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【新型コロナ】コロナ禍で自殺者が増加 若い世代や女性で顕著 追い詰められた人に支援が届いていない可能性

 新型コロナのパンデミックは、日本の自殺率に大きな影響を与え、その影響は女性と若い年齢層でもっとも顕著であることが、旭川医科大学と北海道大学の研究で明らかになった。

 パンデミック期間中の自殺による過剰死亡数は、男性で1,208人、女性で1,825人と推定され、とくに女性は20代、30代、60代で過剰死亡が多くみられた。

 「日本では、パンデミック発生以降、困窮した人々に対して政府などからさまざまな支援が行われました。しかし、本当に追い詰められた人々にはきちんと届いていない可能性があります」と、研究者は述べている。

コロナ禍はメンタルヘルスにも影響 女性と若い年齢層でもっとも顕著

 新型コロナのパンデミックは、日本の自殺率に大きな影響を与え、その影響は女性と若い年齢層でもっとも顕著であることが、旭川医科大学と北海道大学の研究で明らかになった。

 これまで、日本でのパンデミック期での自殺者の解析は、2020年のデータを用いたものに限られていたが、今回の研究では、2021年12月までのデータを用いて、自殺率の推移を調べた。

 研究グループは、厚生労働省自殺対策推進室が公表している自殺統計の月別自殺者数データ(暫定値)を用いた。そして、「分割時系列解析」という解析手法で、パンデミック前(2016年1月~2020年3月)と、パンデミック発生後(2020年4月~2021年12月)での、自殺率の推移の変化を調べた。

 研究では、パンデミック期間の自殺の過剰死亡の推定値を算出した。「過剰死亡」は、もしパンデミックがなければ起こらなかった可能性のある死亡者数を意味している。

過剰死亡数は男性1,208人、女性で1,825人

 その結果、パンデミック期間の日本人の自殺者の総数は男性2万2,304人、女性1万1,836人だったが、過剰死亡数は男性1,208人、女性で1,825人だった。

 性別年齢別の分析で、とくに過剰死亡数が多かったのは、男性の20~29歳(自殺者数2,740人、過剰死亡数466人)、40~49歳(3,901人、423人)、女性の30~39歳(1,277人、421人)、60~69歳(1,538人、396人)、20~29歳(1,469人、352人)だった。

 「調査の結果は、新型コロナのパンデミックは日本の自殺率に大きな影響を与え、その影響は女性と若い年齢層でもっとも顕著であることを示しています」と、研究グループでは述べている。

 「新型コロナ感染症のパンデミックにより、日本を含めたほぼ世界中の人々の、日常生活や社会活動が大きく制限されました。パンデミックによる変化は、人々のメンタルヘルスに大きな影響を与えており、その結果、自殺者数が増加した可能性があります」としている。

追い詰められた人に支援が届いていない可能性

 研究は、旭川医科大学社会医学講座の吉岡英治准教授の研究グループが、北海道大学環境健康科学研究教育センターのシャロン ハンリー特任講師と共同で行ったもの。研究成果は、学術誌「Lancet Regional Health-Western Pacific」に掲載された。

 「日本では、パンデミック発生以降、困窮した人々に対して政府などからさまざまな支援が行われました。しかし、こうした支援が本当に追い詰められた人々にはきちんと届いていない可能性があることを、この研究の結果は示しています」と、研究グループは指摘している。

 「今後、コロナ禍での自殺の調査をさらに進め、適切な支援のあり方などを提言してゆきたいと考えています」としている。

2020年4月~2021年12月の自殺者数、自殺の過剰死

出典:旭川医科大学、2022年

旭川医科大学社会医学講座公衆衛生学・疫学分野
北海道大学環境健康科学研究教育センター
Impact of the COVID-19 pandemic on suicide rates in Japan through December 2021: An interrupted time series analysis (Lancet Regional Health - Western Pacific 2022年7月1日)
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