ニュース
【新型コロナ】見えないウイルスを仮想空間で視覚化 VR教育コンテンツを開発 医療・介護施設での感染防止に
2021年06月07日

岡山大学は、医療従事者の感染対策意識を向上させるためのツールとして、バーチャル・リアリティ(VR)を適用した教育コンテンツを開発した。
VR技術により生み出された仮想空間内で、医療行為を通した新型コロナウイルスの拡散・伝播状況を疑似体験でき、現実世界での医療従事者の感染対策行動を促すものになっている。
病室の環境清拭用コンテンツは、手指衛生に気をつけた行動をとらないと、病室のあちこちにウイルスが付着することが視覚的に分かる内容になっている。
VR技術により生み出された仮想空間内で、医療行為を通した新型コロナウイルスの拡散・伝播状況を疑似体験でき、現実世界での医療従事者の感染対策行動を促すものになっている。
病室の環境清拭用コンテンツは、手指衛生に気をつけた行動をとらないと、病室のあちこちにウイルスが付着することが視覚的に分かる内容になっている。
目に見えないウイルスを仮想空間内で視覚化
岡山大学は、医療従事者の感染対策意識を向上させるためのツールとして、バーチャル・リアリティ(VR)を適用した教育コンテンツを開発した。現実世界での手指衛生などの適切な感染対策の実施を促すことを目的としている。
VRは、コンピュータによって描画した仮想世界を、ゴーグル型のディスプレイによって表示することで、あたかも現実世界と同等の感覚をもたせる技術。
コンテンツでは、通常目に見えないウイルスを、仮想空間内の医療環境で視覚化してある。この仮想空間内で、実際の医療現場で行われる診療・看護を行い、医療行為を通したウイルスの拡散・伝播状況を疑似体験できる。
開発したのは病室の環境清拭用コンテンツ。今後は、薬・文書の病室内配送、点滴バッグ交換、点滴ライン確保、手術創部観察・ガーゼ交換、尿量測定、おむつ交換など、さまざまなシチュエーションを想定したコンテンツを開発し、医療従事者向けの教育プログラムの開発へと発展させる予定だ。
研究は、岡山大学学術研究院医歯薬学域の萩谷英大准教授とヘルスシステム統合科学学域の五福明夫教授、工学部創造工学センターの柴田光宣技術専門職員、廣田聡技術職員の研究グループによるもの。
「この教育コンテンツを試用した時、手指衛生に気をつけた行動を採らないと、こんなにあちこちにウイルスが付着するのかと愕然としました。この教育コンテンツにより、急ぎの場合でもウイルスができるだけ拡散しない行動を医療従事者が無意識に採れて院内感染を防ぐことに役立てば嬉しいです」と、五福教授は述べている。
環境清拭のタスク用のVR教育コンテンツの画面例
ウイルスは色のついた点群で表示
ウイルスは色のついた点群で表示

出典:岡山大学、2021年
医療従事者1人ひとりの感染防止の行動が重要
新型コロナをはじめとしたさまざまな感染症の蔓延を防止するためには、▼ワクチン接種(集団免疫の確立)、▼隔離診察(物理的な感染経路の遮断)、▼マスク・ガウン・アイガードなど(個人防護具)を充実させるとともに、医療従事者1人ひとりの感染防止のための日常的な行動が重要となる。
感染防止行動としては手指衛生がもっとも重要で、WHO(世界保健機関)は2009年に「手指衛生のための5つの場面(5 Momentsfor Hand Hygiene)」を提唱し、医療従事者による手指衛生行動の改善の必要性を啓発してきた。
しかし、微生物は目に見えないことから、どのような医療行為・環境で感染リスクが高いのか、実感しにくいという課題があった。そこで研究グループは、目に見えないウイルスを仮想空間内の医療環境において視覚化する、VRを適用した教育コンテンツの開発に着手した。
この仮想空間内で、実際の医療現場で行われる診療・看護を行い、医療行為を通したウイルスの拡散・伝播状況を疑似体験することで、現実世界での手指衛生などの適切な感染防止行動につながるよう支援する。
開発したのは、病室の環境清拭用コンテンツ。コントローラで病室ドアの開閉、カートの移動、病室内の物体把持などの操作を行う必要があり、操作性にはまだ課題もあるが、今後はデータグローブを用いて自然な操作感で疑似体験できるように開発を進める予定としている。
また今後は、薬・文書の病室内配送、点滴バッグ交換、点滴ライン確保、手術創部観察・ガーゼ交 換、尿量測定、おむつ交換などのさまざまなシチュエーションを想定したコンテンツの開発を予定している。
岡山大学ヘルスシステム統合科学研究科
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2023 SOSHINSHA All Rights Reserved.

「特定保健指導」に関するニュース
- 2023年02月27日
- 毎日のウォーキングで女性の認知症を予防 活発な運動を1日30分増やすと認知症リスクは21%低下
- 2023年02月27日
- 「子宮頸がん(HPV)ワクチン」の安全性をあらためて支持 「副反応説」には科学的欠陥が 近畿大学
- 2023年02月24日
- 「難聴」の高齢者は認知症リスクが61%上昇 加齢性難聴は高齢者の3分の2に影響 適切なケアが重要
- 2023年02月20日
- コロナ禍で孤独を感じる人が増えている 孤独はうつ病や認知症のリスクを高める こうして孤独を解消
- 2023年02月20日
- 【新型コロナ】なぜ男性は女性よりも重症化しやすい? 後遺症は女性の方が多いという報告も
- 2023年02月20日
- 「良い睡眠」に心臓病・脳卒中・脂肪肝の予防効果 「運動」で睡眠を改善 とくに女性で高い効果
- 2023年02月20日
- 「認知症の前段階」が5分でわかる 早期発見し認知症を予防 「バランスWiiボード」を活用
- 2023年02月14日
- 新型コロナの後遺症は「健康的な生活スタイル」により減少 心理的・社会的なストレスも影響
- 2023年02月14日
- 【新型コロナ】施設での感染拡大を防ぐために 適切な換気で「エアロゾル感染」を予防 気流の確認と管理が必要
- 2023年02月13日
- 【新型コロナ】加熱式タバコでも感染と重症化のリスクは上昇 燃焼式タバコと併用するとさらに危険