【オピニオン公開中】一人職場の産業保健看護職のための自己育成計画によるキャリア開発への期待
産業保健看護職はたとえ経験が浅くとも、保健指導などの直接的な機能とそれを活かすための管理機能を求められます。
しかしながら、その配置は一人職場か少人数あることが多く、専門職としての系統的な自己能力向上や育成体制が整っていないことが大半です。
本連載「一人職場の産業保健看護職のための自己育成計画によるキャリア開発への期待」では、産業保健看護マトリックス研究会が取り組んだ新任期・中堅期スキルチェックリスト作成についての取り組みと、スキルチェックリストの活用について、同研究会 中堅期WG事務局の齋藤明子氏にご紹介いただきました。
No.1 産業保健看護職の自己研鑽の基盤づくり
産業保健看護職の自己研鑽の必要性と、乏しい教育機会
産業保健看護職の特徴を簡潔に表すと、「絶えず変化する組織に対して、看護という専門領域から個人や組織に対して機能するための職種」です。求められる職能を遂行するためには、自己研鑽が欠かせません。
しかし、保健師助産師看護師学校養成指定規則に定められた教育内容には、公衆衛生看護学(産業看護含む)は含まれておらず、多くの学校では地域・在宅看護論の中で取り扱われているのではないかと思われます。そのため、事業所などに入職した際、産業看護を学んでいない人が半数以上はいるのが実態です。
No.2 新任期・中堅期スキルチェックリストの開発にあたって
新任期・中堅期スキルチェックリスト開発のステップ
スキルチェックリスト開発当初は、臨床看護のキャリアラダーと同じく、新任期・中堅期・管理(リーダー)期の各100項目(計300項目)で構成する構想でした。しかし、臨床看護とは異なり、産業組織ではなかなか事例が集まりにくいこと、つまり第1回で紹介した「管理ポイント」が収集しづらいという現実問題に直面し、断念しました。
2010年から開始したキャリア開発にあたり、既に公表されていた行政保健師や産業保健師のキャリアラダー等を参考にしました。当研究会では、産業保健看護職のキャリアを新任期(1~3年)、中堅期を経験4年以上の2段階としましたが、「なぜ2段階なのか」と疑問を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
No.3 チェックリストの活用で、産業保健看護職のスキルアップを
チェックリストを活用した産業保健看護職の教育計画への応用
新任期スキルチェックリスト開発後、チェックリストを活用した人材育成(教育計画)を行い、人材育成に有用であるとの実感を得ました。入職直後や6か月ごとなどのタイミングでチェックを行い、目標を立ててスキル獲得に向けた取り組みを行うことで、確実にスキルアップできることもわかりました。
とくに新任期の産業保健看護職の場合、基本的な技能習得に優先して取り組むことが、現場での信頼を得ることにつながっていきます。また、そのことにより、スキルに裏付けされた自信も生み出されるように思います。
オピニオン執筆者ご紹介
齋藤明子(産業保健看護マトリックス研究会 中堅期WG事務局)
看護学校卒業後、総合病院及び健診機関勤務を経て、予防を学びたいと保健師学校に進学。卒業後は地域保健師を経て産業保健領域へ。
大規模事業場勤務後、個人事業主として開業。
平成11年 ヘルス&ライフサポートTAK設立 代表 15期
平成25年 株式会社ヘルス&ライフサポート設立 代表取締役に就任 10期終了
独立後は、中小規模事業場の産業保健支援サービスを中心に事業を展開している
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