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ストレスを管理できると健康と幸福が改善 仕事のパフォーマンスも向上 ストレスに負けないための2つの対処法

 ストレスを脅威としてではなく、挑戦としてより前向きにとらえる対処法を学ぶと、将来の健康や幸福にプラスの影響があらわれることが明らかになった。

 ストレスに対処する方法として、「睡眠を改善すること」「対人関係を改善すること」も提案されている。

 とくに、新型コロナのパンデミック時には、多くの人が緊張を強いられ、心身の健康にも重大な影響がもたらされた。

 「ストレス関連の健康問題のリスクが高い人に、保健指導などで生活スタイルや認知の課題にご自分で気づいてもらい、健康的な行動変容へと導くことが大切」と、専門家は指摘している。

ストレスに向き合えるようになると健康や幸福が改善

 生活で多くのストレスを感じていて、ストレスに向かい合うことができていない人は、健康や幸福が損なわれることが多いことが、英国のバース大学が395人のスポーツ選手を対象に実施した調査で明らかになった。

 「今回の研究で、ストレスに対する対処と、身体的および精神的な不健康とのあいだに、強い関連があることが示されました」と、同大学保健学部およびモチベーション健康行動変容センターのリー ムーア氏は言う。

 「多くの人は、ストレスを脅威としてではなく、挑戦としてより前向きにとらえる対処法を学ぶと、将来の健康や幸福にプラスの影響があらわれると考えられます」。

 「ストレスの多い状況に直面しても、そのストレスを自分の課題としてポジティブに評価できるようになると、健康や幸福を改善できる可能性があります」としている。

ストレスを管理できると健康とパフォーマンスが向上

 ストレスに対する対処は、大きく2つがあるとしている。ストレスの多い状況を、自分の処理能力を超えた脅威として認識し、健康状態やパフォーマンスが低下してしまうタイプと、ストレスを管理することで、自分が成長・発展することが可能になり、健康増進とパフォーマンスの向上を達成できるようになると考えるタイプだ。

 研究グループは今回、395人のスポーツ選手(うち女性が251人、平均年齢は22.5歳)を対象に、オンライン調査を実施した。参加者のストレス評価、健康状態、幸福度などとともに、直面している課題と脅威の特性の評価、メンタルヘルスなどについても調査した。

 その結果、ストレスの多い状況のすべてを脅威としてとらえている人は、健康度や幸福度が低下している傾向がみられた。

 ストレスを脅威とみなし、圧倒されている人は、うつ病などのメンタルヘルスの障害だけでなく、風邪やインフルエンザなどの感染症のリスクも高まることが示された。

 「今回の研究結果は、ストレス関連の健康問題のリスクが高い人に、保健指導などで生活スタイルや認知の課題にご自分で気づいてもらい、健康的な行動変容へと導くのに役立つと期待しています」と、ムーア氏は述べている。

関連情報

2つのストレス対処法「睡眠を改善」「対人関係を改善」

 ストレスに対処する方法として、「睡眠を改善すること」「対人関係を改善すること」が提案されている。

 質の高い睡眠は、うつ病や不安に対する回復力を促進することが、英国のヨーク大学が新型コロナのパンデミック中に実施した調査で明らかになった。

 慢性的なストレスは、うつ病や不安を含む多くのメンタルヘルス不調の原因になるが、質の高い睡眠をとれていると、自分をとりまく状況を見直してポジティブな面も捉えられるようになり、メンタルヘルスを改善できるようになる可能性があるという。

 「現実世界で慢性的なストレスを経験している人は、睡眠の質が良いほど、うつ病と不安の両方の症状が少ないことが示されました」と、ヨーク大学心理学部のエマ サリバン氏は言う。

 「このことは、とくに新型コロナのパンデミック時に、大きな意味をもっていたと考えられます」としている。

 研究グループは、長期にわたるストレスの多かった期間とみられる、2020年の新型コロナのパンデミック時に、1,600人の参加者から得たデータを調査した。

 「良い睡眠には、慢性的なストレスを管理するために、非常に重要な役割があり、長期にわたり健康を維持し、うつ病や不安の症状を軽減するために重要だと考えられます」としている。

対人関係で良い経験が多い人はストレスへの対処も良好

 社会的なつながりは、身体の健康に大きな影響をもたらしており、対人関係が良好な人は健康状態も良い傾向がみられるという別の研究を、パーソナリティ社会心理学会(SPSP)が発表した。

 「対人関係でのポジティブな経験とネガティブな経験の両方が、日々のストレス、ストレスへの対処、血圧や心拍数などの生理機能に影響をおよぼしています」と、ニュージーランドのオークランド大学で社会心理学を研究しているブライアン ドン氏は言う。

 「対人関係を改善することが、ストレスに対する反応を改善し、心身の健康増進につながる可能性があります」としている。

 研究グループは、4,005人の参加者を対象に、スマートフォンやスマートウォッチを利用してもらい、血圧・心拍数・ストレスなどを3週間にわたり計測した。

 参加者に3日ごとに、対人関係でのポジティブな経験やネガティブな経験について、詳しく記録してもらった。

 その結果、対人関係でポジティブな経験が多く、ネガティブな経験が少ない人は、ストレスが低く、ストレスへの対処も良好で、収縮期血圧が低めであるなど、日常生活での体の生理学的機能が良好である傾向があることが示された。

 「とくに、新型コロナのパンデミック時には、多くの人が緊張を強いられ、人間関係の混乱や変動により、日常生活でのストレスやその対処法、生理機能が間接的に影響を受け、身体の健康にも重大な影響をもたらしたと考えられます」としている。

When a stressful situation is perceived as a threat, health and wellbeing suffer (バース大学 2024年1月29日)
The tendency to appraise stressful situations as more of a threat is associated with poorer health and well-being (Stress and Health 2023年12月18日)
High-quality sleep promotes resilience to depression and anxiety (ヨーク大学 2023年7月13日)
The influence of emotion regulation strategies and sleep quality on depression and anxiety (Cortex 2023年9月)
Positive Experiences in Close Relationships Are Associated With Better Physical Health (パーソナリティ社会心理学会 2023年3月27日)
The Good, the Bad, and the Variable: Examining Stress and Blood Pressure Responses to Close Relationships (Social Psychological and Personality Science 2023年3月27日)
[Terahata]
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