ニュース
【新型コロナ】コロナ禍でアルコール関連疾患の入院が増加 自粛期間中の飲酒に注意
2021年07月20日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、アルコール関連疾患の入院が増加していると、京都大学が発表した。
アルコール関連肝疾患による入院は、コロナ禍以前に比べ1.2倍に増えた。新型コロナの流行によりアルコールの消費量が増加しているという報告がある。
「自粛期間中の飲酒にはとくに注意が必要です」と、研究者は述べている。
アルコール関連肝疾患による入院は、コロナ禍以前に比べ1.2倍に増えた。新型コロナの流行によりアルコールの消費量が増加しているという報告がある。
「自粛期間中の飲酒にはとくに注意が必要です」と、研究者は述べている。
コロナ禍によりアルコールの消費量が増えている
アルコールの乱用により世界中で毎年約300万人が死亡しており、公衆衛生の大きな課題となっている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、ソーシャルディスタンスの維持や都市のロックダウン、経済的な危機によるストレスから、アルコールの消費の増加と、肝疾患をはじめとするアルコールに関連する疾患の増加が懸念されている。世界保健機関(WHO)なども、有害なアルコールの消費について警告を発している。
米国や英国では実際に、コロナ禍によりアルコールの販売量が増加し、家庭でもアルコール消費量が増加したと報告されている。日本政府の調査でも、2020年4月以降の家計のアルコール消費支出は、1年前に比べて増加している。
アルコールの乱用による代表的な疾患として、肝硬変をはじめとする肝疾患や膵炎があるが、今回のCOVID-19の流行がアルコール関連の肝疾患や膵炎の入院に与える影響はまだよく分かっていない。
コロナ禍でアルコール関連の入院は約1.2倍に増加 アルコール性肝硬変が最多
そこで、京都大学の研究グループは、全国の有力病院が参加しているプロジェクトであるQIP(Quality Indicator/Improvement Project)のデータベースを用いて、入院日が2018年7月1日~2020年6月30日の、アルコール関連の肝疾患および膵炎の月別の1,000入院あたりの入院率を調査した。
対象となったのは、全国257病院の、アルコール関連肝疾患による入院302万6,389件、または膵炎による入院1万242件。
その結果、COVID-19の流行時の2020年4~6月の入院率は、流行前の期間(2018年7月~2020年3月)と比較して、約1.2倍に増加していた。入院した原因疾患で最多なのはアルコール性肝硬変だった。
研究は、京都大学医学研究科の今中雄一教授、國澤進准教授、糸島尚氏らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」にオンライン掲載された。
アルコール関連の肝疾患と膵炎による1,000入院あたりの月別入院率

出典:京都大学医学研究科、2021年
入院率は男性が高いが、増加の程度は女性の方が大きい
アルコールが身体へ与える影響は性別によって差があるという生物学的な特性が知られており、海外ではCOVID-19の流行下での飲酒量も性別により差があるという報告がある。
そこで性別でも解析を行ったところ、入院患者数は男性の方が多いため、入院率自体は男性が高いものの、2020年4~6月の入院率を前年同月で比較すると、男性では4月 1.1倍、5月 1.2倍、6月 1.2倍、女性では4月 1.4倍、5月 1.9倍、6月 2.0倍となり、女性の方が増加の程度が大きい傾向が示された。
アルコール消費の増加は経済的な危機による精神的ストレスとも関連していることが報告されており、今回のCOVID-19の流行下において、女性がより経済的な影響を受けている可能性も示唆される。
性別による、生物学的な違いに加え、経済的な影響の違いを反映しており、女性はコロナ禍による影響がより深刻である可能性がある。
自粛期間中の飲酒には注意が必要
COVID-19流行によるアルコール消費増加と肝疾患をはじめとするアルコール関連疾患の増加については世界的に懸念され注目されている。
今回の調査では、個々のアルコールの消費量についてはデータベースに情報がないため、個人のアルコール消費量の変化とアルコール関連の肝疾患や、膵炎の入院との関連といった直接的な関連を調べることができなかつた。
「個人のアルコール消費量や肝疾患や膵炎の入院がどう影響を受けているか、さらに調査が必要です。COVID-19の流行が収束しないなか、アルコール関連肝疾患・膵炎の増加が続く可能性があり、自粛期間中の飲酒には注意が必要です」と、研究グループは述べている。
京都大学大学院医学研究科・医学部The impact of the COVID-19 epidemic on hospital admissions for alcohol-related liver disease and pancreatitis in Japan(Scientific Reports 2021年7月12日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2023 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「特定保健指導」に関するニュース
- 2023年08月28日
- 極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
- 2023年08月28日
- カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
- 2023年08月28日
- わずか5分の運動でも「がんリスク」を32%減少 無理なく続けられる「新しい運動法」を開発
- 2023年08月28日
- 週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
- 2023年08月28日
- 高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
- 2023年08月21日
- 肥満やメタボが「腰痛」を引き起こす コロナ禍でさらに増加 「腰痛」を改善する運動は?
- 2023年08月21日
- 朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
- 2023年08月21日
- アルコールが高血圧の原因に 飲酒量が少ない人も血圧が上昇 2万人弱を調査
- 2023年08月21日
- ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
- 2023年08月21日
- 「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に