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【新型コロナ】ワクチンを否認しているのはどんな人? 全国で大規模調査を実施 情報発信が必要「地域や社会の健康と回復につながる」

 新型コロナワクチンについて、全国の約9割の人が容認しているものの、「ワクチンを打ちたくない」という人も11.3%に上ることが、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)などの調査で明らかになった。
 ワクチン忌避の理由は、7割が「副反応が心配」を、2割が「効果があると思わない」。ワクチン忌避者の割合が高い層でみられる傾向として、▼1人暮らし、▼所得水準が低い、▼最終学歴が低い、▼政府ないしコロナ政策への不信感がある、▼重度の気分の落ち込みがあることが浮かび上がった。
どんな人がワクチンを否認しているか
 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)などの研究グループは、新型コロナのワクチン接種を否認している人の割合と、否認する原因について明らかにするために、全国の2万6,000人を対象に2021年2月にインターネット調査を実施した。

 その結果、次のことが明らかになった――。
(1) ワクチン忌避者は全体で11.3%。年齢・性別で大きなばらつきがあり、若年女性で15.6%、高齢男性で4.8%と、若い人で否認する人が多い傾向がある。
(2) ワクチン忌避の理由として、約7割の方が「副反応の心配」を、約2割の方が「効果があると思わないこと」を挙げた。
(3) ▼1人暮らし、▼所得水準が低い、▼最終学歴が低い、▼政府ないしコロナ政策への不信感がある、▼重度の気分の落ち込みがある人で、ワクチンを否認する割合が高い。

 研究グループは、新型コロナのワクチンを否認している人には一定の傾向があるとして、「ワクチンの信頼性を高めるような支援が必要」と指摘している。

 ワクチンに対する信頼性が、新型コロナに対する不適切な情報(副反応に関する根拠にもとづかない情報など)によって損なわれている可能性がある。

 「ワクチンを打つことが地域や社会の健康と回復につながるなど、ワクチン接種に対するポジティブな感情を引き起こすようなメッセージを増やすことが必要」としている。

年齢性別で層別化したワクチン忌避者の割合
ワクチン否認の割合は、年齢・性別で大きなばらつきがあり、15~39歳の若年者と65~79歳の高齢者では2倍以上の差がある。
出典:国立精神・神経医療研究センター、2021年

 研究は、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)トランスレーショナル・メディカルセンター大久保亮室長、福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター吉岡貴史助教、大阪市立大学大学院公衆衛生学大藤さとこ准教授、聖路加国際病院松尾貴公医師、大阪国際がん研究センター田淵貴大副部長らの研究グループによるもの。研究成果は、国際医学誌「Vaccines」にオンライン掲載された。
ワクチンの副反応の不安を軽減する情報提供が必要
 新型コロナの感染拡大を抑え、収束させるために、集団免疫の獲得が必要で、そのために多くの人が新型コロナのワクチンを接種する必要がある。集団免疫を確立するうえで大きな障害となるのは、新型コロナワクチンの否認・忌避だ。

 研究グループは、日本全国のさまざまな地域から合計2万6,000人を対象に、日本の新型コロナをめぐる社会格差を調査するために、インターネット調査プロジェクト(JACSIS)を立ち上げた。

 インターネット調査の限界を克服するため傾向スコアによる重みづけを用い、2016年に厚生労働省で行われた国民生活基礎調査の参加者と性別・年齢・社会経済状況などの分布が同様になるようにデータを調整した。

 その結果、ワクチン忌避者は全体で11.3%に上った。年齢・性別で大きなばらつきがあり、15~39歳の若年者と65~79歳の高齢者では2倍以上の差があった。

 ワクチン忌避の理由は、約7割が「副反応が心配だから」、約2割が「あまり効果があると思わないから」。とくに65~79歳の高齢者では、80%以上の人がワクチンの「副反応が心配」と回答した。

ワクチン忌避の理由

ワクチンを否認している人の70%以上が、「副反応が心配だから」と回答。とくに65~79歳の高齢者では、80%以上が「副反応が心配」を挙げた。高齢者は重症化のリスクが高く、ワクチン接種率を高めていく必要性が高いことから、ワクチンの副反応や、その対処法に関する正確な情報提供を行い、ワクチンの副反応の不安をより軽減するような情報提供が必要。
出典:国立精神・神経医療研究センター、2021年

 また、1人暮らし、年間100万円未満の低所得、中学卒業あるいは短大/専門学校卒業といった教育歴、政府ないしコロナ政策への不信感がある人、重度の気分の落ち込みがある人では、ワクチン忌避者の割合が高かった。この傾向は65歳以上の高齢者でより顕著だった。

ワクチン忌避にかかわる要因

出典:国立精神・神経医療研究センター、2021年

 「高齢者は重症化のリスクが高く、ワクチン接種率を高めていく必要性が高いことから、ワクチンの副反応や、その対処法に関する正確な情報提供を行い、ワクチンの副反応の不安をより軽減する情報提供が必要」と、研究グループは指摘している。

国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター
COVID‐19 Vaccine Hesitancy and Its Associated Factors in Japan(Vaccines 2021年6月17日)
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[Terahata]

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