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「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」 熱中症の予防・症状・応急手当を解説 厚労省

 厚生労働省は、職場での熱中症対策を分かりやすく解説した「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」を作成した。

 中⼩企業の事業主、安全・衛⽣管理担当者などを対象にしており、熱中症は、炎天下の屋外だけでなく、屋内の職場でも発生する可能性があるとして、危ない状況や対策などを、イラストや写真を使い分かりやすく解説している。

 同省は、このガイドをダウンロードして印刷するなどして、職場で活用してほしいとしている。

熱中症の症状と応急手当を解説

 「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」では、▼熱中症から命を守る、▼危ない状況と対策、▼予防法、▼熱中症の基礎知識など、7つの章で詳しく伝える構成になっている。

 ガイドによると、2013年から10年間に職場で熱中症になった人は、建設業が最多で1,571人、次いで製造業が1,311人、運送業が940人となっており、以下は商業、警備業と続く。死者は建設業92人、製造業31人、警備業26人が多い。

 症状と重症度については、もっとも軽い「Ⅰ度(熱失神・熱けいれん)」でも、▼顔面蒼白、▼脱水、▼吐き気、▼めまい、▼立ちくらみ、▼急性筋肉痛・こむら返りなどの症状がでる。

 「II度(熱疲労)」は、▼口の渇き、▼めまい、▼頭痛、▼イライラする、▼倦怠感などが特徴となる。もっとも重い「III度(熱射病)」は、▼意識がない、▼けいれん発作、▼身体が熱いといった症状が出る

 いずれの場合も手当が必要となる。Ⅰ度でも119番したうえで、冷所で安静を保ち、身体を冷やし、水分と塩分を補給するなどの応急手当が必要としている。さらに、II度は医療機関での診療が、III度は入院治療がそれぞれ必要になる。

 たとえば、作業員の顔面蒼白など、様子がおかしい場合は、すぐに119番し、救急車が到着するまでに作業着を脱がせ、水をかけて全身を速やかに冷やすなどの応急手当を勧めている。

出典:厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」、2023年

関連情報

熱中症を予防するための3つの注意点

 危ない状況としては、▼直射日光が当たる、▼照り返しが強い、▼風通しが悪い、▼重量物を運ぶ、▼休憩場所まで遠い、▼持ち場から離れられないなどの状況を挙げている。

 暑さ指数が⾼くなったり、地⾯近くの気温が著しく上昇している、⾼温多湿のとき、さらには⾝体に過度の負担がかかっている場合には、熱中症に対し注意が必要になる。

 3つの注意点として、「前日のチェック」「仕事前のチェック」「仕事中のチェック」を挙げ、具体的な予防法としては、▼仕事前⽇の飲酒は控えめに、▼ぐっすり眠る、▼1⽇3⾷をしっかり⾷べれば、必要な塩分は摂取できる、▼熱中症警戒アラートを確認する、▼⽔分補給、▼スポーツ飲料・経⼝補⽔液の利用法などを解説している。

出典:厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」、2023年

暑さに慣れる「暑熱順化」も大切

 ガイドでは、暑さに慣れる「暑熱順化」も大切で、▼順化するまでは十分に休憩をとり、▼2週間ほどかけて徐々に身体を慣らすことを勧めている。順化が進むと早く汗が出るようになり、体温の上昇をくいとめられるという。

 暑熱順化トレーニングとしては、▼⽇常⽣活のなかで、無理のない範囲で汗をかくようにし、▼数⽇から2週間ほど続けて完了することをアドバイス。

 実際に現場でできる取り組みとして、▼涼しい車を休憩所として使う、▼足を水に入れて冷やす「足水専用簡易ハウス」の設置なども記載。

 危険な状態の簡単な調べ方として、▼手の甲の皮膚をつまみ上げる方法を示し、元に戻るのに2秒以上かかれば脱水の疑いがあることを指摘している。そのほかにも、▼⽖押しで「隠れ脱⽔症」チェック、▼尿の⾊で「脱⽔状態」チェック、▼ ウェアラブル端末で体調の⾒える化などを解説。

脱水状態をチェックする方法

出典:厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」、2023年

 同ガイドは、2022年度厚⽣労働省委託事業で、熱中症予防対策に関する専⾨家による検討委員会を設置し、最新の知⾒をもとに作成したとしている。

[Terahata]
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