ニュース

野菜や果物のフラボノイドが2型糖尿病の予防に有効

 野菜や果物に含まれるフラボノイドの一種である「フラボン」と「アントシアニン」が2型糖尿病の予防・改善に有効であるいう研究が発表された。「フラボノイド類には、インスリン抵抗性を改善し、血糖値を下げる作用がある」と研究者は述べている。
野菜やハーブ、ブドウの皮のフラボノイドが血糖値を下げる
 フラボノイドは、野菜、柑橘類、ブドウ、ブルーベリー、緑茶などの果物の果皮に多く含まれる色素成分で、苦味や辛味の成分になっている。多くが強力な抗酸化作用をもっている。

 今回、研究者が着目したフラボノイドは「フラボン」と「アントシアニン」。フラボンは、パセリや、タイム、セロリなどの野菜やハーブに含まれている。アントシアニンは、ブルーベリーや、色の濃いブドウ、赤ワイン、赤色あるいは青色の野菜などに含まれている。

 研究は、英国のイースト アングリア大学とロンドン大学が共同で行ったもので、米国栄養学会誌に発表された。

 18~76歳の健康な女性1,997人を対象に、食事に関するアンケートを実施し、回答結果にもとづいて、食事から摂取しているフラボノイド類の総量と、6種類のフラボノイドそれぞれの量とを推算した。さらに血液検査により、血糖値、インスリン抵抗性、炎症の程度などを調べた。

 その結果、野菜や果物からフラボンとアントシアニンを多く摂取している人では、インスリン抵抗性が改善され、血糖値が低めで、炎症が抑制されている傾向がみられた。

 今回の研究から示唆されたことは次の通り――

  • ■フラボノイド類には、インスリン抵抗性を改善し、血糖値を下げる作用がある。
  • ■フラボノイド類には、炎症を軽減する作用がある。炎症が慢性化すると、糖尿病・肥満・心血管疾患・がんなどの発症が促される。
  • ■フラボノイド類には、アディポネクチンを改善する作用がある。アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるホルモンで、インスリン感受性の亢進、動脈硬化の抑制、抗炎症の抑制などの作用がある。
チョコレートや赤ワインもフラボノイドを含有
 「リンゴやブルーベリー、西洋ナシなど、フラボノイドを多く含む食品が健康に良いことは、かねてより指摘されています。アントシアニンとフラボンを多く摂取している女性では、インスリン抵抗性が改善されていることが分かりました」と、英イースト アングリア大学のアェディン キャシディー教授(栄養学)は話す。

 フラボノイドは、野菜やハーブだけでやく、赤ワインやチョコレートなどにも含まれる。ただし、果物やワイン、チョコレートは高カロリーなので、過剰摂取には注意が必要だという。

 「今回の研究は健康的な食事がどうあるべきかを示唆する興味深いものです。フラボノイド類の効果には遺伝的な要因も影響しているとみられるので、糖尿病患者が摂取するとどのような効果があるかを、無作為試験を行って確かめる必要があります」と、ロンドン大学のティム スペクター教授(遺伝疫学)は述べている。

関連情報
よく噛めば食欲をコントロールできる 食事の満足感も高まる(糖尿病ネットワーク)
コーヒーが糖尿病リスクを低下 コーヒーを飲むと血流が増加
肉やチーズなど酸性食品の取り過ぎに注意 糖尿病リスクが上昇

UEA research shows ingredients found in chocolate, tea and berries could guard against diabetes(イースト アングリア大学 2014年1月20日)
Intakes of Anthocyanins and Flavones Are Associated with Biomarkers of Insulin Resistance and Inflammation in Women(ジャーナル オブ ニュートリション 2014年2月1日)

[Terahata]
side_メルマガバナー

「データヘルス計画」に関するニュース

2023年08月28日
極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
2023年08月28日
カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
2023年08月28日
高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
2023年08月21日
朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
2023年08月21日
アルコールが高血圧の原因に 飲酒量が少ない人も血圧が上昇 2万人弱を調査
2023年08月21日
「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に
2023年08月15日
軽いウォーキングなどの低強度の運動でも脳を活性化できる 運動で高齢者の認知機能を維持・増進
2023年08月07日
【がん予防の経済効果】 がんのリスク要因を減らして1兆円超の経済的負担を軽減 生活スタイルや環境の改善が重要
2023年08月01日
肥満やメタボになりやすい生活習慣は子供のうちに身についている 子供の頃から保健指導が必要
2023年07月31日
食事の多様性が高い人は認知症リスクが低下 さまざまな食品を食べることが認知症予防につながる
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶