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【新型コロナ】運動でメンタルヘルスを改善したいが「コロナでストレスや不安が」という人に 運動を続けるための4つのヒント

 ストレスを解消するために、運動が効果的であることが報告されているが、コロナ禍にともなうストレスや不安のために、運動をする気力が低下している人が多いことが、英国のマクマスター大学の調査で明らかになった。
 コロナ禍により、ウォーキングなどの時間は週に22分減り、座位時間は1日に33分増えた一方で、運動をする動機は「不安の緩和」など、メンタルヘルスに関連する事柄が増えた。
 新型コロナに負けず毎日をアクティブに過ごすために、研究グループは4つのことを提案している。
運動でメンタルヘルスを改善したいという人は増えている
 ウォーキングなどの運動には、メンタルヘルスを改善する効果もある。多くの人が積極的にメンタルヘルスを改善したいと思っているが、同時に、コロナ禍のもたらしたストレスや不安のために、運動をするのが難しくなったと感じている人も多いという調査結果が発表された。

 英国のマクマスター大学は、新型コロナのパンデミックが、運動不足や座りがちな生活スタイル、メンタルヘルスにどう影響したかを知るために、1,669人を対象にオンライン調査を行った。

 調査実施期間は2020年4月~6月で、回答者の82.4%は女性、85.6%はカナダ国内からの回答だった。ほとんどの人(91.9%)は4週間以上、社会的に孤立した状態に置かれていたと回答した。
パンデミックによりストレスや不安が増加 身体活動量は減少
 その結果、新型コロナのパンデミックにより、強い心理的ストレスや、中程度の不安やうつ病を訴えるようになった人が多いことが明らかになった。

 パンデミックの6ヵ月前と比較して週の平均で、ウォーキングなどの有酸素運動は22分減少し、筋力トレーニングは32分減少した。一方で、座りがちな時間は1日に33分増加した。

 パンデミックにより身体活動量が大きく減少した人は、心理的ストレスのスコアが22%上昇するなど、メンタルヘルスの悪化が大きい傾向もみられた。運動量の低下した人は、「不安の増大」「社会的支援の不足」「運動できる環境へのアクセスのしづらさ」などを感じている。

 逆に、身体活動レベルを平常時と同等に維持していたり増やした人は、メンタルヘルスの状態は比較的良いことが分かった。身体活動量の変化量と、うつレベル、不安レベルとの間に、負の相関がみられた。

身体活動レベルをコロナ禍以前と同等に維持したり増やした人は
メンタルヘルスの状況も良い

出典:マクマスター大学、2021年
運動している人は不安やうつが少ない ストレス解消が運動の動機に
 コロナ禍でも、多くの人は健康のために運動を続けたいと願っている。しかし、コロナ禍がもたらすストレスや不安が、運動を妨げる障壁になっている。同時に、コロナ禍によるストレスを解消したいということが、運動の動機にもなっている。

 運動をする動機は、パンデミック前に比較し、「体重減少」(7ポイント減)や「体力の維持」(14ポイント減)などが減少した一方で、「不安の緩和」(14ポイント増)などメンタルヘルスに関連する事柄が増加していた。

 「このパラドックスを解決するために、パンデミックによる悪影響を最小限に抑え、なるべく平常時の身体活動量を維持できるようサポートすることが必要です。そのことは、メンタルヘルスの危機を抑制することにもつながります」と、マクマスター大学キネシオロジー学部のジェニファー ハイズ氏は言う。

 「運動には不安やうつ病を軽減する効果を期待できますが、多くの人は強い不安を感じており、運動をするのを困難に感じています。平常時に運動を習慣として行うことを困難に感じていた人は、パンデミックによりさらに難しい状況に置かれるようになりました。活動意欲の低下はうつ病の初期症状でもあります。運動を継続できるようにするために、早期のサポートが必要です」としている。
新型コロナに負けずに運動を続けるための4つのヒント
 「新型コロナのパンデミックにより打撃がとくに大きいのは低所得の人々です。長時間労働が多く、収入が比較的少ない若い成人は、時間とスペースの両方が不足しているため、大きな犠牲を強いられている可能性があります」と、同大学運動学部のマリアム マラシイ氏は言う。

 研究グループは、新型コロナに負けず毎日をアクティブに過ごすために、次のことを提案している――。

とにかく体を動かす
 新型コロナ以前に比べ、運動量が減ったとしても、くよくよ悩まないことです。とにかく機会をみつけて、体を動かすよう心かげましょう。ちょっとした運動であっても、何もしないのに比べずっとましなのです。

運動強度を下げてみる
 新型コロナの影響で、強い不安を感じる人は、運動強度を下げてみてください。空いた時間に家の近所を少し散歩するだけでも、立派な身体活動になり、気晴らしにもなります。

なるべく立ち上がって体を使う
 座りがちな時間を減らし、なるべく立ち上がって体を動かすようにしましょう。▼エレベーターよりも階段を使う、▼移動は車よりも徒歩で、▼デスクワークでは1時間ごとに休憩をとり体を動かす、▼テレビのコマーシャルの時間に立ち上がる、▼休日にはガーデニングや大工仕事などを行う――といった工夫をしてみましょう。

カレンダーに運動の予定を書き込む
 運動をする日を決めて、予定を組みましょう。感染対策として、身体的な距離(2m以上)に配慮し、周囲環境などにも注意を払っていれば、運動を安全に行えます。夏に屋外でマスクを着用して体を動かす場合は、強い負荷の作業や運動は避け、こまめな水分補給をこころがけてください。

Pandemic paradox: People want to improve mental health by exercising, but stress and anxiety get in the way, research shows(マクマスター大学 2021年4月12日)
A mental health paradox: Mental health was both a motivator and barrier to physical activity during the COVID-19 pandemic(PLOS ONE 2021年4月1日)
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