ニュース
【新型コロナ】ノババックスのワクチンの3回目接種の結果 副反応の頻度は他のワクチンより低い
2022年08月09日

日本でも5月から接種がはじまったノババックスの新型コロナワクチンについて、3回目の接種を受けた人の、抗体や副反応についての分析結果を、厚生労働省の研究班が公表した。
「重症化予防などが期待される免疫の増強効果が確認された。追加接種(3回目接種)をし、接種1ヵ月後の抗体価が測定できた人の抗スパイクタンパク質抗体価は、約32倍に増加していた」としている。
副反応については、ノババックスのワクチンの3回目を接種した人で、37.5℃以上の発熱が10.3%(38℃以上は0%)にみられ、局所反応は疼痛が65.5%に、全身の倦怠感が39.7%に、頭痛が27.6%にそれぞれみられた。
「このワクチンは他のワクチンより副反応の頻度が低いといえる結果になった」と、研究班では述べている。
ノババックスのワクチンは組換えタンパクワクチン
ノババックスの新型コロナワクチン「ヌバキソビッド筋注」は、同社が開発したワクチンを武田薬品工業より薬事承認申請されたもので、2022年4月に承認された。接種は5月からはじまっている。 同剤は組換えタンパクワクチンであり、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(ウイルスがヒトの細胞へ侵入するために必要なタンパク質)の遺伝子をもとに作られた組換えタンパク質を、ナノ粒子化した製剤で、免疫の活性化を促進するためのアジュバントが添加されている。 同剤の接種により、組換えスパイクタンパク質がヒトの細胞内に取り込まれると、スパイクタンパク質に対する中和抗体産生と細胞性免疫応答が誘導され、ウイルスによる感染症の予防ができると考えられている。 組換えタンパクワクチンは、不活化ワクチンの一種で、B型肝炎ウイルスワクチンなど、世界中で幅広く使用され、長期の使用実績のある技術。 ファイザーやモデルナのmRNAワクチンと、アストラゼネカのウイルスベクターワクチンは、遺伝情報を伝達する物質や遺伝子を投与して体内で新型コロナウイルスのスパイクタンパク質ができるようにして、抗体を作るようにできているが、ノババックスのワクチンは、人工的に作ったスパイクタンパク質そのものを投与することで、免疫の反応を引き起こす。ノババックスの副反応 発熱は10.3% 倦怠感は39.7% 頭痛は27.6%
ノババックスの新型コロナワクチンの接種ができるのは、1回目と2回目接種では、12歳以上の人、3回目接種では18歳以上の人となっている。 厚生労働省の研究班(代表者:伊藤澄信・順天堂大学革新的医療技術開発研究センター特任教授)は、「ワクチン接種者を対象とする前向き観察研究」として、ノババックスのワクチンを3回目に接種した人58人の、変異する前の従来株に対する抗体の値や、副反応を分析した結果を公表した。 ノババックスのワクチンの副反応について、1回目を接種した18人では、37.5℃以上の発熱が5.6%(38℃以上は0%)にみられ、局所反応は疼痛が55.6%にみられた。 ノババックスのワクチンの3回目を接種した58人では、37.5℃以上の発熱が10.3%(38℃以上は0%)にみられ、局所反応は疼痛が65.5%に、全身の倦怠感が39.7%に、頭痛が27.6%にそれぞれみられた。 一方、ノババックス以外のワクチンの副反応の頻度については、37.5℃以上の発熱は、ファイザーが39.7% モデルナが62.9%、全身の倦怠感は、ファイザーが69%、モデルナが75.6%、頭痛は、ファイザーが55.1%、モデルナが64.5%にそれぞれみられた。 接種1回目~2回目がファイザーのワクチンで、3回目がノババックスだった人のうち、3回目接種後の体調について、「楽だった」と答えた人が80.9%、「つらかった」が6.4%、「変わらない」が12.8%だった。 ノババックスのワクチンの接種後、接種翌日に病休を取得していた人は、1回目接種では5.56%、3回目接種では5.17%だった。新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの副反応の違い[3回目接種]
ファイザー 「コミナティ筋注」 | モデルナ 「スパイクバックス筋注」 | ノババックス 「ヌバキソビッド筋注」 | インフルエンザワクチン | |
---|---|---|---|---|
39.7% | 62.9% | 10.3% | 3.1% | |
接種部位反応 | 92.1% | 94.1% | 65.5% | 70.0% |
倦怠感 | 69.0% | 75.6% | 39.7% | 19.0% |
頭痛 | 55.1% | 64.5% | 27.6% | 14.1% |
出典:厚生労働省、2022年
ノババックスのワクチンは副反応の頻度が低いという結果に
「ノババックスのワクチンの3回目接種を受けた人はまだ多くはないが、調査した結果、このワクチンは他のワクチンより副反応の頻度が低いといえる結果になった」と、研究班では述べている。 「重症化予防などが期待される免疫の増強効果が確認された。追加接種(3回目接種)をし、接種1ヵ月後の抗体価が測定できた7人の抗スパイクタンパク質抗体価は、接種前121U/mLが接種1ヵ月後に3,867U/mLと約32倍に増加していた」と、研究班代表の伊藤澄信・順天堂大学医学部特任教授は述べている。 「季節性インフルエンザのワクチンと比べても、副反応の頻度は統計学的にほぼ同じ程度かあるいは少し高い程度。今後さらに母体数を集めて詳しく分析していきたい」としている。 新型コロナワクチンの追加接種(3回目接種)後の健康状況調査 (厚生労働省)掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2023 SOSHINSHA All Rights Reserved.

「特定保健指導」に関するニュース
- 2022年11月01日
- 【新型コロナ】高齢化が世界一の日本でなぜ死亡率が低いのか? 日頃の医療や保健活動の積み重ねが成果
- 2022年10月31日
- 【新型コロナ】運動がワクチン効果を高める ウォーキングなどの適度な運動によりワクチン効果は3倍に
- 2022年10月31日
- 【新型コロナ】ネットやSNSの医療・健康情報は信用できる? ヘルスリテラシーを高める4つのポイント
- 2022年10月31日
- 高齢者の「オーラルフレイル」に対策 口の機能を維持してフレイルを予防 「カムカム健康プログラム」を開始
- 2022年10月31日
- 更年期の女性が体重を増やすのは宿命? 「対処方法はあります、あきらめないで」と更年期障害学会
- 2022年10月25日
- 【特定健診】健診結果から糖尿病リスクを予測するAIを開発 スマホアプリに搭載し生活改善を促す 大阪大学
- 2022年10月24日
- 【新型コロナ】不安やうつを予防するのに「健康的な食事」が効果 ストレスになるニュースを遮断するのも有効
- 2022年10月24日
- 「フレイル」をわずか5つの質問で簡便に判定 フレイル予備群も分かる 保健指導でも活用
- 2022年10月24日
- 「超加工食品」の食べ過ぎで大腸がんリスクが上昇 不健康な食事は肥満・メタボの原因にも
- 2022年10月24日
- 【子宮頸がん】HPVワクチンのキャッチアップ接種は必要としている女性に届く? 9年近くにわたった積極的勧奨の差し控え
最新ニュース
- 2023年01月25日
- 労働政策審議会安全衛生分科会「第14次労災防止計画案」提示 2種類の指標(数値目標)を設定
- 2023年01月24日
- 漬物やキムチなどの「発酵食品」が肥満やメタボを抑制 腸内菌の有益な働きを解明
- 2023年01月23日
- 【新型コロナ】感染に対する偏見が心理的負担をもたらす 働いている人の健康と生産性に障害が
- 2023年01月23日
- 【新型コロナ】感染約1年後も半数以上に後遺症が 倦怠感や味覚・嗅覚の異常、睡眠障害など
- 2023年01月23日
- 「受動喫煙」の悪影響は子供や孫の代にまで引き継がれる 危険なのはタバコの煙だけではない