日本の元気を創生する ‐開業保健師の目指していること‐
一般社団法人 日本開業保健師協会
No.4-2 ワンコイン健診利用者40万人の素顔(ケアプロ株式会社)
ケアプロ株式会社 代表取締役
川添高志
20年以上健康診断を受けていなかった血糖値600以上の男性
現在、月に約一万人の利用者がいます。学生や主婦、フリーター、自営業者、高齢者、外国人など20代から90代まで幅広い利用があり、一年以上健康診断を受けていない方が約半数に及びます。そのような中、印象的なエピソードがいくつかあります。
重度の糖尿病を発見するケースがありました。60代男性Aさんは、中小企業の工場に勤務していましたが、20年以上健康診断を受けていませんでした。奥様と友人とケアプロ中野店に来た時に、血糖値を測定したところ、正常値が100以下のところ、600以上の値が出ました。高血糖により、いつ倒れてもおかしくない状態でした。体調の変化があったかを尋ねると、「体重が減ってきた」とおっしゃいました。これは糖尿病の症状でした。
そして、話している途中に喉が渇いたからジュースを買ってきたいとおっしゃいました。一日にどれくらいの水分を摂取しているかを尋ねると、「6リットルくらい飲んでいる」とおっしゃいました。喉が渇き、トイレが近くなることも糖尿病の症状でしたが、Aさんはそれらが糖尿病の症状だとは知らなかったのです。
その後、Aさんは病院に入院して、三か月間の治療を行い、血糖値は改善し、一命をとりとめました。入院先の病院では「ワンコイン(500円)で命が助かった」と保健師らに伝えたところ「ワンコインさん」というあだ名までついたようだった。病院から退院して奥様と再びケアプロ中野店に来店されて「本当にありがとうございました。ケアプロには足を向けて眠れません」とまで仰っていただき、大変感激しました。
Aさんと筆者
格差社会で生まれる健康格差
30代男性Bさんは、お母さまと来店されました。派遣社員として働いていましたが、仕事を失い、食生活も乱れていました。喉が渇くといった症状があり、インターネットで調べてみると糖尿病の症状かもしれないと思ったそうです。すぐに地元の保健所に相談に行ったのですが、保険証がないので医療機関には受診できないといわれたのです。
そこで、インターネットでケアプロを見つけて、血糖値を測りに来ました。血糖値は300以上であり、すぐに病院に行く必要がある値でした。しかし、保険証がなく、収入もないため、低額無償医療制度というものをお伝えしました。社会福祉法人等で税金を安く収められる一方で、低額または無償で医療を提供する医療機関があるため、そのような医療機関に受診するように促しました。
その他にも、毎日のように様々な問題を抱えた利用者がいます。ケアプロがなければ、どうなっていたのだろうと思うような方が多いのです。
もし、早期発見できずに、病気が重症化してからの場合は、糖尿病で足を切断したり、目を失明したり、自分で老廃物が出せずに人工透析をしたり、といったことになっていたと思います。そして、高額の医療費がかかり、本人にとっても社会全体にとっても大きな問題になってしまします。
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