環境も変化する。医療・健康情報の管理・活用(レセプト・健診・カルテ・処方箋・情報プラットフォームなど)が進むと予測されている。DXの普及により、医療・介護の生産性向上と人材不足の改善をはかる狙いもある。

出典:健康保険組合連合会「医療保険制度の将来構想の検討のための調査研究Ⅰ 検討委員会報告書」、2023年

「医療保険制度の将来構想の検討のための調査研究Ⅰ 検討委員会報告書」を発表 (健康保険組合連合会 2023年05月17日)

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