日本の元気を創生する ‐開業保健師の目指していること‐
一般社団法人 日本開業保健師協会
No.6 Dream Seedがめざしているもの(株式会社Dream Seed)
株式会社 Dream Seed 代表取締役
三井 洋子
市役所の保健師を辞め、2008年に株式会社Dream Seedを設立して9期目となります。
地域の健康を守る行政の役割を途中で放り出すような罪悪感と、行政という枠組みでは「しない、できない、すべきではない」けれど、課題解決のために組織を離れて必要と思うことをやった方が良いという使命感、そして自分らしい働き方や貢献する方法を思い悩んだ末に決断しました。その時悩んだ思いやプロセスが活動の原動力になっています。
そして、Dream Seedは次の3つを事業の柱としています。
① 心とからだにかかわる専門職の人材育成
② 事業場の健康管理・メンタルヘルスのサポート
③ 個人のケアを行う セラピールーム「ブレス」(カウンセリングとアロマテラピー)
Dream Seedとは「夢の種」
誰の心の中にも「こうなりたい。こうありたい。こう生きたい」という思いがあります。
本人は意識していないかもしれないけれど、そんな思い「夢の種」の存在を大切にし、安心して成長を促せるよう必要な環境を整え、温かく見守り、喜びをともに分かち合える存在でありたいと願って社名としました。
それぞれの「夢の種」には、植物と同じように「自ら発芽し、成長する力」が秘められていて、大切に育てることでその人の夢や望む未来を大きく花開かせてくれるものだと信じ、3つの柱で事業を展開してきました。
1.心とからだにかかわる専門職の人材育成
専門職のあなた自身が安心であること・幸せであることをめざして
「マッサージを受けるような気安さでカウンセリングが受けられる環境を長野にもつくりたい」
内服だけでは改善しきれないだろうと思われるメンタル不調の人たちが、もう少し気軽にカウンセリングを活用できるために、まずはカウンセラー養成と、カウンセリングの実績を作ることが必要と思い、それに取り組みました。
そのほかには、保健師・看護師・介護福祉士等の研修、看護学校の授業等を依頼されています。
2.事業場の健康管理・メンタルヘルスのサポート
「働く人が元気で、企業も業績アップ」をめざす
ただ病気を予防するとか不調者を出さないのではなく、元気でその人らしく働き、なおかつその企業が業績を上げていくことが働く人の幸せにつながると思っています。
中小規模事業所の研修と個別サポートを請け負わせていただいています。
特に昨年からストレスチェックも制度化され、いくつかの事業所の実施者・共同実施者として請け負わせていただいています。産業看護職がいる職場は日常の中での支援と連携できるのですが、ストレスチェックだけでかかわり、産業看護職がいないところはどう支援を継続するか課題をたくさん感じています。
3.個人のケアを行う セラピールーム「ブレス」(カウンセリングとアロマテラピー)
「ホッと一息ついて、あなたの時間に戻って、あなたらしく輝いてほしい」
ブレスとは、息をすること・・・すなわち生きること
そんな思いで、カウンセリング・コーチング・アロママッサージ・スウェディッシュマッサージを提供しています。
アロマテラピーを担当する妹も保健師・看護師であり、医療的な側面からも心とからだにアプローチできるところが強みです。
これらの事業を実施していると新たに見えてくる課題もあります。
メンタル不調で休職した人の復職のハードルを下げること、働き方を再考しようとする人の就労支援、産業看護職のいない中小企業の健康管理やストレスチェックへの支援、山間地の保健師の確保と育成の課題、対人援助職のセルフケア能力を高めること等々、次の手立てを考えています。
*見えてきた課題について、現状の情報を集めること。
*その課題が本当はどうなったらいいのかを考え、ディスカッションすること
*そこに向かうために、現在行われている様々な取り組みについてアンテナを高くすること
*そして、独自にできること、繋がること、協力することを考えて動き出すこと
まさに「見る・つなぐ・動かす」という保健師活動のプロセスを踏みつつ、経営していくためにはそのことにお金を払ってもらえるかという検討が必要になります。
安全な飲料水の提供について行政が上水道の整備を保証しながら、一方でペットボトルの水を買う消費者もいます。健康づくりや子育て支援、介護、医療等々のサービスについても、行政が責任を負う部分(税金で賄う部分)と経済活動の中に組み込まれたサービスを整理、あるいは補完し合うような形の検討が必要なのかもしれないと思っています。