ニュース

【新型コロナ】サプリメントが新型コロナのリスクを低減? コロナ禍でニーズが急増 45万人を調査

 マルチビタミン、オメガ3脂肪酸、プロバイオティクス、ビタミンDのサプリメントを飲んでいる人は、新型コロナのリスクが低減することが、3ヵ国の約45万人を対象とした大規模調査で明らかになった。
 研究者は、「いまのところ、特定のサプリが体の免疫応答に効果があることを示した、説得力のあるエビデンスはありません」としながらも、「サプリへの社会的な関心の高さを考えると、サプリによる保護効果や副作用についての科学的な検証が必要です」としている。
新型コロナ拡大の影響を受けサプリの売上げが急増
 マルチビタミン、オメガ3脂肪酸、プロバイオティクス、ビタミンDのサプリメントを利用している女性は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性反応が出るリスクが低下することが、スマートファンアプリを利用した大規模な研究で明らかになった。

 研究は、英国のキングス カレッジ ロンドンやスウェーデンのルンド大学などによるもので、研究成果は科学誌「BMJ Nutrition Prevention & Health」に掲載された。

 新型コロナのパンデミックがはじまって以来、新型コロナ感染の予防と治療の効果を期待し、世界中でサプリメントなどの栄養補助食品を使用する人が増えている。

 英国では、2020年3月の最初の全国的なロックダウン(封鎖)にいたるまでの期間に、栄養補助食品の市場シェアは19.5%上昇し、ビタミンCのサプリの売上高は110%、マルチビタミンの売上は93%それぞれ上昇した。

 米国では、新型コロナへの懸念の高さを反映して、亜鉛のサプリの売上高が3月の第1週までに415%増加した。

 栄養補助食品は免疫システムをサポートし健康にするのに役立つとした報告もあるが、新型コロナに関しては、特定のサプリがリスク低下に関連してことを示した説得力のあるエビデンスはまだない。

 こうしたギャップを埋めるために、研究グループは「COVID-19 Symptom Study」というスマートフォン アプリを利用し、サプリなどの栄養補助食品の利用と、新型コロナの検査での陽性反応の関連について調査した。
47%が「サプリを習慣的に利用している」
 「COVID-19 Symptom Study」は、市民から新型コロナのパンデミックに関するさまざまな情報を収集するために、英国、米国、スウェーデンで2020年3月にリリースされたアプリだ。

 研究グループは、このアプリを利用している成人44万5,850人を対象に、居住地、年齢・性別、主要な健康リスク要因などについて調査した。さらに、受けている医療サービス、ヘルスケア、新型コロナウイルスの検査結果などの最新情報も毎日収集した。明らかな症状のない人にも、アプリを利用することを奨励した。

 今回の研究では、パンデミックの第1波が起こった2020年5月~7月に、アプリを利用している英国の成人37万2,720人を対象に、栄養補助食品の利用状況と、RT-PCR法または血清学的検査による新型コロナ検査の結果について調査した。

 対象者の66.8%が女性で、BMI(体格指数)の平均は26.8で過半数が肥満だった。新型コロナのパンデミック以降、「サプリを習慣的に利用している」と答えたのは47%だった。この割合は、英国人の一般的なサプリ利用率と一致している。

 新型コロナの検査で陽性反応が出たのは2万3,521人、陰性反応が出たのは34万9,199人だった。
サプリを利用している女性で新型コロナのリスクが低下
 解析した結果、マルチビタミン、オメガ3脂肪酸、プロバイオティクス、ビタミンDのサプリを利用している女性では、新型コロナの感染リスクの低下と関連があることが示された。

 PCR検査などで陽性となるリスクは、マルチビタミンを摂取している人で13%低下、オメガ3脂肪酸で12%低下、プロバイオティクスで14%低下、ビタミンDで9%低下した。

 ただし、ビタミンC、亜鉛、ニンニクのサプリについては、検査で陽性となるリスクを低下させる効果はみられなかった。

 マルチビタミン、オメガ3脂肪酸、プロバイオティクス、ビタミンDのサプリによる保護作用は、女性でのみ観察され、全年齢と体重であてはまったが、男性にはそうした明確な関連はみられなかった。

 米国の4万5,757人とスウェーデンの2万7,373人を対象とした調査でも、同様の傾向がみられた。マルチビタミン、オメガ3脂肪酸、プロバイオティクス、ビタミンDによる新型コロナの陽性リスクの低下は、米国では、それぞれ12%・21%・18%・24%だった。スウェーデンでは、それぞれ22%・16%・37%・19%だった。
サプリについての説得力のあるエビデンスはない
 「今回の研究は観察研究であるため、原因を特定することはできません」「いまのところ、栄養補助食品の摂取が体の免疫応答を維持するために効果があることを示した、説得力のあるエビデンスはほとんどありません」と、栄養ニーズ・教育プロジェクト(NNEdPro)グローバル栄養健康センターの事務局長であるスマントラ レイ教授は述べている。

 また、「今回の研究は、新型コロナでの栄養補助食品の役割について調査するために設計されたものではありません。特定の栄養補助食品に新型コロナの感染のリスクを軽減する効果があるかを評価するためには、もっと厳密な研究が必要となります」と注意を促している。

 一方で、「たとえばビタミンDなどの微量栄養素が、体の免疫システムが健康に機能するために不可欠であることが知られています。これらを感染症の予防と回復に役立てられる可能性はあります」と指摘している。

 「サプリへの社会的な関心の高さを考えると、サプリによる保護効果や副作用についての大規模なランダム化比較試験が必要です」とまとめている。

Multivits, omega-3, probiotics, vitamin D may lessen risk of positive COVID-19 test(BMJ 2021年4月21日)
Modest effects of dietary supplements during the COVID-19 pandemic: insights from 445 850 users of the COVID-19 Symptom Study app(BMJ Nutrition Prevention & Health 2021年4月19日)
The Need for Nutrition Education Project(NNEdPro)
>> 新型コロナ ニュース一覧へ
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2024年04月30日
タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
2024年04月25日
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠
2024年04月23日
生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
2024年04月22日
運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
2024年04月22日
職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
2024年04月22日
【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
2024年04月22日
【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
2024年04月16日
塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
2024年04月16日
座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
2024年04月15日
血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶