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【新型コロナ】コロナ禍で若い女性の自殺が増加 失業率の上昇と連動 適切な政策で自殺を抑制する必要が
2022年04月04日

横浜市立大学と慶應義塾大学は、コロナ禍の影響で、失業率が増加し、社会経済基盤が比較的弱い若年女性を中心に、自殺が増加しているという調査結果を発表した。
厚生労働省の死亡統計データを解析したところ、2020年度の人口10万人当たりの自殺件数は、2009年度~2019年度までの実績にもとづく予測値に比べ、男性で17%、女性で31%増加していることが明らかになった。
自殺による死亡の増加は、同時期の失業率と連動しており、20代女性の自殺率は推定値より72%増加していた。
とくに若い女性の自殺について、「感染対策と合わせて、適切な政策を行うことで、自殺者数の増加を抑制できると考えられます」と、研究者は述べている。
コロナ禍の影響で20代女性では自殺件数が72%増加 適切な経済政策が必要
2020年にコロナ禍が始まり、景気の悪化にともなう自殺の増加が懸念されているが、1年以上の観察期間のある研究は報告されていない。 これまでの報告では、コロナ禍の影響による自殺の増加を肯定している論文と、否定している論文がある。肯定している論文でも、季節変動の影響との見方を示したものが多いが、実際に何が自殺の増加に影響しているかを確かめた研究は少ない。 そこで研究グループでは、厚生労働省の死亡統計データのデータ解析を行った。その結果、2020年度の人口10万人当たりの自殺件数は、2009年~2019年までの傾向から算出した予測値に比べ、男性で17%、女性で31%増加していることを確認した。 また、死亡の増加は日本の失業率と連動していることも分かった。年齢別の自殺件数では、若年女性で増加が大きく、20代女性では予測値に対して72%増加していた。
2009年~2020年の自殺件数と失業率の推移
死亡の増加は失業率と連動している
死亡の増加は失業率と連動している

出典:横浜市立大学、2022年
研究は、横浜市立大学附属病院化学療法センターの堀田信之センター長と、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の森口翔助教の共同研究グループによるもの。研究成果は、「JAMA Open Network」に掲載された。
「近年の自殺者数の増加における間接的要因として、コロナ禍におけるさまざまな事象が考えられるなか、失業率の増加との連動の可能性を確認しました」と、研究グループでは述べている。
「研究の結果から、感染対策と合わせて適切な経済政策を行うことで、自殺者数の増加が抑制されるのではないかと考えられます」としている。
横浜市立大学附属病院化学療法センター慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
Trends in suicide in Japan following the 2019 Coronavirus Pandemic (JAMA Open Network 2022年3月29日)
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