特定健診58.1%、特定保健指導26.5% 実施率過去最高に
-2022年度の特定健診・特定保健指導実施状況より
「メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率」は16.1%
特定健診・特定保健指導実施状況において、その効果を数値で表しているのが「メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率(対2008年度比)」である。それをみると2022年度は16.1%と、21年度と比較して2.3ポイント向上しており、こちらも過去最高の数値だった。
とはいえ、特定健診・特定保健指導の実施率同様に、国が目標として掲げた「2022年度までに2008年度と比べて25%以上減少」には10%近く届いていない。
『特定保健指導の質向上に向けた取組に関する好事例集』公表
これまでの「3期」にわたる実績を踏まえて今年度からスタートした「第4期」では、より実効性が求められ、特定保健指導によって対象者の状態の改善や行動変容を評価する「アウトカム評価」が導入された。
22年10月に公表された「第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会」のとりまとめでは、「保険者における支援方法の工夫や、効率的・効果的な介入の取組の重要性が高まることが想定されることから、好事例の展開を行い、特定保健指導の質の向上につなげることが期待される」とされた。
そのとりまとめを受け、今年5月に『特定保健指導の質向上に向けた取組に関する好事例集』が公表された。
好事例の抽出にあたり、まずNDB(National Data Base=レセプト情報・特定健診等情報データベース)を使用して分析。2018年度の特定健診受診者を対象とし、特定保健指導を終了した者のうち、アウトカム(腹囲-2cm、体重-2kg)の良好な保険者を選び、取り組み状況についてインタビュー形式で調査を行った。さらに、各事例での比較に必要な追加調査を書面で実施して選定されている。
候補の選定にあたっては、保険者種別(健康保険組合、共済組合、市町村国保、国保組合)ごとのバランスが偏らないよう配慮され、10保険者を紹介している。その内訳は、健保組合:2、国保組合:3、市町村国保:3、共済組合:2。事例集で取り上げた事例では、保険者の特性に合わせた効率的・効果的な特定保健指導の取り組みを紹介している。
また、実施にあたってポイントとなる取り組みを下記5点に整理し、好事例がそのうちどの項目にあたるかも示されている。
- 保険者特有の課題に向き合い、克服するための工夫を行う
- 目指す特定保健指導を実現するため、実施体制整備に注力する
- インセンティブの設定を行い、特定保健指導に対する関心や意欲を高める
- 初回面接を特定健康診査当日に実施し、実施率の向上を図る
- 特定保健指導期間中に独自の取組を行い、モチベーションを維持・向上させる
特定健診・特定保健指導の制度は、15年の経過を経て着実に定着してきている。その実施率やメタボ該当者・予備群の減少率も確実に伸びてきた。第4期では国の目標値に到達できるように今回公表された好事例集などを参考に、効率的・効果的な取り組みの継続が期待される。
参考資料
2022年度 特定健康診査・特定保健指導の実施状況(厚生労働省)
特定保健指導の質向上に向けた取組に関する好事例集(厚生労働省)
特定健診・特定保健指導について(厚生労働省)
特集ページ「第4期特定健診・特定保健指導」(保健指導リソースガイド)
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