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【新型コロナ】ワクチンの3回目(ブースター)接種は「オミクロン株BA.2系統」に対しても効果があることを確認
2022年04月12日
ファイザーなどの従来のmRNAワクチンの3回目(ブースター)接種は、急速に感染が拡大している「オミクロン株BA.2系統」に対しても効果があることを、神戸大学が確認した。
mRNAワクチン接種後約7ヵ月の時点では、ほとんどの接種者はBA.2系統に対する中和抗体がない、もしくは非常に低い抗体価しかなかったが、ブースター接種により接種後約2週間の時点で、BA.2系統に対する中和抗体が有意に上昇することが明らかになった。
さらに感染力が強い「オミクロン株BA.2系統」が拡大
mRNAワクチンの3回目(ブースター)接種は、「オミクロン株BA.2系統」にも効果があるかを調査
出典:神戸大学、2022年
新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株は、2021年末にはじめて確認された。それ以来、この変異株による爆発的流行が世界規模で広がった。
オミクロン株は、4つの系統があるが、最初に流行したのは「BA.1系統」と呼ばれるものだった。しかし現在、さらに感染力が強いとされる「BA.2系統」が急速に広がり、多く国でBA.2系統に属する株が主流となった。
ウイルス感染は、コロナウイルス粒子表面にあるスパイクタンパク質を介して、ウイルス粒子が宿主細胞表面の受容体タンパク質に結合することで始まる。新型コロナウイルスの「オミクロン株BA.2系統」は、そのスパイクタンパク質に少なくとも31ヵ所の変異がある。
現在、予防接種に使われているmRNAワクチンは、遺伝子をヒトの細胞内に取り込ませて、その遺伝子をもとに細胞内でスパイクタンパク質を産生させるもの。そのスパイクタンパク質に対する中和抗体産生と細胞性免疫応答が誘導されることで、新型コロナウイルスによる感染症を予防できるようになる。
また、治療に使われている、さらには開発中の新型コロナに対する抗体薬は、このスパイクタンパクを標的としており、その機能を失わせる(中和する)ものだ。
mRNAワクチンはBA.2系統に対しても中和免疫を強く誘導
従来のmRNAワクチンが、急速に感染が拡大している「オミクロン株BA.2系統」に対しても効果があるかは、よく分かっていない。 そこで神戸大学は、2021年6月~2022年1月に、ファイザーの新型コロナウイルスmRNAワクチン(Pfizer/BioNTech BNT162b2)を3回接種した同大学附属病院の医師40人を対象に、2回接種後約7ヵ月、および3回目(ブースター)接種後の、血清中でのオミクロン株BA.2系統に対する中和抗体を測定した。 その結果、ワクチン接種後約7ヵ月の時点では、ほとんどの接種者はBA.2系統に対する中和抗体がない、もしくは非常に低い抗体価しかなかったが、ブースター接種により接種後約2週間の時点で、BA.2系統に対する中和抗体が有意に上昇することが明らかになった。 ブースター接種後には、全員がBA.2系統に対する中和抗体を有しており、平均抗体価も33.7と大きく上昇した。 この結果は、ブースター接種がBA.1系統と同様に、BA.2系統に対しても中和免疫を強く誘導することを示している。このmRNAワクチンによる追加免疫が、新型コロナウイルスの変異体に対する、高い交差中和反応を誘導することを裏付けている。
ワクチンのブースター接種後には、BA.2系統に対する中和抗体の抗体価も33.7と大きく上昇した
出典:神戸大学、2022年
「今回の調査結果は、今後、BA.1系統に置き換わり流行が危惧されているBA.2系統の感染拡大を抑えるうえ、ブースター接種がBA.1株同様、重要なカギとなりうることを示しています」と、研究者は述べている。
一方で、ブースター接種により獲得された中和抗体の持続についてはまだよく分かっておらず、新規の変異株が出現する可能性も懸念されるという。「引き続き、新型コロナの終息に向けて、ワクチン接種者の中和抗体の経時的変化を評価することが必要です」としている。
研究は、神戸大学大学院医学研究科附属感染症センター臨床ウイルス学分野の森康子教授らと兵庫県の研究グループによるもの。
神戸大学大学院医学研究科附属感染症センター臨床ウイルス学分野
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