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【新型コロナ】モデルナのワクチンの3回目接種後の副反応は2回目に比べ減少 高齢者の1割は免疫反応がきわめて弱い

 岡山大学は、モデルナの新型コロナワクチンの3回目接種後の副反応について調査し、最終報告を発表した。

 モデルナのワクチンは副反応の頻度の高さが心配されているが、接種量が半分になったこともあり、3回目接種では2回目接種後と比べ、副反応の頻度が少なくなっており、多くの人が副反応は軽くなったと回答した。また、大体の副反応は接種翌々日には落ち着いた。

 同大学の調査では、高齢者施設入所者のおよそ1割は、予防接種にもかかわらず免疫反応がきわめて弱く、対応が必要であることも示された。

モデルナのワクチンの3回目接種後の副反応は2回目に比べ減少

 岡山大学は、モデルナの新型コロナワクチンの3回目接種後の副反応について調査し、最終報告を発表した。

 変異株による新型コロナウイルス感染症の第7波が広がっている。新型コロナウイルスワクチン接種による感染予防効果は下がってきているものの、重症化予防の効果は依然として保たれている。

 最終報告では、2022年3月16日~2022年7月18日の調査回答分を集計した。岡山大学に所属する教職員および学生で、初回接種(1~2回目接種)で、モデルナの新型コロナワクチンを接種した後、3回目に岡山大学拠点接種にて同ワクチンを接種した1,733人が回答した

 接種後の副反応としては、以前行った大学拠点接種でのモデルナのワクチン初回接種後副反応調査の2回目接種後の副反応と比べ、局所反応・全身反応とも副反応の出現割合は減少していた。

 たとえば、2回目接種後は37.5度以上の発熱は88.0%だったが、3回目接種後は67.5%となっていた。3回目接種後の副反応は接種翌日まで続いた割合がもっとも高く、接種3日目以降まで持続する割合は低くなっていた。

 また、年齢別の比較では、年代別の回答者数の多寡により影響を受けていたが、年齢が若いほど、発熱の出現頻度が高くなっていた。

ほとんどの人が自発的に3回目接種を受けている 「身近な人にも勧める」

 3回目接種後の各局所副反応の強さを主観で2回目接種後と比較してもらったところ、局所反応・全身反応とも、軽かったという回答が、重かったという回答より多くなっていた。

 また、副反応全般では、6割程度の人は2回目接種と比較して軽かったと答えた。さらに、ほとんどの人が自発的に3回目接種を受けており、過半数が身近な人にも接種を勧めると回答した。

 モデルナのワクチンは副反応の頻度の高さが心配されているが、接種量が半分になったこともあり、3回目接種では2回目接種後と比べ、副反応の頻度が少なくなっており、多くの人が副反応は軽くなったと回答した。また、大体の副反応は接種翌々日には落ち着いた。

 新型コロナワクチン3回目接種が進行中ですが、若者世代での接種率はなかなか伸びない傾向にある。研究グループは今回の調査は、対象が男女半々で若い人が多く含まれていることから、ワクチン接種での判断に有用な情報になるとしている。

高齢者の1割は予防接種にもかかわらず免疫反応がきわめて弱い

 岡山大学の別の調査では、高齢者施設入所者のおよそ1割は、予防接種にもかかわらず免疫反応がきわめて弱く、対応が必要であることも示された。

 研究グループは、医療従事者、高齢者施設利用者およそ1,900人の抗体価を測定し3回目接種の効果を検討した。その結果、70歳以上の高齢者のなかに、追加接種にもかかわらず、中和抗体の産生がまったく誘導されない、あるいはほとんど誘導されない人が1割程度いた。

 この結果は、一定数の高齢者が予防接種にもかかわらず、その恩恵を受けることができないという事実を示唆している。高齢者施設でのクラスターは、今後コロナ対策を考えたうえできわめて重要だと考えられるが、予防接種によってレスポンスしない人を感染後に積極的な治療対象としてトリアージすることにより、限られた医療資源の有効活用につながると考えられるとしている。

 高齢者施設は、これまでにハイリスクと考えられている対象者が多く入所しているが、感染が発覚した際にはすでに感染が広がっていることがある。また、高齢者施設などでは予防接種にもかかわらずクラスター発生の際に中等症・重症化する患者がみられ、感染が広がると重症化患者の増加にともない医療資源の逼迫につながりうる。

 「高齢者施設では全入所者の静脈血を採取して抗体価を測定することは容易ではありません。私たちは、微量の指先全血から抗体価を測定することによって、比較的簡便に入所者の抗体価測定が可能なことを示しました」と、研究グループでは述べている。

 「高齢者施設は、これまでにハイリスクと考えられている対象者が多く入所していますが、感染が発覚した際には既に感染が広がっていることがあります。また、高齢者施設などでは予防接種にもかかわらずクラスター発生の際に中等症・重症化する患者がみられ、感染が広がると重症化患者の増加に伴い医療資源の逼迫につながりえます」としている。

3回目接種後の抗体価
70歳以上の高齢者に、接種にもかかわらず抗体価の反応が極めて弱い(250U/mL)人がみられる。


赤枠内は、3回目接種前後でクラスターを起こした施設の生存者の抗体価。全ての被験者の抗体価が3回目接種後直ちに数千から数万に上昇した。
出典:岡山大学、2022年

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・衛生学分野
新型コロナウイルスワクチン情報 (岡山大学)
Poor vaccine responsiveness towards third-dose mRNA vaccine of COVID-19 in Japanese older people (Journal of Infection 2022年7月11日)
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