「働く世代」は睡眠不足・野菜不足、男性は肥満、女性は飲酒が増加
3年ぶりに『令和4年 国民健康・栄養調査』公表
男性の働く世代の3人に1人が肥満
身体状況をみると、20歳以上の男性のうち肥満(BMI≧25kg/m2)だった人の割合は31.7%だった。令和元年に行った前回調査の33.0%を下回ったが、特に平成28年以降は30%前半で推移しており、調査ではこの10年間で「女性では有意な増減はみられないのに対し、男性は有意に増加している」と述べている。
特に男性は、20歳では20%未満であるが、30歳代になると30%を超え、40歳代で33.7%、50歳代が最も高く40.1%に上り、60歳代で33.8%。働く世代の20~60歳代の平均をみると33.6%で、男性の3人に1人が肥満であることがわかった。
出典:令和4年 国民健康・栄養調査結果の概要(2024.8)P.9 より
女性の過度に飲酒する割合が有意に増加
今年2月に国内初の『健康に配慮した飲酒に関するガイドライン』が公表され、メディア等で話題となったが、生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性で40g以上、女性20g以上)を飲酒している者の割合をみてみると、男性13.5%、女性9.0%だった。調査ではこの10年間でみると「男性では有意な増減はなく、女性では有意に増加している」と指摘している。
年齢別にみると男性では50歳代、女性では40歳代が最も高く、それぞれ20.0%と16.5%。
近年、飲酒離れが進み、特に若い人ほどその傾向が強く、20~30歳代では過半数が日常的な飲酒習慣をもたないともいわれている。
しかし最近は、女性の飲酒が増加していることも指摘されている。総務省の労働力調査によると、令和5年の総労働力人口に占める女性の割合は45.1%と、年々働く女性の割合が増加している。女性の働き盛り世代の健康課題に「飲酒問題」も挙げられるかもしれない。
出典:令和4年 国民健康・栄養調査結果の概要(2024.8)P.19 より
喫煙率は最低を更新したが、30~40歳代の男性ではいまだに3割超
喫煙率は14.8%で、前回調査の16.7を下回り、平成15年に現在の設問になって以降、過去最低を更新した。男女別にみると、男性24.8%(前回比2.3ポイント減)、女性6.2%(1.4ポイント減)である。この10年間でみると、男女とも有意に減少している。
だが、30~40歳代男性ではその割合が高く、30歳代で35.8%、40歳代で31.9%と3割をいまだに超えている。喫煙者のうち、たばこをやめたいと思う人は25.0%で、うち男性21.7%、女性36.1%だった。
また、調査では新型コロナウイルス感染拡大の影響による体重や生活習慣の変化を尋ねている。それによると、体重が増えたとした男性は13.2%、女性は16.7%。1週間あたりの運動日数が減ったと回答したのは男性が12.7%、女性が13.8%であった。
保健活動の基礎資料として
今回は新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりの公表となったが、『国民健康・栄養調査』は、毎年行われている調査である。ランダムに選定されたさまざまな地域の対象者について、身長・体重や病歴などの身体状況、食事内容などの栄養摂取状況、生活習慣の調査が行われている。
厚労省のホームページではこれまでの調査結果も公表されており、国民の健康や生活習慣に関する課題の抽出に役立てられている。
この調査結果はあくまで日本人の平均的な傾向といえるが、「働く世代」をみてみると、睡眠不足や野菜不足、男性の肥満や女性の飲酒等の課題などもみえてきた。産業保健スタッフとして各世代の健康課題を抽出したり、自分の事業場の集団特性と比較しそれに応じた保健活動の取り組みに活かすことなどもできるかもしれない。
参考資料
【報道発表資料】令和4年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省)
国民健康・栄養調査(厚生労働省)
日本人の食事摂取基準(厚生労働省)
健康日本21(第二次)(厚生労働省)
健康日本21(第三次)(厚生労働省)
健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(厚生労働省)
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