ニュース
【新型コロナ】嗅覚チェックで無症状感染者を早期発見 「簡易嗅覚確認キット」を開発 順天堂大学
2021年03月23日
順天堂大学は第一薬品産業と共同で、新型コロナの早期診断に役立つ「簡易嗅覚確認キット」を開発した。
新型コロナでは、もののニオイがわからなくなる嗅覚障害が、発熱、咳などの症状が出る前や、PCR検査で陽性が判明するよりも前に出現することがある。
嗅覚検査を行い嗅覚障害を早期診断することが、無症状感染者を発見するうえでも重要となる。4月12日より発売予定。
新型コロナでは、もののニオイがわからなくなる嗅覚障害が、発熱、咳などの症状が出る前や、PCR検査で陽性が判明するよりも前に出現することがある。
嗅覚検査を行い嗅覚障害を早期診断することが、無症状感染者を発見するうえでも重要となる。4月12日より発売予定。
嗅覚確認キットでセルフチェック 無症状感染を早期に発見
出典:順天堂大学、2021年
早期の嗅覚チェックにより無症状感染者の発見が可能に
新型コロナウイルス感染症における嗅覚障害は、感染が世界的に流行した当初から主な神経学的症状として報告されてきた。発症率は報告によってさまざまだが、80%以上の症例で嗅覚に対する変化が生じていることが明らかになってきている。
また、全身症状の程度に関わらず嗅覚障害が生じるため、新型コロナウイルス感染では、嗅覚が普遍的な標的であるといえる。
研究グループによると、新型コロナウイルス感染症の嗅覚障害の特徴として、以下のことが知られている――。(1) 突然に発症する。
(2) 咳、発熱、咽頭痛、倦怠感などの症状と同時またはそれ以前に生じる。
(3) PCR検査陽性の前に生じる。
(4) インフルエンザ感染症、感冒、花粉症などによる嗅覚障害と異なり、鼻閉(鼻づまり)や鼻漏(鼻水)などの他の鼻症状をともないにくい。
(5) 主観的自己報告よりも客観的嗅覚検査で検出率が高い。
(6) 全身症状の重症度に関わらず生じる。
(7) 無症状感染者の唯一の症状になる。 とくに、検温やPCR検査の結果に先行して嗅覚障害が生じることは、早期診断に応用可能な重要な所見となる。 また、嗅覚障害だけの無症状感染者が報告されている一方で、軽度の嗅覚障害は自覚されにくいことから、客観的な嗅覚検査が嗅覚障害の早期診断に有用であり、嗅覚チェックによって無症状感染者の発見が可能と考えられるとしている。
「簡易嗅覚確認キット」の特徴
・ 同検査キットに組みこまれたニオイ物質の種類と濃度
鼻腔には、鼻の中の感覚を脳に伝える三叉神経があり、ある種の刺激性物質によって生じた「鼻につんとくる感覚」を、ニオイの感覚と錯覚してしまうことがある。
そのため、研究グループは同検査キットの開発にあたり、キットに用いるニオイの種類を決定する上で、嗅覚のみを刺激するニオイ物質を選択した。同検査キットでは、三叉神経刺激のない合成単一香料であるVerdox(青りんご様のニオイ)とSotolone(カラメル様のニオイ)を使用している。
開発の過程で20代から80代の健常者に上述したニオイ物質を種々の濃度で嗅いでもらい、ニオイを感じる最小の濃度(閾値)を検討した。その結果、50歳を境として閾値に相違があることが分かり、50歳未満用と50歳以上用の2種類の濃度を検査キットに組み入れた。
出典:順天堂大学、2021年
・ 同検査キットの使用方法
(1) ボトルのキャップを上に開ける。(2) 本体中央部を親指および人差し指、中指で押し込みボトル内部の空間に含まれるニオイを押し出す。
(3) 鼻から3cmほどの距離でニオイを嗅ぐ。
(4) ニオイがするかどうかをセルフチェック(ニオイがわからない場合は、嗅覚異常の疑いがある)。
出典:順天堂大学、2021年
「簡易嗅覚確認キット」の組成・仕様
質量 | 約12g〔以下のにおい成分(1g)を含めた脱脂綿をボトル内に封入〕 |
---|---|
包装 | プラスチックボトル(PE)、プラスチックキャップ(PP)、製品表示ラベル(紙) |
開封後3ヵ月 または 製造から1年以内(ラベルに記載) | |
発売時期 | 2021年4月12日より発売予定 |
製品価格 | VH、VL、SH、SLともに各1本1,650円(税込・送料込) 2本セット:高濃度セット(VH・SH)、低濃度セット(VL・SL)ともに各1セット2,750円(税込・送料込) |
意義 | これまで多くの臨床研究から、嗅覚障害のスクリーニングを新型コロナウイルス感染症対策へ応用することが提唱されてきました。嗅覚障害は新型コロナウイルス感染症拡大を早期に予知し得る指標であることから、「簡易嗅覚確認キット」を用いて個人が自宅で嗅覚の状態をセルフチェックすることにより、検温よりも陽性者を多く検出できる可能性があります。 (※本キットで嗅覚チェックをして異常が感じられた場合は、PCR検査をお勧めします) |
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「健診・検診」に関するニュース
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月18日
- 人口10万人あたりの「常勤保健師の配置状況」最多は島根県 「令和4年度地域保健・健康増進事業の報告」より
- 2024年04月18日
- 健康診査の受診者数が回復 前年比で約4,200人増加 「地域保健・健康増進事業の報告」より
- 2024年04月09日
- 子宮の日 もっと知ってほしい子宮頸がんワクチンのこと 予防啓発キャンペーンを展開
- 2024年04月08日
- 【新型コロナ】長引く後遺症が社会問題に 他の疾患が隠れている例も 岡山大学が調査
- 2024年03月18日
- メタボリックシンドロームの新しい診断基準を提案 特定健診などの56万⼈のビッグデータを解析 新潟⼤学
- 2024年03月11日
- 肥満は日本人でも脳梗塞や脳出血のリスクを高める 脳出血は肥満とやせでの両方で増加 約9万人を調査
- 2024年03月05日
- 【横浜市】がん検診の充実などの対策を加速 高齢者だけでなく女性や若い人のがん対策も推進 自治体初の試みも
- 2024年02月26日
- 近くの「検体測定室」で糖尿病チェック PHRアプリでデータ連携 保健指導のフォローアップなどへの活用も