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2024年7月に「過労死等の防止のための対策に関する大綱」見直しへ
第25回 過労死等防止対策推進協議会より

「勤務間インターバル」制度導入の努力義務化

 こうした長時間労働などの過重な労働を避けるため、厚労省は平成31(2019)年4月1日から「勤務間インターバル制度」の導入を事業主の努力義務とした。勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保しようというもの。

 実際にどの程度、周知・導入されているのかをみてみると、下記の通り「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和3(2021)年7月30日閣議決定)で掲げていた数値目標よりもかなり下回っており、協議会でも課題として取り上げられた。

勤務間インターバル制度に係る数値目標

〔現行の目標〕

  • 労働者数30人以上の企業のうち、制度を知らなかった企業割合を 5%未満(令和7年まで)⇒令和4年17.1%
  • 労働者数30人以上の企業のうち、制度を導入している企業割合を15%以上(令和7年まで)⇒令和4年 5.8%

 また協議会では、令和5年版『白書』で明らかになった他の課題や重点対策を整理し、2024年7月に予定されている「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の見直しへ向けて論点が提示されている。次回は来年1月に予定され、今回提示された論点を中心に検討が進められる予定だ。

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出典:第25回 過労死等防止対策推進協議会 資料9 P.102(2023.11)より

『労働者の疲労蓄積度 自己診断チェックリスト』の活用も

 大綱や目標値を見直し、国全体の方向性を示すことも大切だが、実際に各事業場において疲労蓄積による健康障害の防止対策を地道に取り組むことが不可欠なことはいうまでもない。

 その一つに『労働者の疲労蓄積度 自己診断チェックリスト』の活用がある。平成16(2004)年に中央労働災害防止協会が作成し、広く活用されてきたものだ。働き方改革やテレワークの広がりなど、「多様化」に関する最新の知見を反映させ、今年4月には食欲、睡眠、勤務間インターバルに関する項目を追加するといった改正を行ったうえで、公表されている。
 チェックリストは本人用と家族用の2種類があり、簡易に評価できる。事業場で設定した時間外労働を超えた労働者だけでなく、事業場全体に広く周知し、課題が出てきたときの相談窓口の紹介などの"環境を整える"ことも過重労働防止対策の一つになるかもしれない。

参考資料

過労死等防止対策推進協議会(過労死等防止対策推進協議会)(厚生労働省)
令和5年版過労死等防止対策白書(本文)(厚生労働省)
労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)(中央労働災害防止協会)

[保健指導リソースガイド編集部]
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