日本の元気を創生する ‐開業保健師の目指していること‐
一般社団法人 日本開業保健師協会
No.1 はじめに ‐開業保健師協会の役割‐
一般社団法人 日本開業保健師協会 会長
村田 陽子
組織に属さないで、仕事の受注を受けるフリーターではなく、事業を行う保健師が、全国にどのぐらいいるのか正確な数字は把握できていません。私の周りにはそのような働きかたをする保健師が増えています。100名ははるかに超えているのではないかと感じられます。保健師の新しい働き方として、組織に所属しないで働くことができる社会、希望すれば誰もが開業できる時代に変化してきた結果だと思います。
開業保健師協会を設立した当初、開業保健師のネットワークを作ることで、開業保健師の信頼を高めたいと思いました。依頼主から見れば、1人ではどこまで事業に責任を持って行ってもらえるのか不安に思うことも組織になれば1人が倒れてもカバーできます。病気や家族の都合で仕事が優先できない時に、助けてくれる仲間がいると、仕事相手はもちろん、自分自身も安心できます。また、広域に同一のサービスを提供したいクライアントさんのニーズを容易に満たすこともできると思いました。
さらに、それぞれの強みや特技、得意分野を持った保健師が集まれば、自分の不得意分野を他の保健師に任せたり相談して共同で仕事をすることができます。クライアントからの様々の要望に答えることが可能になります。そんなメリットを作り出したいと思いました。
職能団体としての協会ですが、今もこれからもやりたいことの1番は、人材育成です。保健師全体を元気にしていきたいと思っています。もちろん、開業保健師も増えて欲しいのですが、組織の中で働く保健師も重要な役割を担っています。そのような組織にいる保健師と外部から関わる保健師によって、新しい仕組みを作る機会が増えると思っています。
今後のビジョン
人材育成には大学生や20代の保健師のキャリアアップにも貢献していきたいと考えています。
もう一つ、保健師と保健師を求める人とのハブとしての役割を担いたいと願っています。紹介業をする予定はないのですが、保健師さんを探す方法に困っている人、自分の知識や能力を提供したい保健師とをつなぐ役割です。
町の保健室構造
私たちはあらゆる世代の人たちが健康で幸せな人生を送る未来を目指しています。
健康保険組合と企業のコラボ、地域と産業の連携等、もう何十年も前から課題とされ、うまくできている所があれば、そうでもない所もあります。これら組織の連携ではありますが、つまるところそこに所属する人同士のつながりだと思います。
同じ方向、目的を持つ保健師をはじめとする担当者同士が緩やかに連携することができれば、この課題は解決できると思っています。
母子は地域保健、学童は学校保健、大人になって会社に入ると産業保健、定年退職後は地域に戻って、最後の包括支援と、縦型でひとりの人生が分断されています。引っ越し等で住む地域が変わったり転職により会社や健康保険組合が変わるたびに、健診データ保存も、受けるサポートの内容も変わってしまいます。
ゆりかごから墓場まで継続した支援を家族単位でまるごと見守り、必要に応じてサポートを受けられる、地域の拠点みたいなものができたらいいなと、思っています。保健師の先輩たちがかつて、山村や農村を出向いて見ていたような活動の拠点です。全国にある「まちの保健室」、どこに行っても自分の健康情報を見ることができる、気軽に相談ができる、母子保健、学校保健、地域保健、産業保健、高齢者保健が全部一つになる、本当の包括支援センターです。その時にはコラボヘルスという言葉は不要になります。と、夢のようなことを描いています。でも、夢は描かなければ何も始まらない、だから私にはできなくても次の世代が実現してくれることを願って、たくさん夢を描こうと思っています。この夢は次の世代に引き継がれる夢であって欲しいと願っています。