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【新型コロナ】ウイルス感染から1年後 回復者の多くが抗体と中和抗体を保持 ワクチン接種の効果は?

 昨年の新型コロナ拡大の第1波に感染して回復した人のほとんどが、1年後も感染を防ぐ量の中和抗体を保持していたことが、横浜市立大学の研究グループの調査で明らかになった。
 研究グループは同じ対象者で半年後の保持率も調べている。1年後の保持率は半年後よりわずかに下がっていたものの、ほとんどの人が1年は中和抗体を持つことが示された。
 中和抗体は、ウイルスが人の細胞へ侵入しないように防ぐ抗体のこと。ワクチン接種によっても、ほぼ同期間の中和抗体の保持を期待できるという。
新型コロナの回復者の多くが1年後も抗体を保持
 横浜市⽴⼤学は、2020年8⽉より「新型コロナウイルス感染症回復者専⽤抗体検査PROJECT」を実施しており、回復者のほとんどが感染から6ヵ月後も、従来株に対する抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していることを報告した。

 このほど2021年3⽉末までに採⾎を実施した約250例のデータを測定し、感染から6ヵ月後と1年後に、(1) 抗ウイルス抗体および中和抗体の量はいずれも6ヵ月時点より緩やかに減少する傾向にある、しかし、(2) 1年後の保持率は半年後よりわずかに下がっていたものの、依然として多くが抗ウイルス抗体および検出可能な量の中和抗体を有していることを明らかにした。

 さらに、拡⼤傾向にある変異株に対する中和抗体の保有割合についても評価を⾏い、6・12ヵ月時点の中和抗体保有割合は従来株に⽐べて低下傾向にあることを確認した。

 研究は、横浜市⽴⼤学学術院医学群臨床統計学の⼭中⽵春教授、同微⽣物学の梁明秀教授、同データサイエンス研究科の後藤温教授らの研究グループによるもの。
変異株に対する日本⼈の中和抗体を調査
 研究グループはこれまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の免疫能の獲得について、感染から6ヵ月が経過した回復者を対象に参加を募り、同学が「hiVNTシステム」を⽤いて、感染から6ヵ月後の抗体保有状況を報告してきた。

 同システムは、同学研究チームが2020年7⽉に開発した、新型コロナウイルスに対する中和抗体を簡便かつ迅速に測定できる⼿法。感染性を有する⽣ウイルスやゲノムを含んだ擬似ウイルスを使⽤しないため、危険な操作が不要で、3時間以内に中和抗体の量を測定することができる。

 今回、12ヵ月が経過した検体の抗体測定を⾏うことで、COVID-19回復者のさらに⻑期的な免疫能の獲得について、日本でのエビデンスの構築に向けたデータを取得するのに成功した。

 また、最近では、新型コロナウイルスの変異株の種類が多様化し、その感染者数が急激に拡⼤傾向にあるが、変異株に対する、とくに日本⼈での中和抗体に関する情報は⼗分ではない。そこで、変異株に対しても中和抗体を獲得しているかを合わせて調査した。

 その結果、抗ウイルス抗体、中和抗体のいずれにおいても時間経過にともなう減少傾向があるものの、回復者の多くが、約1年後も検出可能な量の抗ウイルス抗体および中和抗体を保有していることを確認。

 また、従来株に感染していても、その後に広まった変異株に対する中和抗体をもつ人の割合は下がる傾向があることも分かった。従来株の感染歴があっても、ワクチン接種はした方が良いと考えられる。
新型コロナのワクチンは新たに2種類が承認
 今回の調査結果は、ワクチンによる中和抗体の産生と一定期間の保持に対し期待をもたせる内容だ。

 厚生労働省は5月21日に、米モデルナ製と英アストラゼネカ製の2種類の新型コロナワクチンを特例承認した。国内ではすでに米ファイザー製のワクチンが承認され、医療従事者や65歳以上の高齢者への接種が進んでいる。新たに2種類が承認されたことで、3種類のワクチンを使えるようになった。

 研究グループは、「今後、変異株の種類のさらなる増加も予想されるため、新たなコロナ変異株が登場した際に、変異株に対する中和抗体保有の状況を集団レベルですみやかに調べることが必要であり、本学の開発した技術を他機関や⺠間企業などを通じて社会実装につなげられるよう、検証を進める予定です」としている。

新型コロナウイルス感染から約1年後の抗ウイルス抗体および中和抗体の保有状況(横浜市⽴⼤学 2020年5月20日)
新型コロナウイルス感染6ヵ月後での抗ウイルス抗体保有および中和抗体保有調査に関する中間報告(横浜市⽴⼤学 2020年12月2日)
新型コロナウイルス感染症回復者専⽤抗体検査PROJECT開始のお知らせ(横浜市⽴⼤学 2020年7月29日)
新型コロナワクチンについて(厚生労働省)
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