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【新型コロナ】タバコが新型コロナを重症化 喫煙者も6割が喫煙所の閉鎖に賛成 国立がん研が調査

 国立がん研究センターは、新型コロナウイルスとタバコに関するアンケート調査を行い、報告書を公表した。
 喫煙が新型コロナによる重篤な疾患と死亡を上昇させることを認知しているのは約半分という結果になった。
 WHOは「タバコをやめる理由は100以上あります。新型コロナが重症化しやすいことが分かっており、何百万人もの喫煙者がタバコをやめようとしています」としている。
タバコによる健康への悪影響は明白
 国立がん研究センターによると、タバコによる健康への悪影響は科学的に明白だ。タバコは、本人の健康を損なうだけなく、家族など周りの人の健康にも悪影響を及ぼす。

 受動喫煙の他者危害性やニコチンの依存性をふまえると、喫煙習慣は個人の嗜好にとどまらない健康問題であり、生活習慣病を予防するうえで、タバコ対策は公衆衛生の重要な課題になっている。

 そこで同センターでは、世界禁煙デーを前に、新型コロナとタバコについて国民の意識や認識の把握を目的に調査を行った。調査は2021年3月にインターネットで、成人男女2,000人(喫煙者1,000人、非喫煙者1,000人)を対象に実施した。
糖尿病や心血管疾患のある人ではタバコはさらに危険
 WHOは2020年に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重篤な疾患と死亡を発症するリスクは、喫煙者でとくに高いことを発表している。調査では、喫煙が新型コロナの感染におよぼす影響について認知しているのは、約半分という結果になった

Q 喫煙者は、新型コロナウイルスに感染した際には、重症化しやすいと思いますか?

出典:国立がん研究センター、2021年

 喫煙者のうち、新型コロナに感染した際に重症化しやすいと思っている割合は55%、喫煙所が新型コロナの感染が拡大しやすい場所だと思っている人は59%に上った。

Q 喫煙所は、新型コロナウイルスの感染が拡大しやすい場所だと思いますか?

出典:国立がん研究センター、2021年

 喫煙は、心血管疾患、がん、呼吸器疾患、2型糖尿病などの非感染性疾患(NCD)の主要な危険因子でもあり、さらに、これらの持病をもって生活している人々は、COVID-19に対してより脆弱で、感染時には重症化しやすくなることが分かっている。

 2021年の世界禁煙デーに、世界保健機関(WHO)が掲げたテーマは、「新型コロナの世界的拡大により、何百万人もの喫煙者が禁煙しようとしています。今日、禁煙宣言にサインしよう。」だった。
生活が変化しストレスが増加 タバコに逃げ込む人が増えた?
 新型コロナ対策の一環として、喫煙所や喫煙室を閉鎖、あるいは使用停止にすることに賛成している人は58%に上った。

Q 喫煙所や喫煙室の閉鎖や使用停止についてどのように思いますか?

出典:国立がん研究センター、2021年

 また、新型コロナの感染拡大にともなうステイホームや在宅勤務などによって、同居人の喫煙による受動喫煙が増えていると答えた人(非喫煙者)は10%に上ったのに対して、減っていると答えた人はわずか1.6%だった。

 喫煙者が非喫煙者と比較してCOVID-19で重篤な疾患を発症する可能性が高いという証拠が発表されたこともあり、タバコの有害性について知っている人は増えているものの、受動喫煙のリスク、自分だけでなく他人も危険にさらすおそれがあることについての認識は十分に広がっているとはいえない。

 同センターによると、生活様式の変化にともなうストレスの増加などを理由にした喫煙量の増加や、在宅時間の長期化にともなう自宅での受動喫煙の増加が懸念されている。

 また、新型コロナのクラスターの事例を分析した自治体から、たばこを吸うためにマスクを外す職場の喫煙所で感染が広がった可能性なども指摘されている。感染リスクの高い場面や行動についての注意が必要だ。
禁煙する理由は100以上ある
 WHOは「タバコをやめる100以上の理由」を2020昨年に発表した。その中で、「喫煙者が非喫煙者と比較して新型コロナで重篤な疾患を発症する可能性が高いという証拠が発表されたとき、何百万人もの喫煙者がタバコをやめたいと思うようになりました」と述べている。

 「とくに世界的に感染拡大した結果として、社会的および経済的ストレスが加わったため、禁煙するのは難しい場合がありますが、禁煙する理由はたくさんあります。1番の理由は、新型コロナの重症化および死亡リスクを下げることです」としている。

 調査は、コロナ禍をきっかけに、禁煙に「取組みたい」と思っている喫煙者は25.3%、「どちらともいえない」という喫煙者は33.8%、「取組みたいと思わない」という喫煙者は36.4%に上るという結果になった。

Q 新型コロナの重症化リスク低減に向け、あなたは禁煙に取り組みたいですか?

出典:国立がん研究センター、2021年

 同センターでは、人の行動への準備性についてのステージ分類では、1ヵ月月以内に禁煙しようと考えているステージを「準備期」、6ヵ月月以内に禁煙しようとしているが1ヵ月月以内でないステージを「関心期」、6ヵ月月以内に禁煙する気がないステージを「無関心期」と定めている。

 「ステージ分類ごとの回答者割合は、準備期が67.6%と最も高くなっていました。準備期にある喫煙者に禁煙を促し、具体的な禁煙につなげていくことが求められます」と、同センターでは述べている。

国立がん研究センター

More Than 100 Reasons To Quit Tobacco(世界保健機関)
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